自由ネコ通信

冤罪乱発の警察から強制捜査権を剥奪し、職業裁判官から市民の手に刑事裁判権を取り戻そう。予審制度と陪審制度の復活を求めます

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 政府は、「準備行為」の導入で共謀罪を心配する必要はなくなったと主張しています。私も当初は、「準備行為」の導入は共謀罪の危険性をごまかすためのものと考えていました。しかし、詳細に検討したところ、「準備行為」導入で共謀罪は過去3回廃案になった法案よりはるかに危険なものになっていることがわかりました。

いつまでたっても逮捕は可能

 「準備行為」の導入で共謀罪が事実上、時効を持たないことは、すでに別の記事で述べました。一部繰り返しになりますが、ある話し合いがハイジャックの共謀とされるケースをもとに、「準備行為」の導入で何が変わったのか検討しましょう。
 共謀罪の処罰は2年以下または5年以下の懲役・禁固ですから、公訴時効はそれぞれ3年と5年です。なお、時効の計算が始まるのは犯罪行為が終わった時からです。
 廃案になった「準備行為」のない共謀罪の場合、最後の話し合いが終わった時点から時効の計算がはじまり、何もなければ遅くとも5年で時効は完成します。言い換えれば、5年より前に終わった話し合いが共謀罪の対象とされることはなく、それで逮捕することはできません。
 しかし、今回出されようとしている「準備行為」付きの共謀罪の場合、「準備行為」が行われるまでは犯罪行為が終わらないので時効の計算も始まりません。共謀罪発動は口実とされる「準備行為」の直後でしょうから、発動前に時効が完成するとは考えられません。共謀とされた話し合いが5年、10年、何十年前でも、それを口実にした共謀罪での逮捕は可能となるのです。最高でも5年の共謀罪が、事実上、殺人罪と同様に時効の適用を受けないことになります。
 警察は将来を見越して盗聴記録を何年、何十年も残しているかもしれません。しかし、そんな前の話し合いの記録を残したり、覚えている市民がどれくらいいるでしょう。デッチあげはやり放題です。

逮捕は何回でも

 より大きな問題は、逮捕は1回で終わらないということです。
 「準備行為」なしの共謀罪の場合、ある話し合いをハイジャック計画として逮捕した場合、起訴できなければ、同一の話し合いを口実に再度逮捕することは困難です。刑訴法199条第3項に
同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは、その旨を裁判所に通知しなければならない
とあり、同じ容疑で逮捕を繰り返すことを抑制しているからです。
 しかし、「準備行為」付き共謀罪の場合、ある時点での航空券の予約・購入をハイジャック計画の準備行為だとして逮捕したが起訴できなくても、今回の予約・購入は「準備行為」ではなかったからだと主張すれば、次の予約・購入を「準備行為」だとして再度逮捕することが可能です。また、それを予約・購入のたびに延々繰り返すことも可能です。
 計画は同じでも「準備行為」が異なれば「同一の犯罪事実」ではないと強弁することが可能だからです。憲法と人権を守るのではなく、警察・検察に協力して治安を守ることを自らの使命と考えている日本の大多数の裁判官もそれを追認するでしょう。そもそも通知されなければ、良心的な裁判官であっても、その逮捕状請求が逮捕の蒸し返しと知ることすらできません。
 いったんハイジャック計画にねじ曲げられる話し合いをしてしまった市民は、一生、飛行機を利用することができなくなります。銀行強盗なら銀行に行くことができなくなり、空き巣(窃盗)なら街を歩くことすらできません。逮捕->不起訴の繰り返しなら、「そんな計画はなかった」と法廷で争うこともできません。

ささやきが拷問になる

 警察・政府が目障りだと思う市民に政府批判や反対行動をやめさせようと思う時、「準備行為」付き共謀罪があれば市民の耳元でこうささやけば良いのです。
「ハイジャック計画を認知した。あとは準備行為を待つだけだ」
 こうささやかれた市民は、航空券を予約・購入するたびに、「今回は逮捕されるのではないか」と怯えなければなりません。逮捕されなくても、「では次回か」と恐怖は続きます。いつ逮捕されても良いように身辺を整理し、仕事の引き継ぎをすませておく、そうした生活が一生続くのです。空き巣計画なら、街を歩くこと自体がいつ逮捕されるかという恐怖となります。
 精神的拷問と言うべきではないでしょうか。しかも、そのために警察はささやき以外に指一本動かす必要はないのです。市民が「もしかしたら逮捕はないかも」などと安心し始めたら、そこではじめて、危篤の親の病床に急ぐ時など最も苦痛が大きくなる時に逮捕して23日間勾留すれば、拷問の効果はいっそう高まります。
 何人かを見せしめにすれば、この警察のささやきに抵抗できる市民はほとんど残らないでしょう。あらゆる市民が逮捕を恐れて警察や政府の顔色をうかがい、自分が逃れるため友人や知人を密告し合う、まるでスターリン圧制下のソ連を思わせる密告社会すら生まれかねません。
 それが、「準備行為」を導入した共謀罪の生み出す社会なのです。仮に、本当に組織犯罪などを取り締まる必要があるとしても、そのためにそんな恐怖社会を生み出しても良いのでしょうか。
 話し合いや相談自体を犯罪視する共謀罪は、日本の刑法体系とまったく相容れない異質の罪です。そのため、共謀だけでやめるより実際に犯罪を実行したほうが処罰範囲が狭かったり、処罰そのものが軽かったりする現象も生じます。共謀罪はかえって犯罪の実行をあおる要因にもなるのです。

実行した方が処罰範囲が狭くなる

 いつもの飲み会(団体性)で繰り返してきた上司への「殴ってやる」というグチ(傷害の目的性)がエスカレートして、「明日、朝一番に○○課長を殴ってやる」(具体性)と口走ってしまったら、直後に気がついてももう遅いのです。すでに傷害の共謀という犯罪行為は行われてしまったあとですから、冗談だと言ってもなかったことにはなりません。
 政府は「準備行為」云々と言っていますからその場では逮捕されないでしょう。でも、翌日出勤(準備行為)すれば、あなたは会社の入り口で逮捕されます。飲み会にいた友人も、同様に2年以下の懲役・禁固の処罰をされます。
 少しでも処罰を軽くするために何かできることはないでしょうか?
 実はあります。一つの方法は自首して友人を売ることです。自首は最初の一人しかできませんから早い者勝ちです。あなただけは減刑されるでしょう。
 でも、友人を売るという卑劣な方法以外にも別の方法があります。共謀罪で逮捕される前に急いで○○課長のところに行って頭など軽く殴ることです。あなたは暴行罪で2年以下の懲役・禁固になるでしょう。でも、暴行は共謀罪の対象犯罪ではありませんから友人は共謀罪の処罰から逃れることができます。友人を暴行するよう説得できれば、あなたが処罰を逃れることも可能です。
 暴行には「人を傷害するに至らなかった」という結果が必要ですから、実行しないで「傷害ではなく暴行の共謀だったから、共謀罪は成立しない」と主張することはできません。
 つまり、傷害の共謀を犯罪とすることは、共謀罪を問われそうな人に、問われる前に暴行を行えとあおることになるのです。これは、主体が暴力団などでも変わりません。

実行した方が処罰が軽くなる

 犯罪を実行した方が処罰が軽くなるというケースすらあります。
 同じような飲み会で、痴漢をテーマに猥談で盛り上がり「私もやってみたい、みようか」などと口走ってしまった場合、「強制わいせつ」の共謀が成立してしまいます。帰りの電車でたまたま近くに女性が乗っていたら、「痴漢対象である女性のいる電車に乗った」という準備行為が行われたとして、何もしなければ強制わいせつの共謀罪として2年以下の懲役・禁固、共謀罪の法の内容にもよりますが場合によっては5年以下の懲役・禁固が飲み会にいた友人も含めて科せられることになるでしょう。
 ではどうするか。
 酔った勢いでつい女性に服の上から触れてしまえば、痴漢として突き出され、ほとんどの場合、迷惑防止条例違反として東京都なら6か月以下の懲役か罰金が科せられます。
 何もしなければ2年以下、軽い痴漢をすれば6か月以下、しかも、痴漢をすれば友人らは共謀罪に問われません。
 結論は明白です。強制わいせつの共謀罪に問われそうな時は、その前に痴漢を実行するしかありません。つまり、共謀罪は、このケースでは痴漢をあおっているのです。
 刑事法制は本来、犯罪を処罰することで犯罪を減らし、市民が犯罪被害者とならないようにするためにあります。しかし、共謀罪には処罰を軽くするために犯罪を実行するようあおることで犯罪を増やし、犯罪被害者を増やしてしまうという場合があるのです。
 本来、犯罪とはなり得ない、誰に被害を与えるわけでもない考えや対話を犯罪に仕立て上げるムリが、このような矛盾を生み出してしまいます。犯罪やその被害者を増やさないためにも共謀罪を新設させてはなりません。
 2月7日付の東京新聞によれば、八王子市が図書館から来館者用のパソコン16台を撤去するという暴挙を行ったそうです。
 ユネスコ図書館宣言は冒頭
「社会と個人の自由、繁栄および発展は人間にとっての基本的価値である。このことは、十分に情報を得ている市民が、その民主的権利を行使し、社会において積極的な役割を果たす能力によって、はじめて達成される」
と述べています。
 今、インターネットに接続できることは、仕事を探す上でも、勉強を進める上でも不可欠となっており、パソコンを持つ者と持てない者の情報格差の問題が社会的に自覚され始めています。そうした時に、前記のような役割を持つ図書館からパソコンを撤去し、パソコンを持つ者だけのためのWi-Fi環境提供で代替しようとすることは、持つ者と持たない者の情報格差を固定し、貧しい者はいつまでも貧困から抜け出せないという貧困の連鎖を図書館自身が生み出してしまう暴挙と言わざるをえません。
 子どもの頃から図書館の膨大な書籍を自由に読めることで今の自分を形成してきた私にとって、このような暴挙を見過ごすことはできません。八王子市の猛反省とパソコン提供の再開を求めます。

「相談し合っただけで処罰は誤解」という詭弁

 S新聞がそのサイトで次のように述べています。
「居酒屋で同僚に『上司を殴る』などと相談しただけで処罰される−。いわゆる「共謀罪」をめぐってはこんな誤解がまことしやかに語られてきた」
 プロの新聞社の記事だから直ちにウソと分かるような書き方はしていません。ただ、そこには優秀な詐欺師と同じ、人を誤解させて自分の望む結論に誘導するテクニックが使われていることを指摘しなければなりません。
 この文章を読めば、あらゆる「上司を殴る」という相談は共謀罪の処罰対象にならないと多くの人は考えるでしょう。そう考えるように誘導するため、語るべき多くの条件を隠した卑劣な文章です。実際はそうはなりません。
 具体的に検討しましょう。

団体性について沈黙

 まず、「居酒屋で」としか書かないことの卑劣さです。
 確かに、たまたま居酒屋で会って意気投合した人がその場で話しただけなら、団体・集団とはいえないので対象にはなりません。
 しかし、メンバーの固定した飲み会や意気投合してまたいっしょに飲もうと連絡先を交換すれば団体・集団です。「上司を殴る」という相談を複数回繰り返せば、傷害を目的とする集団、「組織的犯罪集団」です。暴力団であろうと詐欺集団であろうと、最初は見知らぬ者同士が知り合い、話し合うことから始まります。だから、そうした話し合いを厳密に区別することはできません。それを無理に区別できるかのように主張するのがこの沈黙の目的です。
 意気投合した集団の数万、数十万グループのうち1グループが実際に上司を殴るところまで暴走してしまうかもしれません。その1グループを事前に取り締まるために数万、数十万の話し合いも一緒くたに犯罪としてしまうのが共謀罪です。

具体性をめぐる詭弁

 「上司を殴る」としか書かないのも詐欺的テクニックです。
 法務省も、具体的計画でなければ対象ではないと主張しています。一般的に「上司は殴っても良い」という抽象論ならそうでしょう。でも、そうした話し合いをする時には特定の上司を想定していないでしょうか。
 「明日出勤したら、いの一番に○○課長を殴ってやる」と話し合えば具体的犯罪計画です。もちろん、そう言ったとしても実際に実行されることはないでしょう。でもごくまれに実際に殴ってしまう人間が出るかもしれない。そのレアケースを防ぐために、あらゆるそうした話し合いを犯罪化するのが共謀罪です。

「だけ」というダブルミーニング

 ダブルミーニングとは一つの語に二つ以上の意味を持たせることを意味します。本来は、掛詞のような文学分野での言葉ですが、人に誤解させてだます時にも、そうしたダブルミーニングが使われます。そして「だけ」という言葉は、そのために頻繁に使われる言葉です。
 政府も、「準備行為」が必要と変更したから「話し合っただけでは処罰されない」と主張しています。
 では、この「だけでは処罰されない」とはどう言う意味でしょうか。
 「明日出勤したら○○課長を殴ってやる」と話し合っても、その場で直ちに処罰されるわけではないというだけでしかありません。翌日出勤すれば、会社の入り口で逮捕され、処罰されるでしょう。出勤が「準備行為」とされるからです。
 「準備行為」について、S新聞社の文章では
凶器の購入資金や化学物質の調達など……
テロ組織構成員らがテロを計画し、化学物質を調達した場合。あるいは暴力団組員らが対立組織の幹部を射殺することを計画し、拳銃購入のための資金を用意した−といったケース
と述べています。ここでも「だけ」「といった」という誤解を誘導する言葉が使われています。あたかも、化学物質の調達や拳銃購入資金の準備といった犯罪に直結するような行為のみが「準備行為」であるかのように誤解させるためです。
 しかしすでにこのブログの他の記事で指摘したとおり、安倍首相はハイジャックをめぐって、犯罪に直結する行為ならハイジャック防止法の予備で摘発できるが、そうした「危険性を証明」できない行為も「準備行為」として摘発するために共謀罪が必要と明言しています。出勤という「殴ってやる」ためかどうか分からない行為も「準備行為」として処罰するのが共謀罪です。前記文章の「など」「といった」の中にこの「出勤」も含まれるのです。

共謀罪がないと条約締結できないという誤解の誘導

 条約の批准の条件。それが「共謀罪」など国内担保法の整備
 S新聞はこの文章や法務省、政府の発言を引用することで、あたかも共謀罪を新設しないとパレルモ条約の締結ができないかのような誤解を生じさせようとしています。もちろん露骨にそうしたウソを明言しているわけではありませんが。
 共謀罪を新設しなければパレルモ条約の締結はできないのでしょうか。そんなことはありません。締結のために必要なのは国会で批准して、批准書を国連に送付することだけです。国連の事務部門が、「共謀罪がない」などと行って批准書の受け取りを拒否することはありませんし、条約批准には「留保」というやり方もありますから、他の国が日本政府に共謀罪新設を強制できるわけではありません。
 条約を持ち出すのは、条約締結という制度の知識を持たない市民を共謀罪必要論に誘導するための、ためにする議論でしかありません。

「テロ組織取り締まり」という欺瞞

 この文章の中で、麗澤大の八木秀次教授(憲法学)は「テロ等準備罪はテロ組織を取り締まるもので、左翼を取り締まるものではない」と述べています。これは欺瞞ではないでしょうか。
 まず、政府はパレルモ条約との関連で共謀罪の必要性を強調していますが、同条約は「テロ」のような政治的行為を取り締まるのではなく、麻薬組織など経済犯罪の取り締まりを目的とした条約です。
 次に、共謀罪というのはある種の組織犯罪の前には犯罪計画を立てるための話し合いがあることを理由に、あらゆる似た話し合いを組織犯罪に関係なくても犯罪化するという法律です。もちろんすべての話し合いを摘発するわけではなく、できるはずもありません。日本のほとんどを留置場・刑務所にするしかありませんから。
  共謀罪の目的は、どの話し合いを摘発するか、誰を処罰するかについて、警察・政府機関に広範なフリーハンドを与えることです。
 今、辺野古の基地建設に反対する一市民が、様々な行為を犯罪にねじ曲げられて逮捕を繰り返され、長期勾留されています。原発に反対する市民グループは、金を出し合ってレンタカーを借りたことが「白タク」行為として逮捕されました。
 他国が我が物顔に基地を作って日本の国土を蹂躙しても、原発によって国土の自然と日本に住む人びとの生活が破壊されても、残念ながら「愛国心に富む」右翼からは反対の声は聞こえてきません。反対しているのは、八木教授が「左翼」と見なすだろう市民だけです。
 現在、警察が基地反対派、原発反対派に対して行っているでっち上げや別件逮捕を見れば、共謀罪の狙いが基地反対派など「左翼」のデッチあげ、別件逮捕のための口実を広げるためなのは明らかだと思います。
 いくら右翼でも自らの詭弁を真実を思い込むほど愚かな者ばかりではないでしょう。それでも彼ら・彼女らが警戒感なく共謀罪新設を主張できるのは、その弾圧が「左翼」に向けられ、右翼には向けられないと考えているからではないでしょうか。
 でも、戦前には2・26の皇道派の解体や牧口・戸田創価学会会長ら宗教家への治安維持法発動があり、戦後では三無事件での破防法適用があります。右翼だから共謀罪適用がないと安心していて良いのですか。

犯罪の準備でなくても「準備行為」

 1月31日付の東京新聞によれば、30日の参院予算委員会の質疑で安倍首相は、ハイジャックを計画したとされた者が航空券を購入した場合について次のように述べました。
「(ハイジャック防止法の予備罪で摘発するためには、航空券の予約・購入が)危険性がある準備なのかどうか証明されなければならない。当たらない場合がある以上、ただちに検挙できない」
「この場合、間違いなく『テロ等準備罪』に当たる。その段階で躊躇することなく警察は検挙できる」
 つまり、航空券を予約・購入したとしてもそれがハイジャックのためとは限らないからハイジャック防止法の予備罪は適用できないが、ハイジャックのためではなくてもハイジャックの共謀罪の準備行為として検挙できる。ハイジャックのための予約・購入と証明する必要はないと明言したのです。
 この発言は、「準備行為」があるから大丈夫というこれまでの政府のウソを浮き彫りにしました。
 ハイジャックを共謀したとされればその中の一人が飛行機に乗ろうとしただけで、銀行強盗の共謀なら銀行に行っただけで、空き巣(窃盗罪)の共謀なら住宅街を歩いただけで「準備行為」とされ、共謀罪で逮捕されるということです。
 よく例に出される飲み屋での上司を殴りたいと盛り上がったケースで言えば、決まったメンバーで何度か飲みに行ったという場(団体性)で、そのようなグチや冗談を述べた(共謀)場合、その場で検挙はされないが翌日会社に出勤した(準備行為)時に会社の入り口で逮捕されるということです。
 これのどこが歯止めなのでしょうか。

「準備行為」導入で共謀罪の時効がなくなる

 共謀罪の刑罰は、共謀内容の犯罪によって5年以下の懲役・禁固と2年以下の懲役・禁固とされる見込みです。ところで、5年以下の懲役・禁固の場合の公訴時効は5年、2年以下の場合の公訴時効は3年です。(刑訴法250条の2)
 そうすると、うっかり共謀とされかねないグチや冗談を言ってしまったとしても、最悪でも5年、軽い罪なら3年間逮捕されなければ、共謀罪にねつ造される恐怖からは解放されるはずです。
 「準備行為」という条件を必要としないこれまでの共謀罪法案であればその通りです。公訴時効は犯罪行為が終わった時から計算されますが、話し合いが終われば共謀という犯罪行為が終わるからです。
 しかし、「準備行為」が導入される今回の共謀罪法案では、そうはいきません。準備行為が実行されるまでは犯罪行為が続いていると見なされるからです。しかも、話し合いと準備行為の間の期間に制限はありません。
 ある日飛行機に乗ろうとチケットを予約したら、10年前、20年前、30年前の話し合いがハイジャックの共謀だとして逮捕されるということが起こりかねないのです。その間、何度か飛行機に乗っていたとしても関係ありません。準備行為は、同種の行為の最初のものでなければならないというきまりはないからです。安倍首相は、関連性の証明は必要ないと明言していますから、どのチケット予約を準備行為と見なすか、捜査機関・司法機関が恣意的に決めることができます。
 今、基地や原発に反対する市民が、数か月、数年前の行為を口実に逮捕され、獄に閉じ込められています。時効を考慮する必要がなく、本人も忘れているような何十年も前の話し合いを口実にできる共謀罪は、万能の市民弾圧手段と化すでしょう。

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