推進派のブログが示す共謀罪の危険性共謀罪がどのような法律か、誰を対象としているのか、知るためには共謀罪推進派が共謀罪をどのように見ているかを知るのも必要でしょう。そこで、比較的熱心に発信している坂東忠信さんのブログを検討してみます。坂東さんは元警視庁通訳捜査官と自称していますので、それが本当なら捜査機関が共謀罪をどう見ているのか、共謀罪でなにをしようとしているのかを知るための参考になるでしょう。 「具体的準備行為」はいらない同ブログに「組織的犯罪の共謀罪 〜対象となり得るケース・ならないケース〜」という表が掲載されています。対象となり得るケースとして 暴力団組員らが、対立する暴力団の構成員を襲って監禁した上、拳銃で射殺することを計画
など、いかにも恐ろしげな犯罪計画がならびます。対象とならないケースとしては 会社の同僚数名が、居酒屋で、上司の悪口で盛り上がり、「殺してやろう」と意気投合
など、この間政府が必死に対象外と言い訳している内容が並びます。一見するだけなら「『そりゃだめに決まってんだろ』と判断できるライン」かもしれませんが本当でしょうか。この表の直前で坂東さんは「具体的な準備行為がないと、共謀罪は成立しません」「かなりハードルは高い」と準備行為の必要性を共謀罪が乱用されない根拠としてあげています。ところが同氏が「対象となり得るケース」としてあげている例でもすべて計画で終わって準備行為は行われていません。準備行為が必要ならば「対象となり得るケース」もすべて対象としてはならないはずです。 つまり、共謀罪を推進する坂東さんにとって、準備行為の必要性とは反対の声を抑えるための方便でしかなく、実際の摘要に当たっては考慮する必要もないものなのです。 犯罪集団と見なせば共謀罪発動では、対象となるならないの差はどこにあるでしょうか。なる方には暴力団、テロ組織、詐欺集団などいかにも「犯罪集団」という名前が並びます。一方ならない方には会社の同僚、労働組合の組合員などが並びます。つまり、誰が計画したかによって共謀罪が適用されるかどうかが決まるということをこの表は示しています。警察が「犯罪集団」と決めつければ話し合っただけで共謀罪が適用されるという、反対派の危惧が推進派の主張からも裏付けられています。では、犯罪集団と決めつけるにあたって何らかの基準があるのでしょうか。この表にはその点で一つの詭弁があります。「海賊版CDの販売を繰り返している集団」など過去に同様な犯罪を行っていることが「犯罪集団」と規定する一つの根拠であるかのように述べています。暴力団やテロ組織、詐欺集団という表現も同様です。しかし、共謀罪には過去の犯罪歴を問題にする規定はありません。 「人気歌手の多量のCDを無断でコピーして販売を計画」すれば、それが友人数名の間の冗談で、今までそんなことをしたこともなく、実行しなくても、友人数名が「犯罪集団」を作ったと決めつけられて共謀罪で罰せられるのです。犯罪集団と言っても最初は知人数名の話し合いからです。だからこの友人数名が犯罪集団とされないという保証はありません。 政府に反対すれば共謀罪の対象
このブログの題名は
という文章があります。この二つの文章が示しているのは、共産党や革新政党など共謀罪に反対している市民を「犯罪予備集団」と決めつけて共謀罪を適用しろと、共謀罪推進派が訴えていることです。 「犯罪予備集団?が必死になって反対する『共謀罪』」
というものです。そして、ブログの冒頭には これができると事前に暴力革命計画を察知されたら逮捕されちゃうとビビる共産党や、極左とつながる革新政党が反対
菅官房長官が1月16日の記者会見で、共謀罪について「一般の方々が対象となることはあり得ない」と述べたのも、この文脈で見れば真意は明白です。政府に反対するものは「犯罪予備集団」で「一般の方々」ではないから対象にするという宣言でしょう。 本当に警察関係者?なお、「坂東さんは元警視庁通訳捜査官と自称」と書きました。別に蔑視する意図はありません。確認する方法が私にはないことが理由ですが、それ以外にも捜査など法律に携わった者なら間違いようのない間違いがいくつか、このブログに見られるからです。 「暴力革命計画」が共謀罪で初めて摘発されるかのように書いていますが、暴力革命は内乱ですからすでに内乱予備(刑法78条)で摘発できますし、破防法でも摘発できます。破防法はすでに発動されていますから捜査関係者ならそれを知らないはずはありません。 また、「法定量刑が二年以上となっていても上限がない暴行罪」というのも間違いです。暴行罪(刑法208条)は2年以下の懲役ですから共謀罪の対象犯罪ではありません。法律に携わる者なら暴行罪は常に傷害罪とセットで考えますから、暴行罪を傷害罪以上の量刑と間違えることは考えられません。 もちろん、ただの通訳だから捜査や法律には詳しくないということかもしれません。でしたら、「通訳捜査官」という人に誤解を生じさせる肩書きを誇示するのはやめた方が良いでしょう。 |

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