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企業経営者のみなさん
共謀罪は、団体に属する個人が長期4年以上の刑罰が決められている犯罪=共謀罪対象犯罪の実行について合意しただけで犯罪とし、刑事罰を科そうとする法律です。そして、資本主義社会において最も活動的な団体とは企業にほかなりません。つまり、共謀罪とは企業活動を主要な取り締まり対象の一つとする企業活動規制法にほかならないのです。
しかも,共謀罪対象犯罪は600以上もあり企業活動の多くの場面で抵触する危険のある法律が並んでいること、意思決定だけで犯罪とし条件変化で実行が不可能になろうと中止・撤回しようと罪は消えないこと、などから,日常的な企業活動を犯罪視し、企業経営への警察などの監視・統制を強めようとする法律と言わなければなりません。あなたの企業がどれほど法律尊重に努力したとしても、あなたの部下が法の枠からはみ出すようなことが絶対にないと自信を持って言えるでしょうか。
例えば、企業活動の中でしばしば直面する事故,つまり業務上過失致死も共謀罪対象犯罪です。業務上過失致死という結果を生じさせなくてもその共謀だけで犯罪とはどういうことでしょうか。
ここに一つの事故の例があります。2004年3月26日,六本木ヒルズ森タワーの回転ドアに6歳の男の子が挟まれて死亡するという事故が発生しました。この森タワーの事故では03年12月7日にも女の子が挟まれる事故が発生しており、その2日後に行なわれた協議で「森ビル」の幹部2人と回転ドアの販売元「三和タジマ」の顧問(61)の3人が、危険を認識していながら抜本的な対策をとらなかったことが死亡事故につながったとして有罪判決を受けています。
確かに死亡事故を発生させればその責任は問われるべきでしょう。しかし、共謀罪では、結果として死亡事故が発生したか否かを問わず、12月9日の協議で抜本対策をとらなかったこと自体を「業務上過失致死の共謀」として独立の犯罪とされる可能性があるです。その後、報告を受けた上司が対策の見直しを指示しようと、新たな協議であらためて抜本的な対策をとろうと、最初の協議が共謀罪という事実は消えません。
自社製品の欠陥が明らかになった時,最初の検討会議で常に十分な対策をとれるでしょうか。また,クライアントが存在する場合、契約破棄の危険を冒して問答無用で抜本対策を求めることができるでしょうか。社内あるいはクライアントを説得するために一時的には妥協して別ルートで粘り強く説得するということも必要でしょう。いったんは十分と考えても,時間が経てばやはり不十分と思い直すこともあるでしょう。しかし,共謀罪はそれらを許しません。
意思決定の分散と現場への権限委譲は機動的な企業活動のために不可欠です。しかし、共謀罪はすべての意思決定において、事前に600以上もある罪のすべてに抵触していないかどうか検討することを求めているのです。例えば,法務担当部門が共謀罪対象犯罪に抵触していないか事前チェックしてOKをださない限り,いかなる意思決定も無効とする以外に共謀罪を適用される危険性は回避できません。この事前チェックのための膨大な時間とコストが企業活動を萎縮させることは不可避です。
政府は、対象は犯罪組織のみだと強調していますが、議員の質問主意書に対しては、役所でも場合によっては共謀罪の対象となると述べています。役所も対象となるなら企業も対象とならないはずはありません。政府も国内にはその必要性はないと認める共謀罪の制定のために、企業活動を萎縮させ経済を後退させて良いものでしょうか。ぜひ、共謀罪について考えてください。
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