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しつこいのですが、再び朝日書評事件のことを。
一部の護憲派の方が、日本国憲法成立過程のくだり(68〜71頁)について批判しています。
私も同感です。
なぜなら、日本側の民間の憲法研究会の草案がしっかりと生かされているからです。
読みながら「日本国憲法は、米国が作成した草案を日本語に訳し、少し修正を加えたものです」
(68頁)の見出しの上に、思わずバッテンつけてしまいましたし。
ですから、「戦後史の正体」に書かれているものがすべて完璧に正しいということではないのです。
この本を絶賛するからといって、孫崎亨氏の憲法観や平和観を支持するということではありません。
ただ、ここまで豊富な資料(公文書・証言・文献・・・)をもとにわかりやすく、
『米国の思惑を忖度しつづけてきた戦後日本の政治』を露わにしてくれた著作の存在は、
いまの日本の惨憺たる現状を鑑みるに、ものすごく貴重だと思うのであります!!!
さて、あの書評は6段落から成っていましたが、1段落目を削除したことにより、
実質、書評ではなくなってしまいました。
2段落以降の内容は、「戦後史の正体」についてではないのです。
だから1段落目だけを削除するのではなく、全文削除(全文撤回)すべきでしょう。
天木直人氏が10月30日のメルマガで、朝日書評事件のことを取り上げていました。
以下、だいたい転載。
【朝日新聞のもう一つの訂正事件】
私は知らなかった。朝日新聞がこのような醜態をおかしていたとは。
朝日新聞の醜態と言えば、週刊朝日で橋下大阪市長の出自に関する批判的な連載記事
を鳴り物入りで始めておきながら、それが差別的だと抗議をされたとたんにあっさり
お詫びしてその連載を中止した醜態が念頭に浮かぶ。
しかし朝日の失態はもう一つあったのだ。
・・・・・
ジャーナリスト佐々木俊尚氏の手になるこの書評は、実は私も読んでいたのだが、
それはひどいものだった。
「戦後史の正体」は米国の政策に反対する指導者はすべて失脚させられるという
陰謀論の典型だという粗雑な書評で切って捨てていた。
ところがその書評に対し孫崎氏がツイッターで不適切だと怒りを呟き、
フォロワーがそれに賛同して朝日に抗議したというのだ。
そこまではよくあることだ。
ところが朝日は書籍担当者を孫崎氏のところに派遣し、何度も孫崎氏と協議を重ねて、
3週間後の10月21日の書評欄で次のような小さな訂正記事を出してあっさり書評
を大幅削除してないものにしていたというのだ。朝日新聞の隅から隅まで注意して
読んでいるつもりの私も気づかなかった。
「(9月30日付)売れてる本『戦後史の正体』の記事で1段落目
の記述に事実誤認がありました。この段落を削除します」
これだけではなんのことかわからないが要するに陰謀史観であるという佐々木氏の
見解も含めて書評の核心的な批判部分を全面的に撤回したのである。
書評欄として前代未聞の訂正である。
橋下批判と同様にこのままでは都合が悪いと朝日は判断したに違いない。
どこが都合が悪かったのか。
それは孫崎氏の「戦後史の正体」をほかのメディアはほとんど無視を決め込んだのに、
朝日はそれをむきになって正面から批判したためにかえって朝日の対米従属振りを
天下にさらしたことになったからだ。
孫崎氏との書評をめぐる喧嘩をこれ以上続けると分が悪くなると判断したに違いない。
読売のように誰もが認める対米従属紙であればたとえ孫崎紙に抗議されても
(もっとも孫崎氏は抗議したのではなくツイッターで囁いただけだが)
ここまですばやく矛を納めることはなかっただろう。
いや、そもそも読売なら書評で取り上げることすらしなかった。
しかし朝日は憲法9条改憲に反対するリベラル紙であるという自負がある。
その一方で朝日はどこよりも日米同盟を重視する隠れ対米従属紙だ。
この自己矛盾に朝日は苦しんでいる。
そしてそれを隠そうとしている。
その矛盾をとりつくろうために朝日はかつて「憲法9条と日米同盟を両立させて受け
入れている日本国民の知恵は素晴らし」などというとんでもない社説を掲げていたぐらいだ。
そんな朝日にとってはメディアもまた米国と一緒になって対米自立を唱える政治家を潰して
きたと喝破した「戦後史の正体」は、不都合な真実を書いてくれたとんでもない本と
いうことになる。
だから他紙は冷静に無視したのに朝日は佐々木俊尚というジャーナリストを使って
下手な批判書評を書かせたのだ。
その結果かえってその対米従属振りの正体を露呈してしまったのである。
書評の削除で何もなかったかのように振る舞っても遅いのである。
話題にすること自体が最大の宣伝になるのである。
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