はんのき日記 PART2

多く読み、多く見聞きし、自分で考え、少し発信します・・

南京大虐殺

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南京大虐殺に関わらず、日本軍という“立派な天皇の軍隊(皇軍)”は、
なぜあそこまで残虐なことができたのか?
という疑問は、よく投げかけられる。
辺見庸氏は、なるほど、次のように言っている。
「実質における最大の非道徳と形式における最高の道徳とは、
見事な相互補完を以て非道徳的道徳国家を形成していた」

以下、転載。

 第2章   11.「非道徳的道徳国家」

「我国の軍隊は世々天皇の統率し給ふ所にそある」ではじまる
「軍人勅諭」(「陸海軍軍人に賜はりたる勅諭」)は、1882年(明治
15年)、明治天皇が陸海軍の軍人にあたえたことばで、「教育勅語」
とともに戦前、戦中をつうじ、日本社会の精神的、道徳的規範とされ、
人びとはしばしば丸暗記をもとめられた。「軍人勅諭」前文の後段に
は、「朕は汝等軍人の大元帥なるそされは朕は汝等を股肱(ここう)
と頼み汝等は朕を頭首と仰きてそ其親(したしみ)は特(こと)に深
かるへき朕か国家を保護して上天の恵に応し祖宗の恩に報いまゐらす
る事を得るも得さるも汝等軍人か其職を尽すと尽ささるとに由るそか
し我国のり稜威振はさることあらは汝等能く朕と其憂を共にせよ我武
(わがぶ)維(これ)揚りて其栄を耀さは朕汝等と其誉を偕にすへし
汝等皆其職を守り朕と一心になりて力を国家の保護に尽くさは我国の
蒼生は永く太平の福を受け我国の威烈は大に世界の光華ともなりぬへ
し」の一文がある。母語に似た言語にいちいち翻訳が必要というのも
おかしなものだが、口語訳すれば、「朕は汝ら軍人の大元帥であるぞ。
朕は汝たちを手足とたのみ、汝らは朕を頭首とあおいで、そのかんけ
いはとくに深くなくてはならない。朕が国家を守り、天の恵みに応じ
祖先の恩にむくいることができるもできないも、汝ら軍人が職分をつ
くすか否かによる。国の威信がふるわなければ、汝らは朕と憂いをと
もにせよ。わが武威が発揚されて栄光にかがやくならば、朕は汝らと
誉れをともにするであろう。汝らがみな職分をまもり、朕と心を一つ
にし、国家の保護に力をつくすならば、わが国の民は永く太平を享受
し、わが国の威信は大いに世界にかがやくであろう」ということにな
る。「稜威」とは天皇の威光、いわゆる「みいつ」である。みいつと
は、「いつ(厳)」の尊敬語でご威光ということ。
 これはシュルレアリスムである。天皇制という日本固有とされる
国家社会構造の摩訶不思議は、この「軍人勅諭」にもみえる。「朕は
汝等を股肱と頼み汝等は朕を頭首と仰き」は、人体の脚と肘、それに
頭部とのかんけいををもって、天皇と将兵のむすびつきを〈おれさま
は頭で、おまえたちは脚だ、肘だ〉とたとえているのだが、「我国の
稜威」とは天皇が国家そのもの(あるいは国家は朕のもちもの)であ
る以上、〈朕の稜威〉ということであり、おまえたち臣民は人間個体
によって構成される国家社会のためではなく、朕=大元帥陛下=現人
神=天皇のためにのみひたすらつくせ、ということなのである。国家
は「朕」というイリュージョンに融けるとともに、天皇に合一化され
て、国民主体は消されている。そうした共同体の将兵たちによる戦争
犯罪が、天皇(制)とまったくむかんけいだったなどということがで
きるだろうか。「かつての天皇制においては、『下から上への』欲望
の『正直』な告白が、天皇を頂点とする『上から下への』温情の『御
下賜品』となってリンクしていたから、実質における最大の非道徳と
形式における最高の道徳とは、見事な相互補完を以て非道徳的道徳国
家を形成していた。いまここに見る天皇制の姿は、その形式における
道徳と実質における欲望自然主義の完全な乖離を示している。両者は、
同一人の中に共存しながら、それぞれ自己を純粋化(!)した」
(『天皇制国家の支配原理』「天皇制とファシズム」)。1957年にこ
う書いたのは藤田省三だった。日中戦争という犯罪をなさしめたのも、
ニッポンという「非道徳的道徳国家」の思想だったのではないかとい
ううたがいからぬけることができない。
 わたしは「南京大虐殺のまぼろし」よりも、霊的・象徴的・精神的
に作為され装われた「天皇制のまぼろし」と南京大虐殺のかんけいの
有無のほうに、じつは大きなかんしんがある。「皇軍」の戦士たちはあ
のとき、どんな精神を背負って、殺し、掠奪し、姦(おか)していだ
のだろうか。なぜあそこまで、ああまで残忍になることができたのか。
「実質における最大の非道徳と形式における最高の道徳」の「見事な
相互補完」からなる「非道徳的道徳国家」という論述のなかに、なぞ
をとくカギがありはしないか。藤田省三をまたも読み返す。それにし
ても、「軍人勅諭」が1948年の国会決議で、教育勅語などとともに
「失効」が確認されるまで、陰に陽に生きつづけていたとは、ちょっ
としたおどろきである。「軍人勅諭」や「戦陣訓」がまた幽霊のよう
によみがえり、その姿を変えつつ、反復しながら永続することはない
のだろうか。ため息がでる。「敵産、敵資(敵の産品、資産)の保護
に留意するを要す。徴発、押収、物資の 燼滅(じんめつ)等は総て規
定に従ひ、必ず指揮官の命に依るべし」「皇軍の本義に鑑み、仁恕
(じんじょ)の心能く無辜の住民を愛護すべし」とはよくも言ったも
のである。「皇軍」は中国でおおむねこれと逆のことをやっていたの
だ。この「戦陣訓」が南京の惨禍のあとの太平洋戦争開始の年に通達
されているのは、「戦場での道義・戦意を高めるため」ではなく、そ
のときすでに「戦場での道義」がすたれ、戦争の敗北がはるかに予感
されていたからではないかとさえおもわれる。

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「軍人勅諭」は初めて知りました。天皇が直接戦争に関わっていた動かぬ証拠でとても需要な資料だと思います

2015/10/23(金) 午前 2:09 masao

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> masaoさん、お久しぶりです。
辺見庸は長々〜と綴っていて読むのも苦労しますが、
これらはけっして昔の話ではなく、今の話なのだと思います。

2015/10/23(金) 午後 3:09 [ どんぐり ]


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