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[[attached(1,left)]] (←私の好きな作品、「家栽の人」※) 今国会、三つ目の強行採決で4月19日に衆議院を通過した少年法「改正」案。腹立つー!と騒いでいたら、「私は賛成。だって最近の少年事件はひどいもの」と言った友人がいました。そう思った理由を聞いてみると、少年の凶悪犯罪が増えている、むしろ被害者への対応をあつくするべき、刑罰が厳しくないと抑止力にならない、などのことでした。 でも、少年の犯罪が凶悪化したとか低年齢化したというデータはないのよと言うと、驚いていました。ニュースでセンセーショナルに採り上げられるものが多いので、私たちはついそのように思い込んでしまいがちですが、法務省の発行する犯罪白書を見ると、決してそうではないようです。14歳未満の触法少年の数は、人口比ではこの四半世紀に半減しているといいます。 愛知県弁護士会会長の山田靖典氏によると、殺人・放火などの凶悪犯の検挙人員は過去10年間で2263人から1170人に減少したそうです。1960年代に殺人事件を起こした触法少年は53人でしたが、1990年代は10人になったそうです。 それなら、陰湿な事件などが増えているんじゃないの、と友人は言いました。それに、これから減ることは考えられない、もっともっと増えるでしょうと。 たぶん、そうでしょうね、と私は答えました。けれど、それは少年を取り巻く環境に問題があるから。たとえば、内臓に疾患があって肌が荒れているのに、肌荒れの薬を処方しても仕方がない。少年が健全に育つ場が保障されていないのに、刑罰だけ厳しくしても、根本的な改善はしないでしょうと。 現行法では、14歳未満の子どもたちが法を犯すと、その行為は「犯罪」とはみなされず、児童相談所が管轄となり、子どもの更正のため適切な援助を行います。14歳以上20歳未満だと、事件は家庭裁判所の管轄となり、場合によっては少年院に送られたり保護観察処分になったりします。ただし、14歳以上は前回2000年の「改正」で厳罰化され、家庭裁判所は検察に逆送して刑事裁判所で刑事事件として扱うことも可能となり、16歳以上では一部の重大事件では刑事裁判にまわすことが原則になっています。 今回の「改正」では、さらに以下の二点が大きく変わることになります。 1.少年院の送致は、14歳以上から、おおむね12歳以上(中学生以上)に引き下げられる。 2.14歳未満の少年犯罪に、警察が家宅捜索や証拠押収などの強制調査に乗り出す権限を持つ。(この警察の調査権限は、「犯罪を犯す恐れのある疑いのある少年(虞犯少年)」を発見した場合にも適用される)。 本来、少年法の目的は、少年の健全育成を期すことにあります。この「改正」では、法の目的が、少年を「育てる」ことから「処罰する」ことへ、性質が転換することになります。 今の子どもたちを取り巻く環境は、とても厳しいものだと思います。虐待、ネグレクト、いじめ、貧困、どんどん激化する競争社会など、大人ですら生きることが大変な状況にあるのに、子どもであればそこから受ける影響は計り知れないものがあります。その改善に手をつけずに、子どもを全く信頼しない、罰だけ与えるこの改正案。これで少年犯罪が減ると、どうして思えるでしょうか。仮に減ったとしても、表に現れない事件が増えるか、自虐行為が増えるか、どちらかでしょう。 学生時代に、「刑罰の本質は応報であり、その目的は教育である」と学びました。(相対的応報刑論)。考え方や行動が未熟である子どもには、児童福祉の充実による教育をもっと手厚くするのが筋ではないでしょうか。このようなひどい「改正」案を成立させるのは、大人として恥ずべきことであると私は思います。 ※「家栽の人」
毛利 甚八 原作、魚戸 おさむ 作画のコミック。10年ほど前にテレビドラマにもなりました。 優秀な判事にもかかわらず、出世を拒み、家庭裁判所での任務を続ける異色の裁判官、桑田義雄さんの扱う事件を描いた作品です。同僚の判事は「家裁の仕事なんて、仲の悪い夫婦と頭の悪い子どものおもりさ」と言いますが、桑田判事は出会う人々に真摯なやわらかいまなざしを注ぎ、趣味で行っている植物の栽培のように、人の心をときほぐし、自分で生きる力を引き出していきます。 原作者の毛利さんも、今回の少年法の「改正」には反対だそうです。
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