日本映画の女優たち

グッドモーニングショー(君塚良一監督) 10月8日公開!

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自分が信念を貫く覚悟、その形こそ違えど、同じ時代を生きた二人の、それぞれの青春の終焉。
− 「今の私、フツーですか?」と見つめる忽那汐里の、吸い込まれそうな瞳に備わる演技力 −
 
1969年。全共闘による学生運動が盛り上がっていた時代に新聞記者となった沢田(妻夫木聡)。
望んでいた編集部には配属されずに悶々とした日々の中、ある日、一人の少女の笑顔に癒されます。
「(あれは)誰ですか?」と問う沢田に、「新人の(表紙の)モデルだってさ」と答える先輩記者。
それが沢田と倉田眞子(忽那汐里)の出会いでした。
 
一方、やたらとオーバーアクションで、赤邦軍と言う名の運動部隊のリーダーとして自論を力説し、
仲間を集めるべく呼びかけている大学生の梅山(松山ケンイチ)。他の学生から反論を受けると、
堂々と議論するどころか話をすりかえるような態度で、学生たちも一人また一人と教室を出て行き、
「俺は一人でもやるぞ!」という梅山の叫び声も虚しく響きます。
 
 
全共闘より後の世代の僕は、自分が学生になるまで学生運動については詳しく知りませんでしたが、
1980年代に大学に入学すると、一年生の時に、その大学でも派手に運動が行なわれていたという事実を、
当時を知る一人のベテラン講師から、講義の合い間に聞かされることになりました。
 
実際の激しい状況を目の当たりにした講師からは、大学の建物の中も前の道路も凄かったんだという、
リアルな話を聞くことができました。当時の学生たちの小さな不満の積み重ねが、
たまたま運動として連鎖的に爆発しただけだと言っていたその講師は、そんなパワーがあるんなら、
ぜひ学業に向けてほしいと話していました。おそらくその講師は、毎年のように、
同じ話を大学一年生たちに話して聞かせていたのかもしれません。
 
 
映画に登場する梅山も、はっきりとした目的があるわけではないようです。ただ革命を起こしたい、
おそらく自ら目にした安田講堂の陥落や、海外におけるベトナム戦争などに心を煽られ、
敗戦後25年も経った平和な日本を、暴力によって変えることができると錯覚していたのでしょう。
冷静に考えると梅山の思想には現実味がありませんが、時代が彼をそうさせてしまったのでしょうか。
そんな梅山に、仲間となってついてくる者もいました。
 
後輩の柴山(中村蒼)は、梅山のカリスマ性に惹かれていたようです。自衛隊から武器を強奪するため、
ひと芝居うたされ、事件の実行犯にまでさせられます。梅山の言うことなら何でも聞いてしまうのです。
それほどのカリスマ性を演じさせれば、今の若手俳優の中で、松山ケンイチの右に出る者はいません。
 
重子(石橋杏奈)は梅山の恋人。石橋杏奈は松山ケンイチとの長回しのラブシーンも見せてくれました。
梅山の行動に不安を持つ重子ですが、梅山は言います。「俺、重子のために世界を変えたいんだよ」と。
しかし、その言葉にもどれだけ本心が含まれていたのかどうか、、、。
もう一人の仲間の七恵(韓英恵)は常に冷静。韓英恵はセリフも少なく、鋭い視線の演技で見せます。
 
そんな梅山が行動を起こすと信じた沢田は、梅山と付き合い、こっそり取材を続けるようになります。
しかし、先輩記者からは「梅山にもう近づくな」と釘を刺されることになるのです。
それでも梅山を信じ、その瞬間を待ち続けた沢田は、やっとの思いでスクープを勝ち取るのですが、、、。
 
それからしばらく経ったある日、編集部に一人でいた沢田の前に、久しぶりに眞子が姿を現します。
「私、こないだの号で最後だったんです」と告げる眞子に、沢田も力なく答えます。
「ちょうどよかった。俺も今日で最後だったから」と。そして眞子は言います。
「(学生)運動ってよくわからないけど、賛成につきたくなるような、いつもそんな気がしてた」と。
 
つまり沢田も、はっきりとした理由はないけど梅山を信じてしまった、ということなのかもしれません。
おそらく後になって考えれば、梅山の言動は支離滅裂のところもあったでしょう。しかし、
まだ大学を出たばかりで若かった沢田は、世代の近かった梅山の言動に心を動かされたのです。
 
沢田も先輩記者の指示に従っていれば、辛い目に合うことはなかったかもしれません。
しかしながら、その時代、その年齢層の若者たちは、同じような感覚に陥ってしまったのでしょう。
その結果が学生運動だったと言えるのではないでしょうか。ひょっとしたら僕自身も、
その当時の学生なら、大勢の中の一人としてデモをしていたかもしれないのですから、、、。
 
一つの時代に押し寄せてきた一瞬の大波を、なぜ自分は避けることができなかったのか、
沢田はどんなに後悔しても、もう遅かったのです。時代を責めることはできない、
最終的には自分を責めるしかない、そんな思いに苛まれた沢田の、こみあげてくる感情の爆発。
長回しのカメラがとらえる妻夫木聡の演技が、社会派ドラマを確実に感動作へと昇華させてくれました。
 
 

閉じる コメント(38)

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チュニジアから始まった運動も正義、革命という言葉に高揚したものかもしれません。いつもそうなんですが、話題になったニュースの後日談は消えてしまいますね。私にはこの映画が社会派ドラマには思えなかったのです。TBしますね。

2011/6/18(土) 午後 9:49 シーラカンス 返信する

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くるみさん♪、二人とも役柄をきっちりこなしましたね。
山下監督の中でも、大きな実績となる作品でしょうね♪。

2011/6/18(土) 午後 11:46 ffa**77 返信する

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fpdさん♪、ちょうど学生運動のさなかの学生だったんですね。
片道2時間半のところですか!!それはたいへんでしたね。
ちなみに僕は片道30分でした(笑)。
映画は二人の火花散る演技の競演が大きな見どころとなってます♪。

2011/6/18(土) 午後 11:49 ffa**77 返信する

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シーラカンスさん♪、熱しやすく冷めやすい、忘れやすいというのは、
当時の学生も同じということでしょうか。学生運動に対しても、この映画に対しても、
見方、感じ方は人それぞれですね♪。

2011/6/18(土) 午後 11:53 ffa**77 返信する

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記事「800本」&コメント「12,000」突破、おめでとうございます!

2011/6/19(日) 午後 0:17 fpd 返信する

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fpdさん♪♪、いつの間にか記事も800本になりました。
キリ番というほどではないですが(汗)、1000本の大台まで頑張ります♪。

2011/6/19(日) 午後 1:07 ffa**77 返信する

妻夫木くんと松山くんの共演ってだけで興味ぶかいなぁ〜

2011/6/20(月) 午前 0:06 るぃ 返信する

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るぃさん♪♪、この作品は見ごたえあります。
松山ケンイチならではのカリスマ性も光ってますし、
妻夫木聡は、昨年の悪人に続いて、本作でも素晴らしい演技を見せてくれています♪。

2011/6/20(月) 午前 0:49 ffa**77 返信する

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思いあがりのコメント書きすぎました。ごめんなさい。

2011/6/22(水) 午前 7:08 シーラカンス 返信する

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シーラカンスさん♪♪、↑先日のコメントのことでしょうか。
僕はシーラカンスさんのコメントは、決して思いあがりだとは感じていません。
社会派ドラマに見えないというのも、ごく普通の意見だと思いますので、
特に気になさらないでください♪。

2011/6/22(水) 午後 9:14 ffa**77 返信する

七恵って名前だったんですね。
韓さんが演じた女性が、すごく時代を表わしていたと思います。
ふぁろうさんが、デモに参加してたかも〜と、おっしゃるように
私も、その時代に居たらヘルメットにペンキを塗っていたかも〜って思いました。

2011/6/22(水) 午後 10:33 [ ほし★ママ ] 返信する

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ほし☆ママさん♪♪、学生たちは、カリスマ性のあるリーダに動かされたというより、
時代に動かされたということでしょうか。他人ごとではありませんね。
日本の政治でも、たまに大きな波に乗せられて、
国民の一票によって、政権が変わったりしますからね♪。

2011/6/22(水) 午後 10:41 ffa**77 返信する

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あの無茶振りな理論にどこか説得力があるとすればそれは勢いだけしか
なかったのかもしれないと思いますが、自分が知らない部分で
力説されるとそれも思い込んでしまうものでしょうからね・・・。

あの教室か何かで議論して任されそうになったときも無理やり
押し通していましたものね(笑)

こういうのって現代の○○詐欺につながっていたりするのかなぁ
などとふと思ってしまいました。宗教然り、電話勧誘然り。

しかしどこかで信じたいという気持ちも分かる気がします。
あたれば特種ですしね。。。

2011/8/17(水) 午後 9:00 エルザの大聖堂への行列に並ぶ人 返信する

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エルザさん♪、あの時代の学生というのは、梅山の話の中身よりも、
彼の話す勢いに負けてしまいそうでしたが、まともに議論すれば、
ぼろが出そうな雰囲気したね。
確かに、うまい話より、うまい話し方に、人は騙されるんですよね♪。

2011/8/17(水) 午後 10:28 ffa**77 返信する

主演ふたりの演技はすごくよかったです。
でも思想というかひとりよがりのような気もするしその時代の感覚の違いなのかいまいち共感できなかったのが残念でした。
TBお返しさせて下さい。

2011/11/24(木) 午前 0:22 るぃ 返信する

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るぃさん♪、時代ならではの思想には今ではついていけない部分もありますね。
松山ケンイチのカリスマ性は見えましたけどね。
でも妻夫木聡の号泣には、人間らしさ出ていたと思います♪。

2011/11/24(木) 午前 1:31 ffa**77 返信する

沢田の涙は、真実が見えず、どうしようもなく甘ったるかった自分の青さへの悔恨でしょうか?
でもカリスマに憧れてしまう気持ち、ちょっとわかるような気がします。
それにしても梅山はうすっぺらかったですね。
言い負かされそうになると、じゃあ出ていけばって、子供。
でも沢田の信じたい気持ちが真実を見えなくしていました。
その一方で眞子ちゃんの鋭さったら。

2011/12/25(日) 午後 9:52 ちいず 返信する

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ちいずさん♪、あの涙は、自分を責める涙と言える気がします。
薄っぺらい梅山を信じてしまったという後悔でしょうか。
梅山はカリスマ性も垣間見えましたが、実は中身が伴わないという男でしたね。
当時の学生運動家には、こんなタイプも多かったんでしょうね♪。

2011/12/26(月) 午前 0:00 ffa**77 返信する

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確かに、実話をベースにした点もあって、「事件よりも事件にかかわった人間ドラマ」がきちんと描けている作品でしたね。
TBします。

2012/6/30(土) 午後 9:15 [ ひろちゃん2001 ] 返信する

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ひろちゃん2001さん♪、人間ドラマとして描かれていて、
特に妻夫木聡の演技力は、大いに評価できる作品だったと思います♪。

2012/7/2(月) 午前 1:03 ffa**77 返信する

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