日本映画の女優たち

グッドモーニングショー(君塚良一監督) 10月8日公開!

全体表示

[ リスト ]

あなたへ

 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
 
思い出の地を巡るからこそ、故郷の海だからこそ、伝わってくる。そんな妻の想いが、ここにはある。
− 心に響く歌声を聴かせる、夫の気持ちに笑顔で応える、田中裕子の素朴にして優雅なる妻の姿 −
 
窓際に吊るされた風鈴の音色に、在りし日の妻・洋子(田中裕子)の笑顔を思い出す倉島(高倉健)。
回想故にその画面はモノクロで、今も残っている風鈴だけに色がついているという映像手法です。
 
たとえば写真やモノなど、何かを見るという視覚によって、亡くなった人を思い出すこともありますが、
ふとした音が耳に入った時、つまり聴覚の刺激によって、亡き人を思い起こすこともあるでしょう。
そんなシーンから幕を開けるストーリーは、倉島が洋子からの遺言を受け取るシーンから動き始めます。
 
洋子が残した2通の遺言。しかし、そのうちの1通はその場では見せてもらえず、
洋子の遺志によって、彼女の故郷である長崎県平戸の薄香の郵便局で受け取ってほしいとのこと。
この遺言によって、富山から長崎への倉島のワゴン車での旅がスタートするわけです。
映画を観ている方も、倉島同様に「妻はなぜ、こういう形に?」という疑問を抱くわけですが、
それを知るために、倉島と同じ気持ちになって、行く先々での旅の醍醐味を味わうことになるのです。
 
一方、開封したもう1通の遺言には、「あなたへ 私の遺骨は故郷の海へ撒いてください」とだけ。
そんな洋子の遺志をかなえるために薄香を目指す倉島。その旅の途中には、洋子との出会いから、
夫婦での生活の日々が、そして洋子が亡くなる前の病室での様子が、随所に盛り込まれていきます。
 
病室の回想シーンでは、「これ(小さな瓶に挿した花)、置く場所、(車の中に)作っといてね」という、
そんな洋子の言葉を思い出すのですが、このシーンでも、部分的に色をつける効果が発揮されていました。
 
旅は道連れという言葉がありますが、旅の途中に出会う人たちとの交流も見どころですが、
杉野(ビートたけし)との関係では、杉野の意外な人物像にちょっと驚かされました。
また田宮(草剛)と南原(佐藤浩市)との交流では、終盤にやや強引と思える設定もありました。
しかしながら、数々の出会いによるエピソードよりも、回想シーンを多めに盛り込んだシナリオが功を奏し、
最後まで、倉島と洋子の愛の軌跡の物語という基本線が崩れず、作品として上手くまとまっています。
 
旅で出会った人たちとの会話の中にも、耳に残る言葉はいくつもありますが、
いざ終わってみれば、やはり倉島と洋子の数々の言葉がに心に刻まれています。
中盤、「大切なものって、失くしてしまってから、その価値に気付くんですね」と、倉島に語りかける洋子。
また終盤には、「女房にとって、自分はなんだったんだろう」と倉島が切々と語るシーンも印象的です。
 
高倉健がいるだけでスクリーンが引き締まるのですが、それぞれのシーンにマッチした共演者の演技も、
作品のクオリティを高めています。田中裕子の優しい笑顔と、秘めたる想いが込められた表情はもちろん、
ちょっとしたシーンでの原田美枝子の安定感、後半には、あるエピソードをもたらす余貴美子の強烈な存在感、
さらに綾瀬はるかの「こげん日は人の好意ば受けんと!」と言う漁師町の娘像も好演でした。
 
クライマックスでは、夕陽をバックに揺れる船の映像も美しく、再び回想で風鈴のシーンが登場し、
今度はフルカラーになることで、倉島の妻への記憶がより鮮明になったことを教えてくれるのです。
 
妻の遺志を果たすまで、いろいろと紆余曲折はあるものの、倉島の回想と旅で綴られたストーリーは、
ロードムービー以上に、大人の夫婦の愛の物語として仕上がっています。
 

<映画の次回作情報>
 
綾瀬はるか
映画 ひみつのアッコちゃん(川村泰祐監督)
現在公開中     共演:岡田将生、谷原章介、吹石一恵、塚地武雅、大杉漣、加賀丈史、香川照之 他
 
リアル〜完全なる首長竜の日〜(黒沢清監督)
2013年初夏公開   共演:佐藤健、中谷美紀、オダギリジョー、染谷将太、松重豊、小泉今日子 他
 
 
原田美枝子
ふがいない僕は空を見た(タナダユキ監督)
11月17日公開    共演:永山絢斗、田畑智子、窪田正孝、小篠恵奈、三浦貴大、銀粉蝶 他
 
ミロクローゼ(石橋義正監督)
11月24日公開    共演:山田孝之、マイコ、石橋杏奈、鈴木清順、佐藤めぐみ、奥田瑛二 他
 
奇跡のリンゴ(中村義洋監督)
2013年公開予定   共演:阿部サダヲ、菅野美穂、山努、池内博之 他
 
 
余貴美子
横道世之介(沖田修一監督)
2013年2月13日公開 共演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛、堀内敬子、國村隼 他
 
だいじょうぶ3組(廣木隆一監督)
2013年公開予定   共演:国分太一、田口トモロヲ、乙武洋匡 他
 

閉じる コメント(18)

確かに!
回想シーンで、これまでの夫婦の軌跡を知ることができました。
妻の愛を改めて知るような旅でしたね!☆

2012/9/17(月) 午前 7:01 iruka

顔アイコン

夫婦の軌跡だよなぁ。

2012/9/17(月) 午後 3:32 [ 土佐文旦 ]

アバター

irukaさん♪、主人公の旅先での妻との思い出が、いろんな土地にあって、
そこでの夫婦の会話が、在りし日の夫婦関係を思い起こさせてくれるシナリオでしたね♪。

2012/9/17(月) 午後 10:27 ffa**77

アバター

土佐文旦さん♪、そうですね、夫婦の軌跡を辿り直したストーリーとでしたね♪。

2012/9/17(月) 午後 10:28 ffa**77

アバター

そうですねぇ、僕も遺骨は故郷の海に撒いてもらおうかな。
僕の故郷は清水港なんです。お、今住んでるとこだっけ…(←自分でも白々しいボケ)。
ロードムービーというのは、人との出会いの不思議さが、面白いですよね。

2012/9/18(火) 午前 5:40 出木杉のびた

ただ健さんが平戸へ旅するという話なのに そこに健さんがいるというだけで すべてが絵になるという、妙(^^♪
そして裕子さんが微笑み 秀治さんが一言二言、すてきな風情が出て、好きな映画となりました。

2012/9/18(火) 午前 8:41 たんたん

アバター

のびた先生♪、故郷って、今も地元に住んでるじゃないですか!
ロードムービーは、やはりいろんな人たちとの出会いや、
いろんな風景が楽しめるのも魅力ですね♪。

2012/9/19(水) 午前 1:19 ffa**77

アバター

たんたん先生♪、スクリーンが引き締まるほどのオーラをもっているのが高倉健ですね。
田中裕子はベテランになっても可愛らしさが魅力の女優です。
大滝秀治も、いつみてもならではの存在感がありますね♪。

2012/9/19(水) 午前 1:21 ffa**77

温かい映画でしたね〜。
たけしがまさかあそこで浅野忠信に○○されるなんて思ってもみませんでしたよ〜。
トラバ返し〜。

2012/9/20(木) 午後 9:50 nami

アバター

なみぺーさん♪、全体的には夫婦愛のストーリーでしたね。
部分的にちょっとびっくり、というか意外な展開があって、
たけしの件もまさにそうでした。旅の途中でもいろんな人に出会うように、
世の中にはいろんな人がいるものだと、観る者に教えたいシーンだったのかもしれません♪。

2012/9/21(金) 午前 1:13 ffa**77

こんばんは〜☆彡
自分に置き変えて考えてしまってました(°°;)"((;°°)
切なくて、つい佐藤浩市&余貴美子の方に目線が・・・(笑)
でも、そこにもうひとつの「あなたへ」があったと思うのです。
人との交流って大切だということ、誠意を持って接すれば気持ちは伝わる。。
そういうこともしっかり描かれていたと思います。。
TBさせてくださいね<(_ _)>

2012/9/23(日) 午後 11:52 ふぇい

アバター

ふぇいさん♪、なるほど、もうひとつの「あなたへ」でしたね。
旅の中での人と人との交流、いろんな側面から描かれてましたね♪。

2012/9/24(月) 午前 0:41 ffa**77

顔アイコン

大人の日本映画と言うにふさわしいというか、こういう作品は日本の古き良き文化なんだなと感じました。
TBお願いします。

2012/12/4(火) 午前 0:22 かず

アバター

かずさん♪、高倉健が主演ということもあり、存在感が際立ってましたね。
正統派の日本映画と呼ぶにふさわしい夫婦の愛の物語でしたね♪。

2012/12/4(火) 午後 11:16 ffa**77

顔アイコン

ビートたけしのエピソードは結構好きなんですよね。
何故か、高倉健演じる主人公には全く気概をくわえようとしていない。
「何か」を感じたのでしょうかね?逆に本をあげたりしている(笑)

綾瀬はるかは、こういう真面目な役も結構イケてますね!!
彼女に対する期待度はあまり高くなかったのですが、良かったです。

2012/12/13(木) 午前 1:04 エルザの大聖堂への行列に並ぶ人

アバター

エルザさん♪♪、あのたけしのエピソードは、いろんな意見があるかもしれませんね。
綾瀬はるかも、年々演技の幅が広がっていると思います♪。

2012/12/13(木) 午後 11:54 ffa**77

高倉健さんが亡くなりました。大滝秀治さんも亡くなりました。
共演の田中裕子、佐藤浩市、草剛、綾瀬はるか、余貴美子、原田美枝子。長塚京三…
みんないい味を出してました。最期の作品に相応しい出来でした!

2014/11/30(日) 午前 1:21 やっくん

アバター

やっくんさん♪、考えてみれば、いくつかの映画賞で主演男優賞も受賞していて、
遺作にふさわしい映画でしたね。脇役陣も素晴らしかったです♪。

2014/11/30(日) 午後 0:18 ffa**77

開く トラックバック(9)


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事