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ジャズの音色にのせて、セピア色の写真と共にたどる旅は、50年越しの約束を叶えるために、、、。
現代風の大学生・大翔:ひろとを演じるのは、鈴木亮平。
これまで映画やドラマで、脇役でしか見たことありませんでしたが、 今回は、財津一郎が演じるじいちゃんの旅のパートナーとして、立派に主演を果たしています。 ある日、大翔の父親の良雄(陣内孝則)から、死んだと聞いていた、じいちゃんの話が飛び出します。
「ほんとは生きてたんだ。(もう治ってるけど)おやじはハンセン病だったんだ」と。 そのじいちゃん・健三郎(財津)が、療養のために50年間も隔離されていた島の病院から、 神戸の家に戻ってくる直前から、ストーリーが幕を開きます。 良雄の妻・律子(古手川祐子)は、じいちゃんを受け入れることに躊躇しているようですが、
そのじいちゃん自身も、家に戻ることに乗り気ではなく、病院の看護師・ハヨン(MINJI)から、 説得を受けているようです。それでも大翔は、祖父を迎えることに積極的です。 「だって家族だぜ。普通ほっとけないでしょ、人間として」と。 舞台は神戸やのに、登場人物たちの話し言葉が、なんで関西弁ちゃうねん!などど、
ここでツッこんだらあかんよ(笑)。決してコメディではありませんが、 財津一郎が見せるちょっとしたユーモアは、本作でも冴えています。 そして舞台は、神戸から京都、和歌山、名古屋、そして、ふたたび神戸へと、
ロードムービーとして展開します。ここは各地で映し出される風景にも注目です。 京都は緑の山々、和歌山は青い海、そして名古屋は都会の高層ビルと、そのバリエーションも豊かです。 しかも旅が続けば続くほど、感動が高まっていくというシナリオです。 さて、じいちゃんの旅は家出から始まります。ひさしぶりに家に帰って来たわけですから、
家族としては、じいちゃんには家でゆっくりしててもらいたいのに、当のじいちゃん本人は、 人生でやり残したことがあるんだと、50年も待たせたかけがえのない仲間たちがいるんだと、 50年越しの約束を果たすために、家を飛び出していくのです。連れ戻しに出かけた大翔も、 じいちゃんの旅の目的を知り、旅にとことん付き合う決心をします。 50年前の約束の思い出の場面が挿入されますが、ジャズ仲間たちが、がっちりと手を握り合うシーン。
50年間も島でトランペットを吹き続けていた健三郎の想いを伝える、効果的な回想シーンです。 そして再会する仲間たち。しかしさすがに50年という歳月は人間を大きく変えてしまうものです。
久しぶりに京都で再会した辰夫(犬塚弘)は、認知症が始まっているようです。 しかし、一枚の写真が当時の記憶を呼び起こすのです。「健ちゃん!待ってたんだよ」と。 和歌山でのんびり暮らしている勝(佐川満男)とは、顔を見るなり「マサ!」、「ケン!」と、
肩を抱き合い、勝からユリッぺ(MINJI二役)の思い出が語られます。 ユリッぺも当時のバンドメンバーで、健三郎の妻でしたが、健三郎が島に隔離されて以来、 夫がハンセン病だからと、自分の産んだ子供すら抱かせてもらえず、 部屋に閉じ込められて寂しい生活を送ることを余儀なくされていたようです。 勝から健三郎は聞かされます。 「(ユリッペが)亡くなる一ヶ月前に、ライブやりたいね」って言ってたことを。
もう一人のメンバー由紀夫(藤村俊二)は、名古屋で大企業の会長になっています。
受付で面会を断られる健三郎ですが、健三郎からのメモが受付に残されます。 「神戸に戻った」との、たったひと言のメモを目にした由紀夫は、部下に伝えます。 「すぐに神戸に行く」と。
そして迎える神戸の名門ライブハウスでのクライマックス。
かつてバンド仲間たちと交わした約束を、やっとの想いで果たす念願のライブ。 ふたたび、がっちりと手を握り合う彼らの姿に、感動で胸が震えます。 さらに父親である健三郎と息子である良雄が、父と子の絆を確かめ合うシーンや、
健三郎が律子にかける温かい言葉で、これまでの家族のわだかまりもすべて解けるシーンが、 感動の後押しをしてくれます。 ベテラン陣の重厚な演技、とりわけ76歳の財津一郎の熱演に心からの拍手を贈りたい作品です。
<映画の次回作情報> 古手川祐子
:ばかもの(金子修介監督) 12月18日公開 共演:成宮寛貴、内田有紀、白石美帆、中村ゆり、浅見れいな、浅田美代子、池内博之 他 |

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