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おなじみナイロン100℃のメンバーに加え、最近舞台での活躍も目立つ中越典子、緒川たまき、奥村佳恵ら、
豪華な女優陣が華々しく競演。比較的小さな円形の舞台を、10人の女性たちが華やかに彩ります。 映画版(1961年/市川崑監督)のオリジナル(脚本:和田夏十)を、ケラリーノ・サンドロヴィッチが、
舞台用に台本化し、演者各々の個性を発揮させるべく、場面やセリフにも趣向が凝らした作品となっています。 今回は青山円形劇場ですから、観客席より低い場所、すりばち状の真ん中に回転する舞台があり、
ほぼ360度を観客に囲まれた形で演じる役者たちもたいへんだと思いますが、観ている方も、 目の前で演技が観られ、逆に背中の芝居があったりと、いつもと違った形で舞台を楽しむことができます。 しかもここは客席が5列ほどしかなく、いくつもの花道を演者が出入りするので、 どの座席に座っていても、役者たちの演技をすぐ間近で堪能することができます。
物語は、テレビ局のプロデューサー・風松吉(みのすけ)をとりまく十人の女たちの、
嫉妬と愛憎が渦巻くストーリー。その十人とは、松吉の本妻と、テレビ局に出入りする9人の女たち。 もちろんところどころに笑えるシーンもあり、ナイロンの舞台特有の映像演出も効果的です。
本妻がいながら、多くの女性と関係を持つ松吉。二股ではなく、十股とでも言うのでしょうか。
どの女性も、松吉が複数の女性と付き合っていると知りながら、別れることができない状態。 しかし、このままこんな関係を続けていても仕方ないと、ある日、十人は、ある計画を練るのです。 オリジナルの映画版は観ていませんが、今回はかなりアレンジされているようで、
ラストシーンまで、十人の女たち全員が舞台狭しと動き回ってくれます。 女1・市子(峯村リエ)は、風松吉の本妻。レストランの経営者でもあり、落ち着き払った視線が、
時に恐ろしく、その立ち居振る舞いに貫禄を感じさせます。立場上、十人のまとめ役にもなります。 女2・双葉(松永玲子)は、舞台女優。個人的には、松永玲子が10人の中でいちばん好きな女優です。
セクシーな衣装にはくぎづけで、常にどっしりと構える存在感は、ナイロンの舞台に欠かせません。 女3・三輪子(村岡希美)は、テレビドラマの台本印刷を引き受ける印刷会社の女社長。
かなり真剣に松吉に想いを寄せている未亡人。終盤、亡霊となって独特の動きを見せます。 女4・マリ(中越典子)は、売り出し中の歌手。ナイロンのアクの強い女優陣に負けじと、
アイドル歌手よろしく振り付きで歌ってウインクをする中越典子。マリのプロモーション映像まであります。 女5・五十鈴(緒川たまき)は、テレビ局のエレベーターガール。テレビアニメの声優が喉を壊し、
急きょ声優に抜擢されて、奇妙な声で周囲を驚かせるシーンは、ケラの仕組んだ妻へのサービスかも。 女6・六香(新谷真弓)は、コマーシャルガール。実際のメーカー名や商品名がたくさん出てきますが、
生のコマーシャルで失態をやらかしまくるという、6番目ながらかなり目立つキャラを好演です。 女7・七美(安澤千草)は、マリの歌唱指導を担当する先生。いわゆる大人の女性ですが、
終盤、マリと子供じみた喧嘩をしたり、また仲直りしたりと、忙しい役柄でもあります。 女8・八重(皆戸麻衣)はアシスタント・ディレクター。仕事柄、松吉のそばにいることも多いですが、
忙しくてなかなか彼に話を聞いてもらえないという、じれったさを感じる女性が似合っています。 女9・正子(植木夏十)は、テレビ局の社員食堂のウェイトレス。カレーライスをたのまれても、
しょうが焼き定食を平気で持ってきたりしますが、途中で気がつくという淡々とした女性です。 女10・十糸子(菊池明明)は、テレビ局の女性事務員。菊池明明はナイロンの中で最も若手の女優です。
一見、地味な役柄ですが、しっかりと個性を発揮した演技に、将来が楽しみな女優だと感じます。 さらに、若手女優の百瀬桃子(奥村佳恵)が登場し、松吉と一晩だけいい雰囲気にもなります。
奥村佳恵が、特技のクラシックバレエを生かしたダンスを、円形の舞台で華麗に披露してくれます。 おなじみの男優陣では、キャスター役で自分の出来事をニュースにして読んでしまうという小林高鹿、
テレビ局の芸能局長役の藤田秀世、ディレクター役の廣川三憲らも、女優陣に負けじと奮闘します。 言葉だけでなく体もぶつかり合うという、十人の女性たちの葛藤。そこに見え隠れする女のしたたかさ。 複雑な感情が縦横無尽に入り乱れる女性たちの美しさと怖さからは、最後まで目が離せません。 <映画の次回作情報>
中越典子
:劇場版サラリーマンNEO(吉田照幸監督) 11月3日公開 共演:小池徹平、生瀬勝久、沢村一樹 他 |
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2011年05月22日
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