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繰り返される金曜日。その多視点的な映像が構成する時間と空間に存在する誰かの視線に共感。
− ゾクッとするほどの橋本愛の冷めた視線、ちらつかせる嫉妬心に切なさ見せる大後寿々花 − とある金曜日。職員室で顧問と脚本の話をしている映画部の前田(神木隆之介)と親友の武文(前野朋哉)。
職員室の片隅には、机にひれ伏して泣いている女子がいます。
その光景を見ている先生が「桐島(のこと)ですか?」と別の先生に尋ねると、 聞かれた先生が「桐島(のことです)」と答えます。いったい桐島に何があったのか、、、。 実はこのさりげない会話に何かヒントがあるのかもしれないと思っていたのですが、
最後の最後までその何かが明かされることはありません。ラストに向かって興味は募るばかりですが、 実はストーリーは桐島本人の話ではなく、彼と同じクラスの生徒や、彼と同じバレー部の部員たち、 彼の恋人、彼の親友など、桐島をとりまく生徒たちの群像劇となっています。 運動部系、文化部系、帰宅部系、高校時代はいろんな生徒がいました。もちろん部に籍を置きながら、
帰宅していた生徒もいるでしょう。帰宅部よりは文化部がエライとか、文化部よりは運動部が優先とか、 そんなせめぎ合いがあったかもしれません。クラスの中では大親友でも、部活の時間はまったく別行動で、 部活が終わるのをお互いに待って、いっしょに帰宅する仲の良い生徒たちの姿もよく見かけました。 クラスの中では、友だちグループの中で意見が対立したり、時には孤立を経験することもありました。
強いチームを作るため、あるいは良い作品を作り上げるために、部活仲間との確執もありました。 もちろん進路のことで悩んだり、好きな異性のことが気になったり、嫉妬心を抱くこともあったでしょう。 この作品は誰かが主人公というわけではなく、もちろんタイトルになっている桐島という生徒でもなく、
登場人物の誰もが主人公です。だからこそ、冒頭、それぞれの視点でカメラが回されるのです。 それゆえ自分の高校生時代を思い出しながら、その誰かに、その何らかの言動に共感できるのです。 前田は、顧問からは自分たちの現実を映画にしろと言われましたが、ゾンビ映画の脚本を書きました。
「ゾンビにリアリティはないだろ!」と顧問に呆れられますが、信念を貫く姿勢を応援したくなります。 地味な性格で他人に譲ってばかりですが、ここだけは譲れないという瞬間がラストにやってきて、、、。 宏樹(東出昌大)は桐島の一番の親友ですが、桐島からは何も聞かされていないのでしょうか、、、。
梨紗(山本美月)は桐島の彼女ですが、桐島と連絡さえ取れなくなり、イラつくばかりで、、、。 梨紗の親友の沙奈(松岡茉優)は宏樹と付き合っていますが、その親密ぶりを見せつける嫌な性格で、、、。 宏樹に片思いの亜矢(大後寿々花)は吹奏楽部の部長。後輩の詩織(藤井武美)からも慕われていますが、
クラスには友だちもいません。なぜか一人で、場所を変えながらサックスの練習をしていて、、、。 バドミントン部のかすみ(橋本愛)はいつも冷静な性格ですが、何か秘密があるようで、、、。
同じバドミントン部の実果(清水くるみ)は、梨紗、沙奈、かすみと仲良しの4人組ですが、 いつも体育館の隣のコートで練習しているバレー部の風助(太賀)が気になるようで、、、。 そして桐島がいなくなったことによって、いちばん注目されることになった風助は、
桐島の後釜としてチームのリベロを任されるのですが、、、。 まさに誰もが主人公。その誰かに自分自身の高校生時代を重ね合わせることで思春期の記憶が甦る秀作。
青春映画には、やはり校舎の屋上が、そして夕日が似合うのです。 <映画の次回作情報> 橋本愛
:BUNGO〜ささやかな欲望〜(監督:冨永昌敬、西海謙一郎、熊切和嘉、関根光才、山下敦弘、谷口正晃) 9月29日公開 出演:谷村美月、水崎綾女、石原さとみ、波瑠、山田孝之、リリー・フランキー 他 :ツナグ(平川雄一朗監督)
10月6日公開 共演:松坂桃李、樹木希林、佐藤隆太、桐谷美玲、遠藤憲一、八千草薫、仲代達矢 他 清水くるみ :旅の贈りもの 明日へ(前田哲監督) 10月27日公開 共演:前川清、山田優、葉山奨之、須磨和声、徳井優、二木てるみ、酒井和歌子 他
松岡茉優
:悪の教典(三池崇史監督) 11月10日公開 共演:伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、水野絵梨奈、山田孝之、吹越満 他 :鈴木先生(河合勇人監督)
2013年1月12日公開 共演:長谷川博巳、臼田あさ美、土屋太鳳、風間俊介、田畑智子、富田靖子 他 藤井武美
:悪の教典(三池崇史監督) 11月10日公開 共演:伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、水野絵梨奈、山田孝之、吹越満 他 |

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