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誰にだって、大声でシュプレヒコールしたい時があるはず、、、。
鴻上尚史の企画・原作・脚本・演出、堤幸彦の企画・原案による舞台「僕たちの好きだった革命」を
東京芸術劇場にて鑑賞しました。初鑑賞ですが、2007年に初演された人気舞台の再演です。
パンフレットには鴻上尚史と堤幸彦の対談が掲載されていますが、それによると、
元々は堤監督が映画化しようと20年間も温めてきた企画だったらしいのですが、
実現しないまま、2年前に鴻上尚史が舞台化という形でやっと実現した企画とのことです。
国語教師となって母校の拓明高校に戻ってきた日比野(塩谷瞬)が、2007年、
文芸部の部室で、8年前に書かれてボツになった原稿『僕たちの好きだった革命』を見つけ、
その内容を見て当時を回想するという形でストーリーは始まります。
よって舞台は1999年の拓明高校。日比野のクラスには、これを書いた小野未来:ミク(片瀬那奈)や、
高島希:のぞみ(森田彩華)らがいました。そしてこの原稿の中心人物として描かれているのが、
この年、拓明高校に復学してきた山崎(中村雅俊)です。実は山崎は、
1999年から遡ること30年前、1969年に起こった拓明高校の学生運動に参加した人物だったのです。
学生運動のリーダーだった兵頭(大高洋夫)が演説をしていたところを機動隊に引きずれ下ろされ、
代わりに演説していた時にガス弾を受けて意識不明に陥ったのですが、なんと30年ぶりに意識を
取り戻し、47歳にして拓明高校に復学してきたという、ものすごい設定です。
当然、1999年の高校生と、1969年の高校生では言葉づかいも考え方も異なります。
そのため山崎は、日比野らの会話がちんぷんかんぷんで、その逆もしかり。そのため、
彼らの会話には何度も笑いが起こります。たとえば、山崎にシュプレヒコールと言われても、
未来や希らは、そのシュリンプなんとかって何?とか、山崎がアジビラ(アジテーション・ビラ)を
配ると言っても、魚料理より肉の方が好きでしょ?とか、会話がまったくかみ合いません。
もちろん、1999年の高校生の会話を、30年ぶりに目覚めた山崎が理解できるわけもなく、
彼の態度がムカツクと言われても、胃でもむかついてるのか?などと言って胃腸薬を出してくる始末。
とにかく30年も経ってから復学するわけですから、当時の同級生だった兵頭が教頭になっていたり、
同じく同級生だった文香:ふみか(田島令子)の娘(未来)が同じクラスにいたりするわけです。
さまざまな世代の人間関係が絡み合って展開するストーリーは、生徒は学校に管理されるのではなく、
生徒が中心になってものごとを進めないといけないという山崎の考え方に同調する生徒たちが
徐々に増え、そして30年ぶりに革命的なことを推し進めるクライマックスへと突き進むのです。
思った通りのことをやる。それが若さの特権。国語教師となって行き詰っていた日比野が、
当時を思い出して感じたのは、いつまでも若い時の気持ちを忘れず、何事にも失敗を恐れず、
前向きに挑戦していた時の気持ちを思い出して生きていこうということです。
そんなことを改めて教えてくれる物語であり、1999年を知る人にも懐かしい出来事やキーワードが
ちりばめられ、もちろん1969年を知る世代にもノスタルジーが漂ってくる舞台に仕上がっていました。
しかも、1999年のラッパー役として登場するGAKU-MCのラップも聞ける、
中村雅俊演じる山崎のフォークギターでの弾き語りも聞ける、
そんな盛りだくさんの舞台に、何度もカーテンコールの拍手が沸き起こりました。
ただ、舞台本番が無事に終了すると、大ベテランの中村雅俊でさえ、
ふっと緊張感がゆるむことがあるのでしょうか。
カーテンコールでの観客に向かっての挨拶で、思いっ切りかんでしまいました。
これには客席からもステージ上にズラリ並んだ共演者からも大きな笑いが起こりました。
しかも最後は、何度もカーテンコールでステージに呼び出されるものですから、
とっとと帰れ!というシュプレヒコールで、ステージ上の中村雅俊から観客は追い出される格好。
しかしこれには最後まで観客も笑いっぱなし、みんな大満足だったと思います。
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