日本映画の女優たち

グッドモーニングショー(君塚良一監督) 10月8日公開!

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徹底した時代考証から生み出されるリアル感が冴えるタイムトラベル型時代劇エンタテインメント。
− 夏帆、未来のコスチュームも、セーラー服も似合うジャーナリストが見せる歴史的好奇心 −
 
テレビドラマ「タイムスクープハンター」の面白さは、時空ジャーナリストの沢嶋雄一(要潤)が、
過去のさまざまな時代にタイムワープし、いわゆる教科書には載っていない名もなき庶民の暮らしを、
ドキュメンタリーとして特殊カメラで記録していく際の、臨場感あふれる映像表現にあると言えます。
 
「当時の人々にとって、私は時空を超えた存在です。
 彼らにとって私は宇宙人のような存在です。〜彼らに取材を許してもらうためには、
 特殊な交渉術を用います。それについては極秘事項のためお見せすることは出来ませんが、
 今回も無事密着取材することに成功しました」と、おなじみの沢嶋のセリフから始まるストーリー。
 
毎回、その時代の名もなき人たちが主人公ゆえ、ドラマ内の登場人物も名の知られていない俳優が多く、
ドラマを見ている者も、まさにその時空間に、沢嶋と共に訪れているような感覚を味わえるのです。
そのドラマも2009年にスタートして5年目を迎え、いよいよ映画化となりました。
 
劇場版の舞台は、日本史の中でも時代を揺るがす大きな事件が多かった戦国時代。
それは同時に謎めいた時代でもあり、歴史に名を残すことになる人間的な魅力を持つ戦国武将や、
後世に伝わるさまざまな事件が、映画やドラマとして映像化される頻度も高い時代です。
 
今回の劇場版も、明智光秀が織田信長に謀反した理由に謎が多いとされる本能寺の変から始まります。
時代は1582年6月。安土桃山時代ですが、時代の栄華を誇ったとされる安土城にスポットを当て、
やはり今もって謎とされる安土城の焼失までを、大胆な仮説とともに描いていきます。
 
本能寺の変、安土城の焼失とはいえ、織田信長や明智光秀が物語の表舞台に出ることはありません。
あくまでも主人公は名もなき庶民。今回、沢嶋が現地で出会うのは島井宗叱という商人(上島竜兵)と、
ひょんなことから宗叱と旅をともにする織田家に仕えていた矢島権之助(時任三郎)という武士です。
当時の人物を上島竜兵や時任三郎という名の知られた役者が演じる点は、劇場版ならではでしょうか。
 
しかも今回は、いつも一人で取材の旅をする沢嶋に、部下として細野ヒカリ(夏帆)が同行します。
歴史好きな女子、いわゆる歴女として安土城の焼失に興味を持ち、現地での取材活動に花を添えます。
 
また、携帯型のタイムワープ装置が危機一髪の場面で使用されたり、クモのような小型の移動式カメラや、
微細な穴にも入るミミズのような超小型カメラ、さらに特定の人物の動きを36秒間止めるフリーズガン等、
ハイテク機器も次々と登場し、見どころも満載です。
 
沢嶋のタイムトラベルは常に危険と隣合わせですが、今回も何度も危険な場面に遭遇し、
しかも歴史を変えてしまうような現象が起こってしまい、歴史の修正のために時代から時代へ飛ぶなど、
サスペンスタッチで繰り広げられるあるストーリーは、日本史ファン、タイムトラベルものファンには、
最後まで目が離せない嬉しい展開です。
 
さらに、いつも本部から沢嶋に指示を出す古橋ミナミ(杏)が、今回は安土城へタイプワープ。
沢嶋たちの危機を救うシーンもあり、いつもと違うミナミのアクションシーンを見るこもができるのも、
本作の魅力のひとつです。
 
誰もが知っている歴史上の大事件だけでは見えない当時の庶民の暮らし。そこから見えてくる本当の真実。
われわれ一般の庶民こそが、歴史を動かしてきたと実感できるエンタテインメント的な仕上がり。
 
そして安土城焼失の意外な原因が記録された映像は、、、エンドロールに注目!
 
 

少年H

 
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波乱の少年時代を生きたHが見た父親の存在感。その父親が教えてくれたのは、自分を信じること。
− 深い信仰心を演じて見せた伊藤蘭、戦時中の家族を支える妻として、母としてのたくましさ −
 
タイトルこそ「少年H」ですが、映画の主人公はあくまでもHの父親である妹尾盛夫(水谷豊)。
つまり本作は、少年Hと呼ばれていた妹尾肇(吉岡竜輝)が激動の時代に目にした父親の生き方であり、
父親から教えられた考え方を、自分自身の中にしみこませた時代の物語と言えるでしょう。
 
舞台は1941年4月の神戸。水谷豊と伊藤蘭が、映画の中でも夫婦を演じるという点も話題でしたが、
さすがに長年付き添っている夫婦ということもあり、息がもぴったりの夫婦を演じています。
妹尾盛夫のおっとりとしたしゃべり口調が水谷豊のキャラにもぴったりで、妻の敏子(伊藤蘭)も、
家の中では標準語を話すようにと子供たちに日頃から教えていたこともあって、
東京の役者が話す関西弁にもあまり違和感を感じず、すんなりとこの作品の世界に入っていけました。
関西では父親や母親が、息子や娘のことを普通にアンタと呼びますが、その呼び方も板に付いています。
 
神戸で洋服の仕立屋を営む盛夫は外国人のお得意様が多く、挨拶程度とは言え英語やドイツ語など、
いくつかの国の言葉を話します。それを見たHは、自分の父親はスゴイ!と思うわけですが、
「外国人との付き合いも人と人やからな。国や言葉はあんまり関係ないんと違うかな」と、
父親はHにさらりと言うのです。
 
そんな折、アメリカから届いた絵葉書に描かれたエンパイア・ステート・ビルディングの大きさに感動し、
それが後に開戦することとなるアメリカという国の脅威の原点になるHですが、、、。
 
時代が太平洋戦争へと向かう中、レコードを聞かせてくれていたうどん屋の兄ちゃん(小栗旬)が、
警察に逮捕されます。「なんで兄ちゃんが捕まるや?、赤って何?、思想犯って?」と父親に問うH。
また、映画館で働くオトコ姉ちゃん(早乙女太一)が出征となり、大勢に見送られるのですが、
思わぬ形でHがオトコ姉ちゃんを発見することになり、必死に父親を呼びに駆け出すのです。
周囲の事件を通し、この時代の恐ろしさを、Hは実感するようになっていきます。
 
学校ではHの机に落書きされたり、盛夫がスパイ容疑で警察に突然連行されたりもします。
その原因が、友人のいっちゃんが、アメリカの絵葉書のことを言いふらしたからだと悟ったHですが、
盛夫は、その友人だけが悪いのではないと教えてくれるのです。そして言い聞かせます。
「戦争はいつか終わる。その時に恥ずかしい人間になっとったらアカンよ」と。
 
1943年4月になり、Hは中学校に進学します。軍事教練が続く日々。好きな絵を描いても、
「こんな絵を描く奴は非国民だ!」と、共感の田森(原田泰造)に思い切り殴られるのですが、
そんな時、久門教官(佐々木蔵之介)が助けてくれたりもします。教官といっても、
いろんな人間がいることを知るHは、人間的にも少しずつ成長していくのです。
 
戦況が悪化し、神戸の町の上空にも敵機の姿が多くなり、Hの妹の好子(花田優里音)は疎開。
そして1945年3月。神戸大空襲が発生。犠牲者は8千人を超え、負傷者も15万人以上と言われています。
空襲の中、消防士となった盛夫は真っ先に仕事に向かいます。自宅では、逃げるよりも先に、
父親のミシンを守ろうと二階から降ろすHと母親。しかし空襲は激しくなるばかり。
「お母ちゃん、走れるな」と、母親の手を引き、Hはミシンを置いたまま、
炎に包まれた町から駆け出すのです。本作の中で、戦争の怖さがもっとも伝わってくるシーンでした。
 
あたり一面が焼け野原となった神戸の町に立ち、自宅が建っていたであろう場所に戻ったHは、
使っていたフォークを見つけます。そして、焼け焦げても形だけは残しているミシンを見つける盛夫。
まさに何もないところから、家族はやり直さなければならないのです。
 
1945年8月。玉音放送が聞こえてきます。
「この戦争、なんやったんや、、、」。そんな気持ちになったのは、Hだけではないはず。
多くの日本国民の感情をHが代弁します。
 
翌年春、妹が疎開先から帰ってきますが、生活は苦しいまま。それでも敬虔なクリスチャンである母親は、
他人に食べ物を与えたりします。その行為に納得がいかないHは、父親に言い寄ります。
「なんでお母ちゃんを止めんへんのや!、なんで黙ってるんや!父親らしいことゆうてくれよ!」と。
大人になれば、この両親の立派さは理解できるでしょうが、まだ中学生のHには無理なのです。
 
そしてHは、ある決心をするのですが、、、。
 
自分自身の目で見ること、耳で聞くこと、そして自分の頭で考えて、自分の言葉で表現すること。
そんな当たり前のことの大切さを、Hの父親の生きざまから、改めて教えられる秀作に仕上がっています。
 

<映画の次回作情報>
 
伊藤蘭
くじけないで(深川栄洋監督)
11月16日公開  共演:八千草薫、武田鉄矢、檀れい、芦田愛菜、上地雄輔、ピエール瀧、鈴木瑞穂 他
 
 
 
 
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連鎖する事件推理のミステリーに、コメディをたっぷり盛り込んだ謎解きエンタテインメント
− 北川景子、執事からの毒舌をものともせず、時には上司にツッコミを入れる令嬢刑事 −
 
本作の撮影に使用されたのは、アジア最大の豪華客船スーパースター・ヴァーゴ号。
日本映画の撮影で使用されるのは初めてとのことですが、乗客乗員合わせて約3,000人のうち、
乗務員だけでも約1,200人(乗客定員は1,870名)ということですから、船内の充実ぶりが伺えます。
世界各国の料理を味わえるグルメ施設やショッピングモール、カジノ等のエンタテインメント施設、
プールやジム、ジョギングコース等のスポーツ施設もあって、長旅で海しか見えない日々が続いても、
まったく飽きることがなく過ごせそうな豪華客船。一度はこんな船にも乗ってみたいものです。
 
さて、この船に乗り込んだ宝生麗子(北川景子)と執事の影山(櫻井翔)。とは言っても、
その船に乗り遅れてヘリで追いかけてくるというのが、さすがは令嬢ということでしょうか。
出航からほどなくして、いきなり発生する殺人事件。レイモンド・ヨー(団次朗)という人物が、
何者かに客室内で射殺されます。しばらくして、その客室から海に転落させられるのですが、
船を停止して引き上げてみると、ヨーには救命胴衣が着せられていたのです。
なぜ犯人は、死体にわざわざ救命胴衣を着せたのか、、、。
 
さらに犯人からは、次の犠牲者を予告するかのようなFAXが送信されてくるのです。
もちろん発信元は船内。当然、犯人は船内にいる人物ですから、容疑者は約3,000人。
しかも犯人を見つける猶予は目的地のシンガポールに着くまで7日間。この限られた時間の中で、
犯人を見つけ出すことができるのか。ここから映画を観る者もいろいろと推理を働かせることになります。
なにしろ船内には怪しげな人物が大勢いるのです。竹中直人と大倉孝二が演じる高円寺兄弟という、
ちょっと間抜けな泥棒も乗船していましたが、二人の狙いは先の事件とは別のようで、
この二人はミステリー以上にコメディ担当の役回りです。
 
麗子の上司・風祭刑事(椎名桔平)もシンガポールへの寄贈品「Kライオン」の警備で乗り込んでおり、
事件捜査に乗り出しますが、いっこうに捜査は進まないまま、第2の殺人事件が発生します。
しかも、この死体が全裸の状態で土下座の格好で発見されるのです。
なぜ犯人は、死体をわざわざそんな格好にしたのか、、、。
 
深まる謎。さらに今度は麗子にも危機が及びます。先の二つの事件と麗子が狙われた事件。
これらの事件の共通点は何か。ところが麗子は、影山とともに無人島に流されることになってしまい、、、。
ここからが影山の本領発揮。まさに華麗なる推理で一連の謎を解き、やがて犯人の前にやってくると、
「犯人はあなたでございますね。一連の事件は、すべてあなたの犯行かと」と言い当てるのです。
その事件の真相には、実はその犯人の過去の辛い経験が絡む深い物語にもなっていました。
 
エンドクレジットでキャストが映し出されますが、映画はそこでは終わりません。
さらにもう一人の、意外な犯人が存在していました。その犯人の前に姿を現す影山。
その犯人こそ、実は過去にまだ幼かった意外な人物に助けられていたとは、、、。
 
スクリーンに文字やアニメ―ションが出てきたり、派手なギャンブルシーンやちょっとした感動など、
最後の最後まで目が離せない謎解きの面白さを味わるエンタテインメント作品に仕上がっています。
 
 
<映画の次回作情報>
 
北川景子
ルームメイト(古澤健監督)
11月9日公開   共演:深田恭子、高良健吾、尾上寛之、大塚千弘、筒井真理子、田口トモロヲ 他
 
ジャッジ!(永井聡監督)
2014年1月公開  共演:妻夫木聡 他
 
悪夢ちゃん The 夢ovie(佐久間紀佳監督)
2014年公開予定  共演:木村真那月、マリウス葉、GACKT、優香、小日向文世、本上まなみ 他
 
抱きしめたい(塩田明彦監督)
2014年公開予定  共演:錦戸亮 他

 
黒谷友香
利休にたずねよ(田中光敏監督)
12月7日公開   共演:市川海老蔵、中谷美紀、成海璃子、福士誠治、伊勢谷友介、大森南朋 他

 
宮沢りえ
魔女の宅急便(清水崇監督)
2014年春公開予定 共演:小芝風花、尾野真千子、山本浩司、広田亮平、筒井道隆 他
 

 

風立ちぬ

 
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夢の師が教えてくれたのは、夢を形にすることの大切さと、夢が形あるものを壊してしまう矛盾か。
− 瀧本美織の声優初挑戦、病と闘いながら一人の男性を愛するヒロインの、切ない声の魅力 −
 
子供の頃は、眠っている間に見る夢が不思議でした。ある時は自分が行きたい場所にいたり、
またある時は、自分が会いたい人、たとえば好きな人が自分と友達のような関係だったり、、、。
もちろん楽しいことばかりではなくて、怖い夢を見た記憶もあります。
 
でも、見続けたい夢というのは、いつも一番いいところで目が覚めてしまうもの。
一方の怖い夢は、危ないと思った瞬間に目が覚めて、夢でよかったと胸をなでおろすものでした。
 
この映画も、主人公の堀越二郎(声:庵野秀明)の夢のシーンから始まります。眠っている時の夢は、
時として自分の将来の夢と重なったりするものです。二郎の夢も将来の道しるべになっていました。
 
二郎は、子供の頃から夢の中にカプローニ伯爵(声:野村萬斎)というイタリア人が登場していました。
カプローニは飛行機の設計家で、いつも夢の中で豪華な飛行機に乗せてもらう二郎ですが、
飛行機の主翼の上に立たせてもらって眼下を見渡すという、夢ならではの体験もします。
そんな夢の師の影響もあり、二郎も、やがて飛行機の設計家になる決心をするのです。
 
カプローニは、いつも夢の王国へ二郎を迎えてくれますが、ある時、教えてくれました。
飛行機は風に乗って飛ぶ美しい夢の乗り物である反面、町を焼いてしまう乗り物にもなり得ることを。
そして、飛んで行ったまま、戻って来ない飛行機もたくさんあることを。、、、。
 
皮肉にもその言葉通り、堀越二郎が後に設計することになる零戦は、戦地に向かったまま、
帰って来られないものも多く、それどころか帰らぬ決意で飛び立って行ったものもあったのです。
 
また物語の中では、タイトル通り「風」が随所でキーポイントになります。
二郎の伴侶となる菜穂子(声:瀧本美織)との出会いも、そして再会も、風の吹いているシーンでした。
帽子が飛ばされそうになったり、風の流れで火の手が向きを変えたり、パラソルが強い風に飛ばされたり、
夢の中の飛行機はもちろん、紙飛行機も風を切って飛んで行きます。
そしてカプローニはいつも言っていました。「まだ風は吹いているかね?」と。
 
戦時中という時代背景ゆえ、戦闘用の飛行機を設計しなければならなかった二郎ですが、
病に苦しんでいた菜穂子も二郎の飛行機の成功を望み、それを信じていました。
ある時、夢の中のカプローニは、菜穂子を称して美しい風のような人だと言います。
つまり二郎が愛したのは、風に乗って飛ぶ美しい形をした飛行機であり、
菜穂子という風のように美しい女性だった、ということになるのでしょうか、、、。
 
もろくも壊れていく飛行機を描写し、はかなくも散っていく命にも焦点を当てながら、
生きるというテーマを中心に据えた本作は、思い描いた夢を信じることと、
愛する人を守ることの大切さも教えてくれる大人のラブストーリーに仕上がっています。
 
 
<映画の次回作情報>
 
瀧本美織
貞子3D2(英勉監督)
8月30日公開  共演:瀬戸康史、平澤宏々路、石原さとみ、大沢逸美、山本裕典、田山涼成 他 
 
大竹しのぶ
女たちの都〜ワッゲンオッゲン〜(祷映監督)
10月公開予定  共演:松田美由紀、杉田かおる、西尾まり、ブラザートム、遠藤憲一、中村有志 他
 

 

爆心 長崎の空

 
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原爆が、長崎に生きる人たちに落した影。その消えない心の傷と、戦後世代の生きざまと。
− 北乃きい、大切な人を亡くして消えない後悔の涙と、憂いの眼差しにも輝く透明感 −
 
戦争の記憶を風化させないためにも、唯一の被爆国として反戦のメッセージを訴える意味でも、
こういった類の作品を作り続けていくことは、ある意味では日本映画界の使命かもしれません。
本作は、太平洋戦争において原爆投下を受けた長崎を舞台にして、被爆を経験した世代、
そして被爆2世、3世と呼ばれる人たちが登場人物となります。ただ時代は現代なので、
戦時中を描いた戦争映画とは異なり、そのシナリオには常に難しさがついて回るようです。
 
突然に母親を亡くしてしまう女子大生の清水(北乃きい)と、幼い娘を亡くした砂織(稲森いずみ)。
二つの家族を平行して描いていくシナリオで、大切な人を失って人生に落胆した二人が偶然に出会い、
何かに吸い寄せられるように再会し、お互いに生きる希望を見つけるストーリーとなります。

そこに清水の幼なじみの勇一(柳楽優弥)が絡んでくるのですが、柳楽優弥という独特のキャラゆえ、
良い意味でも悪い意味でも、肝心の終盤になって彼の存在感が目立ち過ぎた感があります。
そのためか、若手からベテランまで演技達者が揃って熱演を見せてくれているものの、
シナリオとしては盛り上がりに欠けたという印象が否めない点が、なんとも惜しいところです。
 
自転車で大学に通う清水が、携帯電話を忘れて家に取りに帰ってくるところから幕を開けます。
この日は、ちょっとしたことで母親(渡辺美奈代)と口げんかをしてしまうのですが、その日、
母親が心臓発作で急死してしまうのです。彼氏の光太(北条隆博)とデート中だったため、
母親からの最後の電話に出られず、「あん時、電話に出とったら、お母さん、助かったかもしれん」と、
しばらく経っても後悔が消えない清水でしたが、、、。
 
砂織は、その日、ベランダで宝貝の貝殻を拾います。それは1年前、娘の沙耶香が亡くなる直前に、
夫の博好(杉本哲太)と3人で行った浜辺で沙耶香が拾った思い出の貝殻でした。ところがその夜、
「今日、ベランダで見つけた」と博好に宝貝を差し出しても、見えるのは砂織だけだったのです。
「仕事ば始めて、疲れとるんやなかか?」と心配そうな博好と、悲しそうな表情の砂織でしたが、、、。
 
母の死を忘れようと陸上部の練習に汗を流す清水は、数日後、母親の得意料理だったカレーを作ります。
それを父親(佐野史郎)は美味しいと言いながら食べてくれるのですが、あの日、
電話に出られなかった罪悪感に何度も苛まれる清水に、父親が優しく声をかけてくれます。
「お母さんが、清水を愛しとったことだけ忘れんかったらよか」と。
 
その頃、砂織には新しい命が芽生えます。急性肺炎で紗耶香を失っていた砂織でしたが、
「あん子(紗耶香)は原爆のせいで死んだとよ」と、自分が原爆2世であることを気にして、
「もう子供はよか」と砂織は産むことを躊躇します。それでも博好は産んでほしいと願っていました。
 
いろんなところで宝貝を目にする砂織。ある日、浦上天主堂近くの道路で、落ちている宝貝を見つけ、
拾おうとした瞬間、危うく車に轢かれそうになります。そこを偶然に通りかかった清水に助けられます。
清水の悲しそうな瞳に何かを感じとり、「あなたも大切な人をなくしたとね?」と問う砂織に、
「母ば亡くしたとです」と答える清水。二人の感情が交錯する瞬間です。
 
その後、砂織の父親(石橋蓮司)や母親(宮下順子)、さらに妹の美穂子(池脇千鶴)が物語に加わり、
原爆投下の日の、砂織の父親や母親の思い出も盛り込みながら、クライマックスへと突入します。
そして清水と砂織が、因縁めいた場所で再度巡り合うことになり、お互いが再生の道を見つけるのです。
 
母から娘へと受け継がれていく命を通して、原爆などで一瞬にして消えてしまう命とは対称的に、
確実につながっていく命の尊さを教えてくれる作品と言えます。
 

<映画の次回作情報>
 
北乃きい
上京ものがたり(森岡利行監督)
8月24日公開  共演:池松壮亮、谷花音、松尾諭、木村文乃、黒沢あすか、岸部一徳、瀬戸朝香 他
 

池脇千鶴
凶悪(白石和彌監督)
9月21日公開  共演:山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、白川和子、吉村実子、小林且弥 他
 
潔く柔く(新城毅彦監督)
10月26日公開  共演:長澤まさみ、岡田将生、波瑠、中村蒼、古川雄輝、平田薫、MEGUMI、高良健吾 他
 
神様のカルテ2(深川栄洋監督)
2014年公開予定 共演:櫻井翔、宮あおい、藤原竜也、柄本明、原田泰造、要潤、吉瀬美智子 他
 
そこのみにて光輝く(呉美保監督)
2014年公開予定 共演:綾野剛、菅田将暉 他
 

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