|
歌は賑やか、踊りは華やか、映像も色鮮やかなミュージカル・エンタテインメント。
― 上白石萌音、歌って踊って、泣いて笑って、芯の強さが光る演技に注目 ― 周防正行監督が20年以上も前から温めていたという企画。
それは舞妓になるという大きな夢を抱いた少女の成長物語でもあり、 日本映画界に16歳のニューヒロイン・上白石萌音が誕生した作品でもあります。 約800人の中からオーデションで大抜擢された上白石萌音(かみしらいしもね)は、
数多くの新人女優を映画界に送り込んでいる東宝シンデレラ第7回(2011年)で、 審査員特別賞を受賞したという折り紙付きの女優です。 『舞妓さんが一人しかいてしまへんのどす』。
そんな舞妓の百春(田畑智子)のナレーションから始まるストーリー。 京都出身の田畑智子にはぴったりの役柄ですが、実は母親が元舞妓だったとのことで、 小学校の卒業文集には「将来の夢は舞妓になりたい」と書いたというエピソードも。 田畑智子にも、春子の先輩舞妓として、歌って踊る見せ場も用意されています。 さて、京都の下八軒という花街(かがい)では、百春が舞妓になってもう10年。
しかし舞妓は百春ひとり。そんなある日、下八軒の万寿楽(ばんすらく)というお茶屋に、 ほっぺの赤い少女・春子が一人でやって来ます。鹿児島弁でおそるおそる、 それでいて一生懸命に訴えます。「舞妓さんさ、してくいやはんどかい」と。 上白石萌音は鹿児島出身ということで、鹿児島弁には不安はなかったようです。
しかし住んでいた土地が津軽であるという設定から、津軽弁も覚える必要があり、 さらに京都に来て京言葉をマスターするという役柄です。歌や踊りはもちろんのこと、 3つの方言も巧みに操った演技は、とても初主演作とは思えないほど堂々たるものでした。 特に京言葉をマスターしていくプロセスがそのままストーリーとなっているため、 敢えて不自然なイントネーションでしゃべるシーンもあり、苦労も多かったようです。 万寿楽の女将・千春(富司純子)は、訛った言葉ゆえ意味が伝わってこない春子を、
すぐに追い返そうとします。ところが、その場に京野(長谷川博己)が居合わせたことで、 春子の運命が少しずつ回り始めるのです。京野は言語学を教える大学教授でした。 目的の場所に訪れ、目的の人物に出会うことによって、人生が変わることもありますが、
目的地にたどり着く途中にたまたま立ち寄った場所、あるいはたまたま出会った人物が、 意外にもその後の人生を大きく左右すること、誰しもあるものではないでしょうか。 京野の協力で、舞妓の修行を始めることになる小春ですが、彼女を待ち受けていたのは、
花街ならではの厳しいしきたりと、長唄、三味線、鳴物、さらには舞踊の稽古の日々。 何度叱られてもへこたれず、時には涙を流し、また時には声が出なくなりながらも、 必死に頑張る春子に、千春も過去の思い出話で元気づけてくれたりもします。 そして苦しかった1年が過ぎ、やがて春子にもお見世出しという、
お客様の前へ出て、踊りを披露する日がやってくるのです。
「おおきに」「すんまへん」「おたのもうします」。そんな京言葉のやわらかさ、
そしてあいまいさが耳に心地よい物語は、歌と踊りにファンタジーの要素もちりばめられ、 クライマックスにはミュージカルらしく明るく楽しく盛り上がり、 思春期ならではの少女の感情も揺れ動くエンタテインメントに仕上がっています。 <映画の次回作情報> 富司純子
:トワイライト ささらさや(深川栄洋監督) 11月8日公開 共演:新垣結衣、大泉洋、中村蒼、福島リラ、つるの剛士、石橋凌 他 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー




