日本映画の女優たち

グッドモーニングショー(君塚良一監督) 10月8日公開!

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思い出のマーニー

 
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マーニ―が現れた夢の中の空間と、杏奈の想像を超えて貫かれた時間のコラボが生んだストーリー。
 
誰の夢に中にも、いろんな人物が登場するはずで、それはおそらくどこかで会ったことがある人物、
あるいは会ったことがなくても、会いたいと思い続けていた人物が登場するのではないでしょうか。
また風景や建物もそうです。行ったことがない場所や見たことのない風景に夢で出会ったとしても、
それは直接見たことがなくても、間接的にでも、なんらかの形で一度は目にした光景が、
夢の中にも出てくるのではないでしょうか、、、。
 
都会の公園のベンチに一人で座って、スケッチブックに絵を描いている杏奈(高月彩良)。
『私は、私が嫌い』という杏奈の心の声が、彼女の人間性をまず観る者に投げかけてきます。
決して明るい主人公とは言えません。心に何かの傷を負っていると想像させてくれます。
 
ほとんど感情を表に出すこともせず、と言うよりも思ったことが素直に口にできない杏奈。
他人と話すことが苦手な杏奈を、養母の頼子(松嶋菜々子)も普段から気にかけていました。
12歳の夏。喘息を患っていた杏奈は、担当医(大泉洋)から地方での療養を勧められ、
一人電車に乗り、頼子の親戚が住む海辺の村へやってくるところからストーリーは動き始めます。
 
親戚の大岩さん(寺島進)と大岩夫人(根岸季衣)は優しくおおらかな性格で、
杏奈に干渉することもなく、好きなように生活をさせてくれます。そんなある日、
偶然にも入江の反対側に佇むお屋敷を目にした杏奈は、この地には来たことがないはずなのに、
そのお屋敷をどこかで見かけたような気になるのです。
 
今度はそのお屋敷が杏奈の夢に登場するのですが、そこにはマーニ―(有村架純)が住んでいました。
夢で見かけたマーニ―が気になった杏奈は、実際にそのお屋敷までやって来ると、
そこにはもう誰も住んでいないはずなのに、そこでマーニ―に会うことができるのです。
ところが、いつ会っても、いつもいつの間にか、マーニ―は杏奈の前から姿を消している、、、。
 
この辺りの前半の展開から、杏奈の空想によって杏奈の心の中に生み出されたマーニ―が、
唯一の友だちとして杏奈を支え、そして杏奈自身も成長していく物語になっている。
そんな想像しながら見ていたのですが、数日後、そのお屋敷に新たな家族がやってきて、
その家の娘・彩香(杉咲花)の、とある発見から、これがまさに起承転結の転にあたる部分ですが、
その先には、意外な結末が待っていました。その夏、永久に友達だと誓い合った杏奈とマーニ―。
実は杏奈がマーニ―に出会う前から、もう永久の関係はできあがっていたとは、、、。
 
北海道の美しい土地を舞台に、ジブリの得意とするファンタジーの世界をたっぷりと盛り込み、
そこに一つの現実を融合させて描かれた爽やかなストーリー。
 
杏奈がその地を去る日。いつも海辺でお屋敷の絵を描いている久子(黒木瞳)に向かって、
「手紙書きます、素敵なお知らせがあるんです!」と投げかけた言葉が余韻を残す感動作です。
 

<映画の次回作情報>
 
有村架純
くるみ割り人形(増田セバスチャン監督)
 11月29日公開  共演(声の出演):松坂桃李 他
 
アイアムアヒーロー (佐藤信介監督)
 2015年公開予定 共演:大泉洋、長澤まさみ 他
 

根岸季衣
喰女 クイメ(三池崇史監督)
 8月23日公開  共演:市川海老蔵、柴咲コウ、伊藤英明、中西美帆、マイコ、古谷一行 他
 
娚(おとこ)の一生(廣木隆一監督)
 2015年公開予定 共演:榮倉奈々、豊川悦司、向井理、安藤サクラ、前野朋哉、落合モトキ 他
 

杉咲花
イン・ザ・ヒーロー(武正晴監督)
 9月6日公開  共演:唐沢寿明、福士蒼汰、黒谷友香、寺島進、松方弘樹、和久井映見 他
 
繕い裁つ人(三島有紀子監督)
 2015年1月公開 共演:中谷美紀、三浦貴大、片桐はいり、黒木華、伊武雅刀、余貴美子 他
 
愛を積むひと(朝原雄三監督)
 2015年初夏公開 共演:佐藤浩市、樋口可南子、北川景子、野村周平、吉田羊、柄本明 他
 
 
 

あいときぼうのまち

 
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地元福島で原発に翻弄された家族4世代の人間模様が、「福島はまだ終わっていない」を訴えかける。
 
「1945年、福島県の浜通り地区に属する石川町では、原子爆弾に使用するウラン採掘が行なわれていた」。
こんなテロップから幕を開ける本作は、1958年に福島に原発の誘致が始まった事実を観る者に告げ、
さらに2011年3月、福島第一原発1号機、3号機の爆発の映像を映し出します。
 
3.11以降、東日本大震災に何らかの形で関連する映画が何本も製作されていますが、この作品は、
終戦直前の時代にまで遡って、福島に生まれた家族4世代と原発との関わりを描いた物語となっています。
 
1945年の終戦前、1966年の原発反対運動が行われていた時代、2011年の震災前、さらに震災後の時代が、
何度も交錯しながら描かれますが、序盤は年代と場所がテロップ表示されるため、混乱はありません。
 
1966年。高校生の愛子(大池容子)は新聞配達の仕事をしています。ところが父親・英雄(沖正人)は、
原発誘致反対派の最後の一人となって村八分にされることで、愛子も職を追われてしまうのです。
同級生の健次(伊藤大翔)と付き合っていましたが、親が反対派と賛成派に分かれてしまい、
二人も付き合いづらくなってしまうのですが、、、。
 
1945年。その英雄(杉山裕右)は学徒動員で採掘作業をしていました。ウランを探す軍の目的でしたが、
少年たちはその真実を知らされることはありません。しかし英雄の上官の加藤大尉(瀬田直)は、
英雄にだけ教えてくれるのです。そのウランは新兵器を作るために必要なのだと。
福島でウラン採掘が行われていたという史実はほとんど知られていないとのことですが、
1945年の春から敗戦の日まで、地元の少年たちが天然ウランを掘らされ続けていたとのことです。
 
2011年。震災前。愛子(夏樹陽子)は61歳になっています。Facebookに興味を持ち、
孫娘の怜(千葉美紅)からやり方を教えてもらうと、そこで45年ぶりに健次の名前を見つけるのです。
Facebookで健次(勝野洋)に連絡をとり、こっそり会いに出かけていく愛子。久しぶりにあった健次は、
定年まで東電で勤めあげたと言いながらも、同様に原発の最前線で働いていた健次の息子は、
つい先日亡くなったことを語り始めるのです。そしてその死が放射能の影響かもしれないと。
 
そんな愛子と健次の密会は重なるのですが、愛子には夫も息子夫婦も、そして怜たち孫もいるわけで、
これはれっきとした浮気だと怜は気づき、ある日、愛子と健次に対して嫌がらせをしてしまうのですが、
直後、自転車で走っていた怜に大きな揺れが襲うのです。実はその日が、2011年3月11日だったのです。
ちょっとした嫌がらせが、愛子を亡くしてしまう結果になってしまった。そう思い込んだ怜は、
その日から後悔の念に苛まれるのですが、、、。
 
震災後、家族で被災地を逃れ、東京に暮らしている怜。震災から立ち直れない日々が続いていましたが、
ある真実を知ることで、やっと再生のきっかけをつかむことになるのです。
 
原発誘致の時代、何もないこの地に原発を誘致すれば仕事も増えると賛成する住民たちの希望の声。
一方、「原発は本当に安全なのか?」「だったらなぜもっと電気の必要な東京の近くに作らないんだ?」。
そんなふうに反対し続ける英雄の言葉が耳に残る、地味ながら貴重な作品と言えそうです。
 
「原子力 明るい未来の エネルギー」。当時から残っている地元商店街のさびれた看板。
本当に原子力が明るい未来をこの地に迎えてくれたのか。その答は、、、言うまでもありません。
 
 

 

春を背負って

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雄大な自然と澄んだ空気に触れ、人間らしい温かい心に触れる時、自分の居るべき場所が見つかる。
− たくましさと優しさを兼ね備えた女性を演じたら、都会も田舎も、そして山でも似合う蒼井優 −
 
大自然をとらえたリアルな映像、四季折々の山の美しさはもちろん、雲海にそびえる頂も、
見事にカメラに収められています。その一方で山の厳しさに目を向けることも忘れず、
スクリーンからは随所で真剣なメッセージも投げかけてきます。
 
ところが映像美と作者の主張が前面に出てしまい、肝心のストーリーと人間ドラマにおいては、
ところどころでシナリオの弱さと演出の違和感が露見し、人物像も十分に描き切れていません。
またその影響もあってか、いくつかのシーンで音楽とのミスマッチの印象が残ってしまいました。
 
そのため、日本映画界を代表する若手二人、松山ケンイチと蒼井優の共演に加え、
トヨエツ、小林薫、中堅スーパーサブの新井浩文、安藤サクラ、さらに仲村トオル、石橋蓮司ら、
個性豊かな芸達者が揃いながら、作品そのものには高い評価がつけらません。
 
さて、20年前、雪に覆われた立山連峰。父親の手を借り、幼き日の亨が山小屋に辿り着きます。
「着いたぞ。これが標高3000メートルの菫(すみれ)小屋だ」と教えてくれる父親(小林薫)。
その時、「鶴が(8000メートル超の)エベレストを越えていくんだ」と聞かせてくれた父親は、
鶴という動物の強さを伝えることで人間の弱さを訴え、山では人間はちっぽけな存在になる、
言い換えれば命の危険と隣り合わせだと、亨に教えたかったのでしょうか。
 
そして現在、東京の一流企業で働いている亨(松山ケンイチ)。仕事で結果を出すためには、
時として徹夜も辞さない仕事ぶり。まさに仕事にのめり込んでいる状態です。そんな徹夜明けの朝、
実家の母親(檀ふみ)から電話が入ります。「父さんが遭難した人を助けようとして死んだの」と。
 
山小屋「菫小屋」を営んでいた父親が亡くなり、久しぶりに実家に戻ってくる亨。葬儀も終わり、
菫小屋を手放す考えを亨に告げる母親。しかし亨は、自分が菫小屋を継ぐと言い出すのです。
大都会でビジネスマンとして活躍していた亨が、いきなり田舎に住んで山小屋を経営することなど、
とても簡単だとは思えませんが、そこに力強い味方が現れるのです。
 
菫小屋を手伝ってくれていた愛(蒼井優)と、毎年やって来る登山者ゴロさん(豊川悦司)です。
料理が得意な愛、またゴロさんは世界を放浪した経験もあり、山には詳しく頼りになる人物です。
3人で菫小屋を切り盛りする日々が描かれる中盤以降は、学生が山で嵐に巻き込まれる等、
ちょっとしたエピソードが盛り込まれながら、亨と愛が二人の愛を育んでいくという展開です。
 
しかしながら、全体としての流れのぎこちなさは序盤から最後まで尾を引いてしまい、終盤、
亨がゴロさんを背負って雪道を降りていくシーンも、本来ならばクライマックスとなるはずが、
どうも盛り上がりに欠けてしまったのは残念です。
 
それでも木村監督の意欲は十分に伝わってくる作品で、人間は誰かに悩みを打ち明けることで、
抱えていた心の重荷を降ろすことができるし、自分を支えてくれる人の心と触れ合うからこそ、
人間らしく生きることができるという、そんな力強いメッセージが込められた作品と言えます。
 
 
<映画の次回作情報>
 
蒼井優
るろうに剣心 京都大火編(大友啓史監督)
 8月1日公開  共演:佐藤健、武井咲、青木崇高、江口洋介、伊勢谷友介、藤原竜也 他
 
るろうに剣心 伝説の最期編(大友啓史監督)
 9月13日公開  共演:佐藤健、武井咲、青木崇高、江口洋介、伊勢谷友介、藤原竜也 他
 

安藤サクラ
百円の恋(武正晴監督)
 今冬公開予定  共演:新井浩文 他
 
娚(おとこ)の一生(廣木隆一監督)
 2015年公開予定 共演:榮倉奈々、豊川悦司、向井理、前野朋哉、落合モトキ、根岸季衣 他
 
 
 

渇き。

 
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異様な現実と空虚な妄想が交錯。精神と肉体が暴走する人間たちの狂気をエンタメ化する中島演出。
− 小松奈菜、周囲の人間たちを翻弄させ、陥れてしまう妖しい光と影を放出する女子校生を快演 −
 
凄惨な殺人事件現場に始まり、主人公・藤島(役所広司)の元妻・桐子(黒沢あすか)に対する乱暴など、
ビジュアル的に痛々しいシーンが序盤から目につきます。娘の加奈子(小松奈菜)には慕われず、
刑事という職も失い、妻とも離婚。まさに崩壊した家庭の主だった藤島は、肉体も精神も壊滅状態です。
 
中島監督の徹底した演出で、クリーンなイメージが強い役所広司が見せる、ダーティな男っぷり。
薬に依存し、アルコールの力を借りる。派手に暴力を振るい、時には車ごと体当たりしてしまう。
藤島が見せる目に余るほどの凶暴ぶりにはやりすぎの感もありますが、実は藤島だけではなく、
彼の周囲にいる人間たちも、どこかが狂っているのです。壊れた人間たちのぶつかり合いというか、
異常とも言える人間たちのドラマが、最後の最後まで繰り広げられるストーリーです。
 
その発端となるのが、加奈子の失踪。「加奈子が帰って来ない」という連絡を桐子から受けた藤島。
加奈子の部屋で、あるモノを見つけた桐子は、警察には連絡することを拒みます。そして藤島も、
自らの手で加奈子の行方を追うのです。加奈子と関わった人間たちと接触し、元刑事だけに、
聞き込みをするかのように関係者たちの証言をとっていく藤島。徐々にミステリー感も高まりますが、
実は藤島自身も殺人事件の重要参考人として警察から目をつけられており、、、。
 
何度も登場する暴力的な場面とは対称的に、藤島の夢なのか妄想なのか、心理描写にも凝った演出で、
藤島の不安定な精神状態も全編を通して描かれていきます。また、何度となく回想シーンが挿入され、
「ボク」(清水尋也)と語る少年の前に表れる加奈子は、一瞬の癒しの時間と空間を与えるという、
ちょっとしたスパイスの効いた演出も盛り込まれています。
 
ところが、その加奈子の本性が明らかになっていくことで、観る者は彼女の恐ろしさに気付くのです。
彼女の行方を追う藤島も、加奈子がどんな人間と付き合っているのか、どんなことに手を染めているのか、
少しずつ手がかりが見えてくるのです。
 
小松奈菜は初見の女優ですが、強烈すぎるキャラを堂々と演じており、その優しい笑顔はもちろん、
おだやかな表情の奥に隠された凄みすら漂わせる視線が印象的で、今年度の新人賞は確定でしょう。
 
その他の演技陣からも目が離せません。
藤島の元後輩・浅井を演じる妻夫木聡。刑事であるにもかかわらず、正義感をほとんど感じさせない、
その言動からは不真面目ささえ漂ってくる男を、どちらかと言えば誠実なキャラが似合う妻夫木聡が、
普段とは正反対のキャラを見事なまでに演じています。
藤島の元同僚・愛川を演じるオダギリジョー。やはり刑事であるにもかかわらず、
終盤には藤島との対決とも言うべき見せ場が待っており、愛川には大きな裏が、、、。
加奈子の元担任教師・里恵を演じる中谷美紀。刑事が勧善懲悪の代表なら、教師は聖職の代表のはず。
ところが本作ではそんな職域を逸脱した人間たちの破滅ぶりが描かれており、、、。
 
さらに出番は少ないものの、加奈子の同級生を演じた二人、二階堂ふみと橋本愛の異様さも、
藤島の暴走を加速する役割をしっかりと果たしました。
 
R+15指定ということもあってスクリーンならではの、予想以上に過激な作品に仕上がっていました。
 
 
<映画の次回作情報>
 
小松菜奈
近キョリ恋愛(熊澤尚人監督)
  10月公開予定   共演:山下智久、水川あさみ、小瀧望、山本美月、新井浩文 他
 

二階堂ふみ
日々ロック(入江悠監督)
 11月22日公開予定  共演:野村周平、前野朋哉、落合モトキ、毬谷友子、蛭子能収、竹中直人 他
 
味園ユニバース(山下敦弘監督)
 2015年2月公開予定 共演:渋谷すばる 他
 
ジヌよさらば かむろば村へ(松尾スズキ監督)
 2015年春公開予定  共演:松田龍平、阿部サダヲ、松たか子、西田敏行 他

 
橋本愛
リトル・フォレスト 夏編・秋編(森淳一監督)
  8月30日公開    共演:三浦貴大、松岡茉優、温水洋一、桐島かれん 他
 
寄生獣 PART1(山崎貴監督)
 11月29日公開    共演:染谷将太、深津絵里 他
 
リトル・フォレスト 冬編・春編(森淳一監督)
  2015年2月14日公開 共演:三浦貴大、松岡茉優、温水洋一、桐島かれん 他
 
寄生獣 PART2(山崎貴監督)
  2015年公開予定   共演:染谷将太、深津絵里 他
 

森川葵
チョコリエッタ(風間志織監督)
  今夏公開予定    共演:菅田将暉、市川実和子、村上淳、宮川一朗太、中村敦夫 他
 
劇場版 零 ゼロ(安里麻里監督)
 9月26日公開    共演:中条あやみ、小島藤子、美山加恋、山谷花澄、萩原みのり 他
 

中谷美紀
繕い裁つ人(三島有紀子監督)
 2015年1月公開予定 共演:三浦貴大、片桐はいり、黒木華、杉咲花、伊武雅刀、余貴美子 他
 
 

 

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私の男

 
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サスペンスフルに展開する人間ドラマ。その二人を犯罪者にしてしまった隠し続けた秘密。
− 二階堂ふみ、大人の女性へと変化する感情と肉体、禁断の関係で体現するヒロイン −
 
揺れる流氷の隙間から女子高生・花(二階堂ふみ)が氷の上にはい上がってきます。
極寒の冬の北海道。冷たすぎるほどのオホーツクの海。花にいったい何があったのか。
地上ならぬ氷上に顔を見せた瞬間の花は、かろうじて助かったという安堵感よりも、
何かをやってのけたという不気味な笑顔が漂っていたようにも見えたのですが、、、。
 
冬の北海道が舞台でもあり、同じ熊切和嘉監督の「海炭市叙景」の雰囲気を思わせる映像、
どことなく後ろめたさを感じながら生きる人間たちの繊細な心理描写が見事です。
もちろんその演出に応える二階堂ふみの演技は、歳の離れた浅野忠信とのラブシーンを含めて、
本作でも持てる表現力をフルに発揮し、さらに演技力に磨きをかけています。
 
花は、なぜ凍るほどの海の中にいたのか。花の表情からして興味をそそるオープニングですが、
その理由が明らかになるのは、映画の中盤以降に持ち越されることになります。
そしてその日の「事件」に至る前に、時代は6年前に遡るのです。
 
10歳の花(山田望叶)。津波で親を亡くし、ペットボトルの水を大事そうに持ちながら、
避難所を歩いています。遺体安置所で見つけたのは変わり果てた姿の父親でしょうか。
その遺体を足で蹴る動作が印象的ですが、その遺体は目を覚ますはずもありません。
寂しさを視線で見せる子役の山田望叶の演技にも注目で、将来も期待できる女優の一人です。
 
そんな花に声をかけてくれる男性がいました。避難所に来ていた海上保安官の淳悟(浅野忠信)。
孤児となった遠縁の花を引き取り、父親代わりとしていっしょに暮らすことになるのです。
ところが幼かった花が高校生になった頃、いつしか父と娘という関係を超えてしまうのです。
禁断の関係を象徴するかのように、二人のラブシーンは血で染まった演出が施されます。
 
そんな二人の関係に気付く地元の老人・大塩(藤竜也)。実は大塩の娘・小町(河井青葉)は、
淳悟と恋仲にありましたが、淳悟の気持ちが次第に花に移っていくことで、
小町の嫉妬心は募り、やがて地元を離れて東京へ出て行くのです。
花と小町。歳こそ離れていますが、一人の男性をめぐって言葉を交わすシーンは、
言い争にまで発展するわけではありませんが、お互いの嫉妬心がにじみ出てきます。
 
そしてある日、「事件」は起こりました。大塩が、花の親戚を旭川で見つけてきたと言います。
花に旭川に行くように説得しようとするのですが、当然、花は聞く耳を持ちません。
それどころか花は逃げ出すのです。「花さん、私の話も聞いて!」と追いかける大塩。
いつの間にか花は海に出て、揺れる流氷の上を逃げていました。それでも追ってくる大塩。
何かが起こるという緊張感がじわじわと押し寄せてくるシーンです。そしてやはり、
「事件」は起こりました。事件と言っても、半分は「事故」だったのかもしれません。
 
この時やっと、冒頭の花の得も笑みにも似た表情の意味を、観る者は知ることになります。
その事件後、東京にやってきている花と淳悟。事件から2〜3週間後でしょうか、
北海道から、刑事の田岡(モロ師岡)が二人の家にやって来るのです。
「ぶたのエサだ!」と、証拠品のメガネを見せる田岡。そこでもう一つの事件が起こるのです。
 
愛する花を守ろうとするが故に、もっと大きな事件を起こしてしまう淳悟。
後悔と共に人間性まで変わってしまう淳悟。浅野忠信の演技も素晴らしいです。
また、大人になってさらに美しくなった二階堂ふみの美貌にも注目のラスト。
タブーを描いたストーリーですが、愛に溺れる二人の演技が際立つ作品に仕上がっています。
 
 
<映画の次回作情報>
 
二階堂ふみ
渇き。(中島哲也監督)
 6月27日公開  共演:役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、橋本愛、オダギリジョー、中谷美紀 他
 
日々ロック(入江悠監督)
 今秋公開予定  共演:野村周平、前野朋哉、落合モトキ、毬谷友子、蛭子能収、竹中直人 他
 
味園ユニバース(山下敦弘監督)
 2015年2月公開 共演:渋谷すばる 他
 
ジヌよさらば かむろば村へ(松尾スズキ監督)
 2015年春公開  共演:松田龍平、阿部サダヲ、松たか子、西田敏行 他
  
 
 
河井青葉
マエストロ!(小林聖太郎監督)
 2015年公開予定 共演:松坂桃李、miwa、西田敏行 他
 

山田望叶
サムライフ(森谷雄監督)
 2015年公開予定 共演:三浦貴大、松岡茉優、加治将樹、きたろう、渡辺大、佐藤めぐみ、大杉漣 他
 
 
 
 

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