|
趣向を凝らした映像表現と脱力系ギャグの応酬。完結編前篇もアイデア満載のエンタテインメント。
− 戸田恵梨香、当たり役となった当麻の睨みを利かせた表情の凛々しさと誓いの涙の美しさ − 前作のハイライトシーンから始まる本作は、シリーズ完結編にふさわしい期待感を抱かせてくれます。
ただし2部作ということで、この前篇「漸ノ篇」はクライマックスへの序章といった感が否めず、 後篇「爻ノ篇」を早く観たいと思わせようという商業的な製作意図を強く感じます。 そのためか、エンディングも意外とあっさりしていて、やや消化不良でしょうか。 作品全体の感想も、「爻ノ篇」を観てからにした方がいいかもしれません。 日本映画も、このところ企画段階から二部作仕様で製作される作品があります。
公開時は2本に分かれていても、撮影はほぼ一度に済ませて2本分の映画に編集する。 前篇を観たファンは、その多くが後篇も観ることになり、興行的にはほぼ2倍の収入が見込まれる。 それだけ製作費をつぎこめるといった考え方もあるかもしれません。 ただ映画ファンとしては、すっきりとまとめてもらって1本の料金で観たい気もします。 たとえば近年の二部作の興行収入を見てみると、
2009〜2010年の「のだめカンタービレ最終楽章」。前編は41億円。後編は37億2千万円。 2010〜2011年の「SP THE MOTION PICTURE」。野望編が36億3千万円。革命編が33億3千万円。 2012年の「僕等がいた」は、本作にさきがけて連続公開という手法を取り入れ、 前篇が25億2千万円。後篇が17億2千万円の興行収入をあげました。
どの作品も前後編の興行収入を合わせれば、年間興収でもかなり上位にランクインする数字で、 興行的には成功と言えそうですが、すべて後編の数字が前編より劣っているのが気になるところです。 ちなみに来年夏公開の「るろうに剣心」(大友啓史監督)も、二部作連続上映予定となっています。
昨年4月公開の「劇場版SPEC〜天〜」は23億9千万円のスマッシュヒットを記録しており、
今回の「劇場版SPEC〜結〜」は、前篇後篇ともに前作の数字を上回らないと成功とは言えないでしょう。 「漸ノ篇」はどこまで数字を伸ばすか、そして4週間後の公開が決まっている「爻ノ篇」が、 どこまで数字を維持できるか、今後の興行展開にも注目の作品です。 さて、とはいえ本作も、新しいスペックホルダーの登場や、主要人物の死など、見どころはあります。
これまでのシリーズで培ってきた世界観は健在で、刑事ドラマとしての緊張感を維持しながらも、 冷めたギャグが随所に盛り込まれた、登場人物たちの会話も聞き逃せません。 理系の頭脳派・当麻紗綾(戸田恵梨香)は関西弁バリバリでノリも軽いものの、 スペックホルダーゆえ、時として精神的な痛みを表現する女性。 体育会系の肉体派・瀬文焚流(加瀬亮)は常に冷静沈着ながら、やはり心に傷を追う男性。 会話だけみれば噛み合わないことも多く、対称的に見える部分もあるものの、心で通じている二人。 この二人の関係性も最後まで目が離せそうにありません。 泣き崩れる雅(有村架純)の前で、「殺す、殺す、殺す」と何度も繰り返す当麻。
シンプルプランは、、、。最強のスペックホルダーは、、、。そして当麻たちの戦いの結末は、、、。 いずれにせよ、すべての謎が明かされる「爻ノ篇」を待ちたいと思います。 <映画の次回作情報>
有村架純
:JUDGE ジャッジ(古波津陽監督) 現在公開中 共演:瀬戸康史、田中壮太郎、平良和義、川手ふきの、西丸優子、佐藤二朗 他 香椎由宇
:大人ドロップ(飯塚健監督) 2014年4月公開 共演:池松壮亮、橋本愛、小林涼子、前野朋哉、渡辺大知、美波、河原雅彦 他 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー




