|
写真の所有者様、イメージがあまりにも一致したので、拝借しました。ありがとうございます。
駅の食堂で次の列車を待っていると、凄い美人が隣のテーブルに坐っていた。
「おいアハメッド、声を掛けろよ」
「好みなのか」
「ああ、綺麗だよな。フランス人かな」
「そうかもしれない」と言いながらアハメッドがフランス語で話しかける。彼女がフランス語で答えている。
「エドワルド、彼女のフランス語は完璧だ」
「それで、彼女はフランス人なのか」
「いや、モロッコ人だ」
「何か食べるか聞いてくれ。俺が奢るから」
アハメッドが彼女と話している。通訳を通して女性を口説くのも面白いものだ。
「彼女はラバトまで行きたいらしいんだけど、切符を買うお金がないらしいんだ。ああ、彼女はコーヒーが欲しいらしいよ」
「じゃ、コーヒーでも注文するか」といいながらウェーターを呼ぶために手を上げる。
「アハメッド、俺。彼女とやりたいんだけど、話を付けてくれるか。こんなこと人に頼むのは情けないから頼んだことはないんだけど、アラブ語もフランス語も知らないので、仕方がないからね」
「わかったよ」
アハメッドと彼女の会話を聞いているだけの自分が情けないく、いらいらしてくる。
「切符を買ってくれたら、付き合ってもいいと言っているよ」
「それじゃ、今日の夜、一緒にラバトに行くように言ってくれよ」
「今日は、俺の仕事はあがったりだな」
「すまん。埋め合わせはするから」
列車の切符を買った後、彼女がラバトまで付き合ってくれるのを承諾をしたので、新市街(フランスが造った町)に出てホテルを探すが、どこのホテルも身分証明書の提示を求め、彼女がモロッコ人だと分かると、部屋を貸すことを拒否した。外人にモロッコ人の女性を盗られるのを防止する意味合いがあるのか、モロッコの法律がこのことについて規制しているらしい。
「ホテルは入れてくれな」
「外人の男性とモロッコ人の女性のカップルには部屋を貸してくれないからね」
「しかたがないな。例のカフェでも行くか。ハッサンも呼ぼうよ」
新市街のあるビルの二階にあるカフェでハッサン、アハメッド、ファティマ(駅で知り合った女性)とワイワイガヤガヤとやる。
列車の出るまで時間があるので町を歩いていると、絨毯屋のオーナーが自慢のBMW(中古)からクラクションを鳴らしている。そばに来て、乗れと誘ってきた。アハメッドとオーナーが何か話をしたあと、車はみんなを乗せて走り出した。
「アハメッド、どこへ行くんだ」
「ホテルの下のバーだよ」
「でも、あそこは売春婦の巣窟じゃないのか」
「この女には、そんな扱いでいいんだよ」
車はホテルの前に止まる。バーはホテルの入り口を入ってすぐ左側にあった。内部は薄暗く、ちょっと古いデザインかなと思わせるが、多くの女性で溢れかえっていた。モロッコはイスラムの戒律が緩い国であるが、一般の女性はこのようなところに来ない。
バーの中で、奥のボックス席に坐るが、彼らが話していることが全然理解できない。
「エドワルド、彼女のフランス語は凄いよ。フランス人みたいだ。絨毯屋のオヤジも言っているよ。それから、あのオヤジ、ファティマを狙っているよ。こんなどこの馬の骨かもしれない旅行者を相手にしないで、絨毯屋のオーナーである自分と付き合えと口説いているよ」
「くそ〜。このオヤジ」と日本語で呟いて、オヤジを睨みつける。
「出ようか」
「そうだな」
ホテルを出て3人で歩いていると、後ろで車がクラクションを鳴らしている。オヤジがファティマに手招きして何かを言っている。しかし、彼女は彼の方に行かずに、私たちについてきた。
「あのオヤジは油断も隙もないな」
「異教徒に、美人のモロッコ人を盗られるのが腹立たしかったんだろう」
「荷物だけど預かってくれないかな、中にお金を入れていくので気をつけてくれ」
「ああ」
旅行中に、一番大切で、厄介なのが、お金の管理である。全財産を持って女性と旅に出れば、途中で持ち逃げされるかもしれない。ホテルや友人に預かってもらうと、これも盗られるかもしれない。しかし、お金の管理のことばかり考えていると、何も行動をおこせない。
今回は、アハメッドに賭けるけることにして、荷物を預かってもらう。女にかまけて、一番大事なお金の管理を他人に任せるのは、馬鹿げているといわれればそれまでであるが、ファティマは男にそこまでさせる魅力があった。
駅のホームに列車が入ってきた。アハメッドと別れて、ファティマと列車の乗り込み、アハメッドに「一週間以内にもどってくるよ。それじゃ」に別れを告げる。イスラムの国での、イスラム女性との初めての旅は始まった。
つづく・・・・
|