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マンガ批評:ハチワンダイバー 柴田ヨクサル
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ハチワンダイバー 柴田ヨクサル 集英社◇最強の敵は巨乳メイド!? アキバ系超骨太将棋マンガ
“真剣師”とは賭け将棋をなりわいとする者たちの通称。プロ棋士の夢を断たれた主人公・菅田は、抜け殻のようになりながら真剣師として日々を過ごしていた。182戦全勝。しかし“アキバの受け師”と呼ばれる女真剣師との対局で初めての敗北を喫する。プライドをズタズタにされた菅田は、自室に出張メイドを呼ぶ。ところが、やってきた巨乳メイドはなんと、“アキバの受け師”その人であった。
シャープな線や、細密な描き込まれた絵が賞賛されがちな近年のマンガ界で、柴田ヨクサルの存在は異彩を放っている。前作「エアマスター」でもそうだったように、無造作にも思える大ゴマの連続は、洗練からはほど遠く、ネーム(フキダシ内のセリフ)の思い切った大きさにも驚かされる。最近のマンガではまず見かけなくなった画面が展開されていて、ギョッとする。しかし、読み始めたら最後、止まられなくなり、大きなネームもどんどんクセになっていく。この無造作に見える画面が快感になってゆくのだ。
マンガを読む快感の幹とも言える部分がそこにはあるのだろう。将棋に執着する男がいて、そいつがどうしても勝てない女がいて、しかもその女は巨乳で可愛くて、男はなんとしても強くなってやろうと奮闘する。物語はこの一点を超骨太に追求しまくる。余計な気取りなんか必要ない。主人公の激情が、そのまま大ゴマや巨大ネームとして読者に突きつけられてくる。その迫力、その快感を味わおう。【雑賀喜由】
ハチワンダイバー 柴田ヨクサル 集英社
◇筆者プロフィル
漫画コラムニスト。「北海道新聞」にて漫画時評「雑賀喜由の眼」を連載中。フリーライター、フリー編集者としても活動中。
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