フィギュアの世界を学ぼう!!巡音ルカ特集

巡音ルカ VOCALOIDO3人目の刺客はバイリンガル!

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【番外編】元任天堂のメンバーが作ったフィギュアコミュニティー「fg」
12月24日13時34分配信 ITmedia Biz.ID
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081224-00000048-zdn_b-sci

 ひとりで作るネットサービス第36回番外編は、フィギュア写真のコミュニティーサイト「fg-site(エフジー)」を作り上げた、ゲーム会社出身の3人組をとりあげる。正式公開から1カ月もたたないうちに4000人以上の会員を獲得し、写真1万8000枚以上が投稿されたという人気サイトを立ち上げることができた秘けつは何だっただろうか。

 「ゲーム作りでは、敷いたレールの上を、そうと気づかせずにユーザーにたどってもらえるかが重要です。楽しい仕事ですが、やはり想定外の出来事が起こるわけではありません。そう考えるともっと何が起こるか分からない、ネット上のサービスを作りたかったのです」。fg-siteを立ち上げた一人、岡本基さん(おかもと・もとい、33歳)はそう話す。

 fg-siteを立ち上げたのは任天堂などで働いていていた3人組。ディレクションを担当する岡本さんと、実際の開発を担当する亀田純也さん(かめだ・じゅんや、35歳)、松岡貴之さん(まつおか・たかゆき、34歳)だ。今回は岡本さんと亀田さんに話を聞いた。

●「せっかく起業したからには自分たちでクリエイティブなことを」

 岡本さんと松岡さんが「何かやりたい」と起業したのは2008年の春。その後亀田さんも参加した。起業にあたっては、まず食べていくためにゲームの受託開発から始めた。仕事にはありつけてはいるが、「せっかく起業したからには何か自分たちでクリエイティブなことをしなくては」と日々考え続ける毎日だった。

 「このままじゃだめだ。ブレストしよう」。ある日、3人はファミレスに集い、自社サービスに関してアイデアを出し合うことにした。ああでもない、こうでもない――という議論が始まった。最大のネックは受託業務とのバランス。「受託業務を長い間ストップさせることはできません。したがって研究開発に長期間かかるような、壮大なアイデアは除外せざるを得なかったのです」

 岡本さんと松岡さんは、もともと3D技術の研究をしていたので、Flashを使って3Dで何かのサービスをしたいと考えていた。しかしそれでは開発に時間がかかりすぎる。そこで、ネット上にすでに大量に存在している写真や画像ファイルを使って何かができないかと検討してみた。しかしイラスト投稿サイトや画像をかっこよく見せるサイトはすでに多数存在している。

 「ジェネレータぐらいの軽いものから始めようか」「4コマの投稿サイトなどはどうだろう」――。その後もさまざまなアイデアが出はしたが、誰もがいまひとつという顔をしていた。時間だけは刻々と過ぎていく。ブレスト開始から12時間が過ぎようとしていた。「さすがにファミレス側にも迷惑だと思ったので、そこでデザートを頼むことにしました(笑)」

 そしてデザートが出てきた時にふっと岡本さんの頭をよぎったのが、「フィギュア写真のSNS」だった。岡本さんの任天堂時代の後輩がフィギュアの原型師になっていたり、知り合いのデザイナーがフィギュアのディーラーをしていたためフィギュアの話が頭に引っかかっていたのだ。

 ふと思いついたアイデアだったが、検討し始めるとどんどん良いアイデアのように思えてきた。まずフィギュアの愛好者は年齢層が高い。感情的になりがちな若年層と比べると、落ち着いた雰囲気でコミュニティーが運営できるのではないだろうかと考えた。また可処分所得も高い。将来何らかのビジネス化を考えた時にも有利に働くのではないか、という下心もあった。

 知り合いからフィギュア愛好者人口について話を聞いていた岡本さんは、フィギュアの人口がアニメのざっと10分の1程度ということも知っていた。コミケの来場者がだいたい40万人とすると、フィギュアのファンが集まる「ワンフェス(ワンダーフェスティバル)」の来場者規模は4万人程度。「どんなにユーザー数が多くても数万人ぐらいなら、小さな会社でも十分運営できるのではないか」と岡本さんは考えた。

 すでに12時間のブレストを行っていた松本さんと亀田さんは、「疲れていて反応が全然良くなかった」そうだが、まずはこれに取り組んでみようということで3人の意見が一致した。亀田さんがPHPのフレームワーク、CakePHPを使ってSNSの骨組みを作り上げることになった。

 「以前SNSを作ったことがあったので、骨組みまではわりとすんなりいけました。参考にさせていただけるサイトも多かったですし」。亀田さんを中心に開発が進められ、1カ月程度で形ができてきた。「ただ、骨組みを作った後が問題です。フィギュアSNSならではの機能を付け加えないといけません」

 独自の機能は2つ考えた。1つは“さまざまな角度から撮影した写真をさっと切り替えて見られるようにする機能”だ。フィギュアの写真は作品1つにつき、角度を変えて何枚も撮影するのが普通だ。そうした写真がさっと見られることが重要になる。そこでほかの写真を縮小画像にしておき、マウスオーバーするだけで瞬時に切り替わるようにした。

 もう1つ付け加えたのは、写真の好きな場所にコメントできる機能だ。flickrやAmazonでよく見るインタフェースである。「Amazonのフィギュア販売ページを見ると、熱心なユーザーが写真にコメントをつけていることに気づきました。『この腕のここが……』『この目の部分が……』。どれもマニアックなコメントばかりですが、愛のこもっているものばかりです。この機能は絶対に必要だと思いました」

●300のWebサイトへ、一通一通告知

 こうした機能を追加し、恐る恐るβ版をリリースしたのが2008年10月。まずはユーザーを集めないといけない。そのためにワンフェスの参加者が開設しているWebサイトを探し出し、公開されているメールアドレスのリストを作った。300名ほどのリストを作り、一通一通、サイト名を入れながら「こういうサイトを作ってみました!」という招待メールを出し続けた。「本当は自動でサイト名や相手の名前を差し込んで送信してくれるソフトがあると思うのですが……。ここは気合だと思いました」

 そのかいあって、ぽつぽつと登録者が増え始めた。20人、30人となり、50名を超えたあたりから予想を上回る登録者が集まってきた。「その時にはアクセス解析ツールを入れ忘れていたので、大急ぎでGoogle Analyticsを導入しました。調べてみるとフィギュア愛好家が集まる掲示板で紹介されたことが分かりました。最初は100人ぐらい集めたいね――と言っていたのですが、すぐに1000人を超えてびっくりしました」

 2008年12月現在の会員数は約5000人。さすがにアクセス数はこなれてきたが、1日に100枚以上の写真がコンスタントに投稿されているという。「イラストと違ってフィギュアはそれほど頻繁に作るものではありません。だから、あまり投稿されないと思っていたのですが、そうでもないことが分かりました」。各地で開かれるフィギュア愛好者向けのイベントに合わせて作品を作り続ける人も多く、作品の制作過程を公開する場としても使われている。

 ユーザーが増えるにつれシステムの最適化も同時に進めた。開発速度重視の開発だったので細かいところでチューニングが必要だった。「最初は管理画面もなかったので急いで作ることにしました」。亀田さんは笑いながら、そう教えてくれた。

 ユーザー数も、投稿される写真の数も順調に伸びていった。うれしかったのはユーザーが想定どおり“大人”だったこと。大きな苦情やクレームといったものは今のところほぼ皆無だという。バグ報告や機能追加についても「要望という感じではなくて、アドバイスといった感じ」でメールが送られてくることが多い。

 運営しているうちに分かってきたのは、カテゴリーの重要性だと岡本さんは言う。「作品のジャンルに関しては縄張り意識というか、派閥といったものがあることが分かりました。例えば最初は改造フィギュアと模型を使わないで作るフルスクラッチの作品を分けていなかったのですが、これについては分けてほしい、という要望が数多く寄せられました。また、ジャンル分けしておけば、投稿する人にとっても『ここに投稿すればいいのだな』という安心感を持ってもらうことができます」

 ジャンルを分けることで、その分野のブログやホームページに波及し、新たなユーザーが増えるということも分かってきた。「例えば鉄道模型を好きな人が入ってくると、鉄道模型のファンサイトで話題になり、そこから新しいユーザーが流れ込んできてくれました」。こうして丁寧にジャンルを分け、そのコミュニティーにアプローチすることによって、もっとユーザーを増やしていけるのではないかと考えている。

●タグは2chの『板』である

 今後、fg-siteはどうなっていくのだろうか。これからの展望を岡本さんに聞いた。「2つありますね。1つはタグに掲示板を付けること。そしてもう1つは3DCGへの展開を検討することです」

 現在fg-siteでは作品にタグを付けられる。今後、そのタグごとに掲示板を設置できるようにしていくという(12月16日にリリースとなった)。「目指しているのは2ちゃんねるのようなコミュニティーです。ユーザーが自由に自分の好きなカテゴリーを作り、そこで居心地良く滞在できる仕組みを作りたいのです。そこでタグに注目しました。タグというと分類を分けていく導線として使われるのが一般的ですが、2ちゃんねるでいう『板』のような使い方をしてもらいたいと思っています」

 コミュニティーを盛り上げる手法としてよく使われるランキングだが、ランキングではニッチなコミュニティーを育てにくい、と岡本さんは考えている。「例えばpixivさんだと『東方』と呼ばれるコンテンツが人気です。同じようにニコニコ動画さんでは『ボーカロイド』『アイドルマスター』といったコンテンツがランキング上位に来ます。ただ、こうしたある特定のキャラクターに偏ったランキングを前面に押し出してしまうと『ランキング上位にいくにはそのキャラを手がけないといけない』という雰囲気になってしまいます」

 それではニッチなキャラクターを愛好する“濃いユーザー”に心地よく滞在してもらうことができなくなる。「そこでタグのように自由に作れるものを掲示板にしてはどうか、と考えています。ちょうど2ちゃんねるで『濃いユーザー』が『板』を立てて分散していったように、タグの掲示板で同じことが起きればと考えています」

 もう1つ検討しているのは3DCGの投稿についてだ。「3DCGも立体物なので投稿させてくれないか、とお問い合わせをいただいたのがきっかけです」。最初は、フィギュアの写真と3DCGは別物――と考えていた岡本さんたちだったが、3DCGのモデラーにはフィギュア好きの人が多いことも分かった。また岡本さんと松岡さんが3Dの研究をずっとしてきたという経緯もある。「将来的には立体モデルを投稿して、ブラウザ上で自在に動かせたらいいな」と夢が膨らむ。現在、この件については「検討中」という状況だが、ユーザーからの問い合わせに「ユーザー数が増えたら可能性も十分ある」と返答したところ、「ではユーザー数が増えるように協力します!」とうれしいメールも返ってきた。

 「ユーザーが作り上げる予測不能な世界を思い切り楽しみたい」。そう考える岡本さんたちが運営するfg-siteは今後どう育っていくのだろうか。ゲーム会社出身のメンバーが作り上げる新しいコミュニティーに期待したい。


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