First_Noelの宇宙工学日記

ゆっくりでも止まらなければ結構進む.私の専門は「未来の宇宙を創造する」ことです.

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もう10年ほど前,前々職では太陽光を利用したホニャララについて研究していたため,
太陽のパワーは重々体感しています.
目の前で物体が1500℃以上になり,ステンレスがみるみる蒸発して行く様を見るにつけ,
「これだけのエネルギーがタダで降り注いでいるのだから,利用しないと勿体無い」
と思ったものでした.1平方メートル当たり800W程度,秋の澄み切った晴天ならば900Wです.
しかし同時に,これを使いすぎると大変なことになりそうだ,とも感じていました.

最近,CMでも「救うのは太陽だと思う」と言われるほどに,
太陽光を活用しようと言う動きになっています.
太陽電池は波長が300nm〜1000nm辺りの電磁波を用いて電力を得ます.
これは短波長側から言えば,近紫外〜可視光〜近赤外に相当します.
最も発電パワーが大きいのは波長の短い紫外域であり,次に可視光線,最後に赤外域となります.

一方,太陽から地表へ届く波長域は,可視光線と呼ばれる領域で最大となります.
ピークは500nm〜550nm辺り.色で言えば緑色です.
余談ですが,人間の目の感度もこの辺りにピークを持つため,
人類は過去に宇宙から渡来したのではなく,地球上で進化したことを如実に反映しています.
いずれの波長域の電磁波も,空気中を伝播したり地面に当たったりすることで
一部が空気や地面を暖めますが,短波長ほど空気中で反射されて宇宙に戻り易く,
長波長である赤外線は空気や地面で吸収されて特に加熱に貢献します.

以上のことから考えると,本来地球をそれほど加熱しない紫外線によって発電し,
それを利用することで最終的に熱として大気中に散逸する太陽電池,太陽光発電と言うものは,
わざわざ熱ではないものを熱に変換して大気中に撒き散らすことになります.
そして太陽光発電が普及し,大規模化することで,この発熱は更に増大します.(※1)

しかも太陽電池を製造する工程でCO2が発生し,
太陽電池を作らなかった場合と比べての環境負荷分の回収には1年半〜2年ほどかかります.
更に,太陽電池製造工程でのCO2の排出は,CO2排出権に基づき制限されます.
つまり,1年間に製造出来る太陽電池には上限があり,太陽光発電を普及させようとも,
一気に行えないことになります.
そしてその普及の最中にも,初期に製造した太陽電池は劣化し,交換の時期がやって来ます.
従って,環境負荷の大きな太陽電池を作り続けなければならないことになります.
これではいつまで経っても,環境負荷に対して元を取ることが出来ません.(※2)

更に,もし都会の住宅の家屋の多くが屋根に太陽光発電装置を取り付ければ,
それが全地球表面積の一部分であるにしろ,全体として若干のアルベドの変化を齎すかも知れません.
そうすると地球の平衡状態が変化する可能性があります.(※3)

また,大規模発電所に対して一般家庭での分散発電について考えると,
一般家庭に導入可能な発電装置の効率は,お金をかけて作る大規模発電所には到底及びません.
例えば想像してみて下さい.
火力発電所の代わりに,各家庭にボイラーを設置して各戸で発電するのと同じように,
無駄なエネルギーをロスすることでしょう.
太陽電池のエネルギー効率は,そのボイラーよりも悪いものです.
この場合に分母に来るのは,太陽電池の製造に関する環境負荷と言えるでしょう.(※4)

以上の4点(※1〜※4)から言えることは,
「太陽光発電は普及,大規模化すると環境を破壊する蓋然性がある」です.
つまり,本来地球圏内に入らないエネルギーが入力されてしまうことにより,
平衡状態が変化することへの危惧があるのです.

小規模であれば私も太陽光発電に異存ありません.
例えばバイオエタノールの製造に要するエネルギーをこれで補う程度であれば,
これは現状手段ではダメですので,太陽光発電による電力使用が推奨されるべきと考えます.

今,これを冷静に,又,政治的思惑に左右されることなく評価されているようには思われません.
何だか「太陽光発電は良いことばかり」と言う風潮があるように思われてなりません.
「クリーンエネルギー」などと言う言葉は,何と人を惑わしていることでしょう.
せめて「グリーン」だと言うに留めておきたいものです.
欧米だと「クリーン」と「グリーン」とは厳密に区別して使用されているようです.

ここまで書いておきながらナンですが,私は上記を評価するには素人です.
又,太陽光発電が環境悪化側に振れる分岐点は,人類のエネルギー消費量よりも大きいところに
あるのかも知れません.この場合は太陽光発電は将来の発電として大いに推進すべきです.
しかしそうではない場合,太陽光発電の普及と大規模化は,いずれ何処かで止めなければなりません.

だいたい人類は,自身の行き過ぎを自身で止めようとして失敗しがちです.
だからヒートアイランドを招いたり,化石燃料を消費したりするのであれば,
例えば屋上緑化やその土地土地に適合した植林を行うなども併せて行うなど,
植物の力を借りる方がそれこそ環境負荷を増大させない対処法ではないかと思われます.
但しこれも植物による一時的なCO2とエネルギーの固着であって,
その植物が枯れた後はどうするかを考えておかねばなりません.
もしかするとそれはまるで使用済みの放射性廃棄物のような扱いなのかも知れません.

だからと言って化石燃料の消費を推奨している訳では決してありません.
どなたかによる本当に中立的な立場での評価をぜひ聞きたいと思っているところです.
「救うのは太陽だと思う」であって,「救うのは太陽です」ではない辺り,
メーカーさんや有識者は既に見極めた上で,普及に努めているのかも知れませんが.
或いは,幾許かの不安要素があって断言出来ないと言うのは,深読みに過ぎるでしょうか.

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>本来地球圏内に入らないエネルギーが入力されてしまう
ですが、これを守ろうとすると化学エネルギーも原子力エネルギーも
使ってはいけません。再生可能エネルギーのバイオマスや風力、水力、
波力、地熱などだけになってしまいます。

SSPSなどの研究によれば、太陽による入力が大きすぎて、人類が電力として使用するときに発生する電力等による熱は無視可能な量でした。

2009/4/22(水) 午前 6:40 [ wdb201126 ] 返信する

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>wdb201126さま
過去に蓄積されたエネルギーの解放ですよね,
ざっと調べると現在人類が解放しているそれらエネルギーは,自然が入力するものの
数10分の1だとかで,明らかに巨大なエネルギーだと思います.
太陽光発電も大規模化すれば結局は同じ問題に直面することはないのか考えていて,
そういう危惧が太陽光発電には付随しない風潮が危ういんじゃないか・・・と,
これが杞憂であれば良いのですが..

SSPSは,MRIの報告書を読んで,確かに「微小なので影響はない」と
記載されていましたが,確かに非常に小さな値だったと記憶していますが,
ではその小さな値を反映したシミュレーションはしなくていいのかな,とも..

この辺を自分で評価出来ないのがもどかしく,他力本願になってしまいました..

2009/4/22(水) 午後 9:57 [ First_Noel ] 返信する

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うわ〜。
ものすごく懐かしい写真ですね!あのドームを思い出しました。
調布分室にはよく行くんですが、本所にはなかなか行けなくて、
少し寂しいです。
そういえば、よくこちらの地方へいらしてるとか。
もしお時間等々ご都合つけば声かけてくださいね♪

2009/4/22(水) 午後 11:03 [ spa**_flig*t_*ei ] 返信する

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>spa**_flig*t_*eiさま
懐かしいでしょ.久し振りに掘り出してみました.
もうあのドームないんですよね.
我がグループの方々はいらっしゃいますが,他の方々は相模原とか丸の内とか
タイとかに行かれたようです.
そちら行く機会は月1回くらいかな.
遠距離婚なもので,結婚後は実はまだ10回も会ってなかったりします.
また機会あればぜひ!

2009/4/22(水) 午後 11:49 [ First_Noel ] 返信する

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宇宙太陽光発電の大きさがGW級ですね。
地上でやってもGW級を作るのは結構大変かと。
それとそれ以上になってくると、天候その他要因による発電量の変動に他の発電システムが追いつかないので、どこかで限界があったはずです。 削除

2009/4/22(水) 午後 11:58 [ wdb201126 ] 返信する

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>wdb201126さま
SSPSは原発1基分,火力なら数10基分,
地球が受け取る太陽パワー174PWと比べると1億分の1オーダーですね.
たぶんこの辺りから求めた数字が報告書に記載されていたのかも知れません.
でも私が危惧したのは地上太陽光発電の方で,太陽電池を大量に作り続けるサイクルに
突入するような大規模な地上太陽光発電は,太陽光発電推進の楽観的な予測?風潮?
とは裏腹に実際には環境負荷の元を取れるのかな結局は化石燃料を使い続けるのと
同じではないのかなと言うことでした.
一方いろいろ調べてみると,人類が消費する全エネルギーは秒あたり換算で10TW程度,
これは太陽パワーと比べると1万分の1程度でこうなると小さいような大きいような・・・
よく分からない感じになりました.ところでさきほど調べたところでは,
秒当たりで,人類の全エネルギー消費と地球上の全植物の光合成エネルギーとは
コンパラなんですね.植物だけが全てを請け負っている訳ではないので暴論になりますが,
もしかすると今の時代がまさに分岐点なのかも知れません.と言う気になりました.

2009/4/24(金) 午前 1:43 [ First_Noel ] 返信する

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