【2009年8月18日 朝日新聞】

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まいど!
ジャワマングースの満宮数太郎(まんぐう・すうたろう)と申します。
ウチら、昔は島を救う「救世主」ってもてはやされててんけど、今は「特定外来生物」いうんですか?エライ邪魔者扱いされて…
毎日犬や猟師に追いかけられて、息つく間もありませんワ…
大体「害獣」て何ですねん?
ウチら、いきなり連れてこられて、新しい土地でフツーに暮らしてるだけでっせ。
ウチらが何したっちゅうねん!
確かに、ハブはあまり食べませんワ。
せやけど、よう考えてみなはれ。相手は猛毒持った毒ヘビでっせ!毒ヘビ!
ウチらかて、噛まれたら一発であの世行きや…
ウチらハブの「天敵」言われてるけど、いつも勝てるとは限らへんのです。
勝率は、70〜80%くらいやろか…
ウチらがハブと戦うんは、逃げ場がない時、腹ぺこで、他に食べ物がない時くらいで、あとはスルーですワ。
「触らぬ神にたたりなし」言うやないですか… マングースかて同じでっせ…
そんな命懸けで狩りをせんかて、ふと、周りを見ると、飛べへん鳥やら、小動物、カエル、トカゲ、虫やら、簡単に獲れて、栄養価の高い獲物がぎょうさんいてるんです。
リスクを回避して、そっちを食べるんが自然の成り行きちゃいますか?
そら、増えますワ… 環境もええし、エサも豊富。
ウチらを襲う天敵もいてへんし、食物連鎖の頂点に立たせてもろてます。
せやけど、それもあんたら人間がそうしたんでっせ、ウチらが望んだことやおまへんねん…
最近は、開発で住みかも少ななってきたし、エサも減ってきたし、車にはねられてまう仲間も増えてきてます。
その上、ウチらが大嫌いな犬まで使うて、巣穴から一網打尽にされてます…
言うときますが、希少種を食うとるんは、ウチらだけちゃいまっせ、人間が捨てた野犬やノラ猫かて結構えげつない真似しよります…
何よりも、動物を減らしていったんは、人間とちゃいますか!?
ウチらだけいじめんといてください!
ウチらが絶滅しそうになったら、守ってくれはるんやろか…
(マングース語翻訳 : 魚水)
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…なんて、マングースのつぶやきが聞こえてきそうです。
一時はハブ退治の「救世主」として、鳴り物入りで導入されたのが、一転「害獣」として、国レベルの駆除対象になってしまいました。
ハブの天敵のはずが、ハブをほとんど食べず、ヤンバルクイナやアマミノクロウサギといった絶滅危惧種、その他希少種の哺乳類、両生類、爬虫類、昆虫などを捕食するほか、ニワトリも襲われるといった深刻な被害をもたらしています。
環境省は、2005年に「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」で、沖縄と奄美大島のジャワマングースを有害外来種に指定し、10年間で根絶するプロジェクトをスタートさせました。
100年前、マングースがヘビの天敵ということだけで、公的プロジェクトの一環として持ちこまれましたが、その当時は、生態系全体に対する理解も、種の理解も希薄だったんでしょう…
自然をコントロールできると考えた人間の浅はかな愚行でした。(今考えると…)
しかし、それだけハブの被害は深刻でもあったのです。
※興味のある方は、椋鳩十著「ハブとたたかう島」をご一読ください。
さらに、一番心配なのは、マングースを根絶するだけで、希少種が守れると考えていないか?…ってことです。
ゴールを間違えてはいないか、害獣の駆除が唯一絶対の目的にすり替わってはいないか?を心配しているのです。
また、マングースはすでに100年かけて定着したその地の生態系の一部です。
そこの食物連鎖の頂点にいる生物を根絶することで、生態系に何の影響も及ぼさないのか…?
この2点が私の懸念するところです。
人間の浅知恵に振り回され続けたマングースに罪はないはずなんですがね…
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