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何を今更、という方は読まないでください(笑)
少し思うところがあったので時期をはずしていますが書きます。
随分前に読んだ本なのでやや忘れている部分もありますが、思い出しつつ。
内容は大雑把に書くと、
・(数学と違い、)現実の問題を扱うには論理には限界がある。
・今は論理ばかりがもてはやされている。
・日本が失った情緒、特に武士道精神を思い出すべきだ。
といったかんじだったと思います。
序盤の論理の限界に関しては説得力があったように思います。
それを後半の主張にうまくつなげているようです。
後半、特に情緒や武士道精神のくだりは
自信喪失気味で、また第二次大戦以降自画自賛をなかなかさせてもらえなかった
日本人の心をうまくくすぐる内容になっていたと思います。
一応不況は脱したとはいえ、
グローバル化、格差社会、年金問題、環境問題、資源問題、アメリカ頼みの安全保障などなど
日本の先行きには問題がつもりにつもっており、
将来への不安が払拭されるはずもありません。
そんな中で
「武士道精神を思い出せ!
日本は強い!大丈夫だ!」
と勇気付けてくれるこの本は確かに
「日本人に誇りを取り戻させる本」といっていいかもしれません。
日本人の持つ情緒・武士道精神は優れていると、読者を勇気付けたこと。
いろいろ言われていますが、
それがこの本が売れた最大の要因だと私は判断しました。
しかし、
残念ながらこの本は
「日本人が武士道精神を取り戻せば全てがうまくいく」
以上のことを言っていないように思えます。
現実には、国や企業のトップから一個人にいたるまで、
情報を集め、頭をひねりにひねって様々な問題を打破しようとしています。
当然、情報収集にも論理にも限界があるので
全てがうまくいくわけがありませんが、
その都度軌道修正しながら、日夜問題と戦い続けています。
この本では後半の主張の為に、
「論理には限界がある」から
「論理には限界があるから無意味である」
と読者が考えるように導いているような節があります。
・論理は無駄。
・日本人の情緒・武士道精神はすごい。
以上の二点がこの本の要点だとすれば、
これらは読者にどのような行動を推奨していることになるのでしょうか。
論理は無駄と思考を休み、
情緒による判断の方が優れていると
時々の気分で世論を形成する。
1年以上前に出た本ですが、
確かにこの本は時代が求めたのかもしれない、
と今更ながら思う今日この頃です。
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