FLOATING WEED

好きな音楽や映画、漫画、サッカーなどのことを書き綴っていこうと思います。

全体表示

[ リスト ]

視線(3)

「なるほど、冴子さんというのはあなたの交際相手だったわけですね。」

「はい。それから3ヶ月くらい彼女との交際は続きました。」

「ということは、現在は彼女とお付き合いされていないわけですね?」

「はい、そうですけど…そのことが今の状況と何か関係あるんでしょうか?」

男は訝しげに尋ねた。

「どんなことが原因になっているかはわかりませんから、できるだけ詳しい話を伺っています。
もちろん、あなたが話したくないと思われることは話さなくても結構ですよ。」

大崎はあくまで静かに、そして諭すようにそう言った。

「いえ、大丈夫です。確かに彼女の存在が関係ないとは言い切れない。」

男はある程度納得してくれたようだ。


大崎はここまでの話を聞いて、彼の症状の原因は彼女にあるだろうと確信を強めていた。
話の中の彼女から、何か粘着質のようなものを感じたからだ。


「では、そのあとの彼女との関係を話していただけますか。
もちろん話せる限りのことで結構です。」

そういって大崎は、男が話すように促した。















二人が付き合いだしてからは冴子が店に訪れることは減り、その代わり頻繁に二人で会うようになった。

付き合ってから知ったことだが、冴子はコンピューターのプログラマーをしているらしい。
年齢は29歳、少し年上だ。そのことは漫画喫茶の会員証で知っていた。

葛城はプログラマーと聞いても具体的になにをする仕事か検討がつかなかった。
だが漠然と、やはり冴子は高い知性を持ち合わせているのだろうと思った。



初めて彼女を部屋に呼んだときのことだ。
冴子が来る前に葛城は急いで部屋を片付けた。
その時葛城の部屋はお世辞にも綺麗とはいえない部屋で、女性を招きいれられるような状態ではなかった。

レンタルビデオ屋で借りていたアダルトビデオなど、見せたくないものは押入れの奥へと放りこみ、何ヶ月かぶりに部屋に掃除機までかけた。
片付け終わると、いつもより二割増しくらい部屋が広くなった気がした。

彼女がパソコンを使う仕事なので、念のためにお気に入りに登録してある好きなアイドルや女優のHPも削除しておいた。なんとなくそういう部分を見せるのは気恥ずかしい。


彼女は部屋に入ったとき開口一番、

「結構きれいにしているんだね。」

そういった。

葛城は必死で掃除した甲斐があったと胸をなでおろした。


それから冴子はしょっちゅう部屋を訪れるようになった。

彼女は葛城の部屋で、パソコンを使って仕事をしていることもあったが、インターネットや音楽再生くらいしかパソコンを使わない葛城には彼女が何をやっているのかはさっぱりわからなかった。

ただ、パソコンに映し出されているアルファベットの羅列を睨む冴子の表情は真剣そのもので、そのときだけは葛城をも寄せ付けない雰囲気を醸し出していたことをよく覚えている。


彼女と付き合いだしてからわかったことはもう一つある。
彼女は意外に寂しがり屋だということだ。

最初、葛城は冴子にクールなイメージを抱いていた。
仕事とプライベートをしっかりと分けており、男に媚びない強い女性だろうと想像していた。

しかし、実際の彼女は違った。
彼女の職場での姿はわからないが、葛城といるときにはいつも甘えてきた。
些細なことでメールしてくることも多かったし、必ず毎日電話も欠かさなかった。

葛城は多少煩わしさも感じたが、冴子のような女性に依存されることは満更でもなかった。
彼女が外で見せる理知的な表情と、二人のときだけに見せる甘えた表情とのギャップが葛城にはたまらなかった。


冴子は、葛城が仲間と飲みに行くときは、その場に女がいないかしつこく聞いてきたりもした。
時には、女がいないか確かめるために、飲み会の最中に電話して確認してきたりすることもあった。

男だけの飲み会だと言ってもなかなか信じずに、結局そのときのメンバー全員と電話を替わり、それでも納得せず、証拠にその場の写真を添付したメールまで送らされたときにはさすがに参った。

「大変なのにつかまったな。」

そう皮肉を言う友達に苦笑したのを思い出す。


しかし、そのころの葛城はそんな冴子の行為も多少嫉妬深いくらいにしか考えていなかった。
むしろ、その行為から自分は愛されていると実感していたほどだ。


その嫉妬深さ以外は、彼女は葛城にとって最高の女性だった。
何よりも彼女とはことごとく趣味があう。
音楽はもちろんのこと、好きな食べ物や映画、服の趣味などまで、自分のことを全てわかってくれているようだった。
彼女といると、長年連れ添っているかのような安心感がある。

こんなに自分のことをわかってくれているのだから、多少のことは我慢しなければ。

葛城はそう思っていた。










閉じる コメント(2)

顔アイコン

更新、お待ちしてました!!
冴子の嫉妬深さ、強烈ですね 苦笑))
この人が今後どう関係していくのか、とても楽しみです!!
小説、頑張ってください♪

2010/5/10(月) 午後 10:53 [ ]

>ありがとうございます!
これから少しずつタイトルとの関連を見せていこうかと思います!

2010/5/10(月) 午後 11:21 [ メヅ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事