FLOATING WEED

好きな音楽や映画、漫画、サッカーなどのことを書き綴っていこうと思います。

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「それからも、彼女からはしつこく連絡がありました。
携帯を着信拒否にしたりアドレスを変えたりすると。今度は店に直接電話してきたり、家の前で待ち伏せしたりするようになったんです。」

(いよいよ核心に迫ってきたな。)

そう大崎は思った。

「警察には相談しなかったんですか?」

「そのときはそこまですることはないだろうと思っていました。
やはり警察沙汰にはしたくないですから。
それで僕は店をやめて家も引っ越すことにしました。」














冴子に付きまとわれている事情を話すと、それなら新規にオープンする二駅先の系列店に移らないかと持ちかけられた。

葛城はその申し出を受け、家もその店の近くへと引っ越すことにした。
店のほうにも葛城の連絡先は他言しないよう十分に頼んでおいたので、冴子とはこれで決別できるはずだと思った。



しばらく何事もなく平穏な毎日が続いた。
新しい生活にもなれ、冴子のこともほとんど思い出さなくなっていった。


そんなある日、葛城は仕事帰りに食事に誘われた。
一緒に働いている美鈴という女性からだ。
彼女とは店でも気があい、よく話していたし、きっと自分に気があるだろうと葛城は思っていた。


美鈴は食事中にやたらと、女性の好みや葛城の趣味について尋ねてきた。

「葛城さんって付き合っている人いるんですか?」

「いや、今はいないよ。」

そう言ったときに美鈴の表情が輝いたのを葛城は見逃さなかった。

「じゃあ、葛城さんってどんな女性がタイプなんですか。」

「えーと。そうだな。」

そう質問され葛城は自分の理想を思い浮かべてみた。

葛城は自分が遊び人風に見えるぶん、好みのタイプは自分と逆のしっかりとした女性だ。

髪型は黒のロングで、普段はスーツに身を包むような女性に心惹かれる。
そういう女性が自分だけに見せる弱い部分というのに男心をくすぐられるのだ。

そこまで想像して、それが冴子そのものだと気づいた。
しかし、彼女は自分の理想を絵に描きすぎている。
今思い返すと、理想に忠実すぎる冴子の姿は、自分の好みを知った上で作られた虚像なのではないか、そんな気がしてきた。

彼女は自分の前で常に仮面をかぶっていたのではないだろうか。


葛城は初めてライブに誘われたときのことを思い返した。
彼女はあの日盛り上がっているようには見えなかった。
やはり彼女は、自分がコールドアイズのファンだということを知っていて、好きでもないバンドのチケットを手に入れたのではないだろか。

真夜中の行進が好きだといったときに彼女もファンなのだと思ったが、その曲が隠れた名曲でファンの中では人気が高いことも、少し調べればわかることだ。

考えれば考えるほど疑惑が頭を渦巻く。


しかし、葛城が初めて冴子に会ったときから彼女はあのスタイルだった。
出会う以前から彼女が自分の好みを知り、それを演じていたとは考えにくい。


第一、自分の理想像は誰にも話したことがないはずだ。

好きなアイドルと、付き合う女性が別物のようなもので、この理想像はただの憧れに近い。
実際、その理想に近い女性と付き合ったのは冴子が初めてだった。

葛城は普段理想を聞かれたときには、その聞いてきた相手に近い印象を話すようにしている。
相手の印象そのものを言うのではなく、少しずらして自分のことを言っているのかどうか曖昧なところをつくのがポイントだ。
そうやって、女性に自分を意識させるのが葛城のテクニックでもあった。

つまり葛城の本当の理想像を知る術は冴子にはないはずだ。

やはり考えすぎなのだろうか。


「ねえ?どうしたの?」

美鈴の言葉で我にかえった。

「ええと。好みのタイプだったね。
そうだな、よくしゃべってよく笑う子が好きだな。あと、どちらかというと美人なタイプよりはかわいげのあるほうが好きかな。」

葛城はそう答えた。
案の定彼女は、嬉しそうな顔をしている。
しかし、その日それ以上積極的に彼女を口説く気にはなれなかった。
先ほどよぎった冴子のことが、葛城の心に暗い影を落としていたからだ。


食事が終わると、彼女を駅まで送ってそこで別れた。
正直、始めはあわよくばそのあとの展開まで期待していたが、今回はそんな雰囲気にはならなかった。


少し残念に思いながら、家路についていると、非通知で電話がかかってきた。
葛城は、ふと嫌な予感がして出るのをためらった。

もしかしたら冴子からかもしれない。

しかし、彼女はもうこの番号を知るはずがない。きっと先ほど別れた美鈴が電話してきたのだろうと思い直し葛城は電話を取った。

「もしもし。」

しばらく沈黙が続く。

「もしもし?」

葛城がもう一度聞き返すと、聞き覚えのある声が聞こえた。


「私はいつでもあなたを見ているから。」







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更新されてたの、知りませんでした 汗))
冴子はいったいどこで葛城を見ていたのでしょうか・・・
「私はいつでもあなたを見ているから。」
の台詞を読んだ時、背中がぞくりと凍るような思いがし、
思わず背後をふり向いてしまいました。
あ、やはり冴子は葛城の好きな女性を演じていたのでしょうか・・・
それって相手への愛からでしょうけど、
やられる側としてはただ単純なる恐怖ですよね・・・
やっぱり文才がおありですね。
更新心待ちにしてます♪

2010/6/9(水) 午後 11:13 [ ]

>いつもありがとうございます!
少しずつ物語りも核心に迫ってくるので、もう少しお付き合いいただけたらと思います!

2010/6/10(木) 午後 8:20 [ メヅ ]


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