FLOATING WEED

好きな音楽や映画、漫画、サッカーなどのことを書き綴っていこうと思います。

全体表示

[ リスト ]

視線(10)

「角度から考えても、あの写真は彼女にしか写せないはずでした。
しかし彼女が冴子に協力して隠し撮りしていたという形跡を見つけることはできませんでした。
それに、彼女の携帯を見た後に撮られた画像は、彼女には撮ることができなかったはずです。そう考えると街中にいるすべての人を疑いの目で見るようになりました。

それから私は外へ出るのも恐ろしくなり、仕事もやめて部屋にこもるようになりました。」


大崎はどうしたものかと思った。
どういう手段を用いて彼を撮っているのかはわからないが、彼を回復に向かわせるためには冴子の影を彼から遠ざけることは必須だ。
しかしそれは自分の領分ではない。やはり警察の力を借りるのが早道だろう。

今の状況を話し、自分からも意見書を出せば警察も動いてくれるかもしれない。


「葛城さん、私にも警察の友人がいます。もう一度警察に頼んでみてはいかがでしょうか?
もちろん、私からも協力してくれるように進言しておきますから。」

とりあえず、警察の出方を見てからこれからの治療方針を決めよう。
大崎はそう考えていた。

「ありがとうございます。」

男は大崎に少し頭を下げた。そして、

「でも。もう大丈夫ですから。」

そう続けた。

「え?どういうことですか。」

意外な答えに驚く大崎に男は言った。


「彼女ならもう逮捕されましたから。」















ある日、葛城の部屋の扉が叩かれた。

葛城はそのとき嫌な予感がした。

(まさか冴子では。)

最近では携帯の電源もパソコンの電源も入れることがなかった。
外出も必要最低限しかしていない。
彼女が篭城を決め込んだ葛城に業を煮やし、とうとう部屋にまで押しかけて来たのかもしれない。

葛城は恐る恐るドアの覗き穴から外を覗いた。

そこには冴子ではなく男が二人立っていた。スーツに身を包んだ二人は怪しい人物には見えない。
葛城は胸をなでおろし、ゆっくり扉を開けた。


二人の男は丹羽と宮内と名乗った。

丹羽のほうが上司なのだろう、もう一人よりも堂々としている。年齢は40代といったところだろうか、頭髪に少し白髪が見えた。
一方の宮内は、20代後半から30代くらいに見える。なかなか精悍な顔立ちをした好青年といった感じだ。


二人は刑事だった。


警察手帳を掲げた後に、丹羽は懐から一枚の写真を出し葛城に見せた。

「この女性をご存知ですか?」

それは冴子の写真だった。

「はい。」

そう答えながら少し希望が湧いてきた。
やっと警察が動いてくれたのだ。

「どういうご関係でしたか。」

「以前付き合っていた時期がありました。
別れたあと、ストーカーされて困っていたんです。」

刑事は顔を見合わせた。

「ストーカー行為のことは聞いています。
それで、証拠を保全したいのであなたのパソコンと携帯電話、それから彼女から送られてきたものがあれば全てこちらに提出していただきたいのですが。」

葛城は郵送されてきた、写真などを提出した。
驚いたのはパソコンと携帯もまるごと持っていかれたことだ。
そこに保存されている画像などを解析して証拠を掴むらしい。
それにしても大事だと思った。

「携帯電話は、新しいものを用意しましたのでしばらくこちらをお使いください。
パソコンに関しても必要なデータを取りましたらすぐにお返しします。
郵送された写真は…どうしますか?」

「そんなものいりません。そちらで処分していただいて結構です。」

葛城は、そう言い捨てた。


「それで、冴子はどうなるんでしょうか?」

葛城は今後の処遇が気になった、もしかしたら注意するだけでお咎めなしという可能性もある。

「ご心配なく、堂島冴子はすでに逮捕しましたから。」

そういって刑事は去っていった。


逮捕と聞いて少し罪悪感はあった。
自分のせいで誰かが逮捕されるというのは気分がいいものではない。
しかしやっと冴子の視線から逃れられるという開放感のほうが勝っていた。

葛城はその日久しぶりに街に繰り出した。







その話を聞いて大崎は違和感を覚えた。
確かに冴子の行動は常軌を逸している。脅迫とも取れなくはない。
しかし、逮捕するほどのものなのだろうか?
そもそも男の話では、メールを送っていたのが冴子であるという確かな証拠は無かったはずだ。

それに、毎日嫌がらせメールをしていただけで、被害者のパソコンや携帯を持ち出したりするものなのだろうか?

大崎は逮捕されたことが事実なら、彼女はストーカー以外のもっと重要な犯罪に手を染めたのではないかだろかと考え始めていた。

大崎にはここまでの話を聞いて、一つ想像することがあった。
その想像が正しければ、彼女が彼の隠れた趣向を知ることができた理由や、葛城のパソコンが持っていかれたことにある程度説明がつく。


それは彼女はハッカーだったのではないだろうかという考えだ。






閉じる コメント(2)

顔アイコン

まさかの冴子「ハッカー」疑惑ですか?!
やっぱりこの小説、どう読んでも先が読めないです・・・
流石ですね!!
その文才、羨ましい限りです!!
しかし、問題なのは、ハッカーの可能性のある冴子は、
何故葛城の個人情報を欲したのか。
もはや愛情ゆえと言うわけでもなさそうな感じですし・・・
仕事?
でも、それというにも不自然ですし・・・
んー・・・
ますます続きが気になります。

2010/6/28(月) 午後 9:40 [ ]

>綺麗なかたちで終わっているかわかりませんが、そろそろ物語も佳境なのでもうしばらくお付き合いいただけたら幸いです!

2010/6/28(月) 午後 11:13 [ メヅ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事