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北伐
フェライの権力を掌握したアレクサンドロスは、自身もテッサリア全土の支配権を得るため、諸国に干渉を開始した。ファルサロスとラリサの二国に対して、人質を出し、貢物を差し出すよう要求した。
これまで、両国は、フェライの強大な軍事力を怖れ、フェライに君臨する独裁者の要求に唯々諾々と従ってきた。
が、フェライで血みどろの権力争いが繰り広げられている間に、時勢は大きく変化していた。テバイがスパルタに大勝利し、メッセニアを解放し、アテネを撃破し、ギリシア諸国の盟主になっていた。新しい覇者が誕生していたのだ。
両国の指導者は協議した。
「テバイに救援を求め、フェライの暴虐な支配から脱するべきだ」
「しかし、テバイはイアソンと同盟を結んでいたのだぞ」
「それはスパルタに対抗するための方便に過ぎぬ。指導者のエパミノンダスは人格高潔、盟友のペロピダスは任侠に富む人物らしい。現に、アテネが断ったアルカディアからの救援の要請を、テバイは快諾してスパルタとの決戦に臨んでいる」
「ふーむ」
「テバイも、スパルタやアテネと対抗する上で、背後のテッサリアが混乱することは望むまい。また、スパルタやアテネの介入も望むまい。その線を押していけば、テバイは必ず動く」
こうして、テバイに救援を求める使者として、ファルサロスのポリュダマスの子、同名のポリュダマスがテバイに走った。
カドメイアの丘では、直ちに評議会が開催された。
「これは絶好の機会。テッサリアを平定すれば天下統一は目前。これを逃す手はない」
ペロピダスが顔を紅潮させた。
遠征が成功すれば、ギリシア本土の大半はテバイの勢力下に入ることになる。願ってもない話に、会議の大勢が援軍派遣賛成に傾いた。
が、慎重な立場を崩さない議員もいた。その一人カロンが重々しく口を開いた。
「我らはスパルタ、アテネとの大戦を終えたばかり。市民たちは疲れておりましょう。直ちにテッサリアに遠征するなど無理があるのではないでしょうか」
彼は、本国の守備の任にあたり、出征した市民の家族の声を聴かなければならない立場にある。スパルタ攻めの折りにも、どれほど悲痛な声を聴いたか知れない。慎重になるのは自然なことであった。
「カロン殿の申されること、まことにごもっとも」
エパミノンダスは頷いた。が、続けた。
「しかし、テッサリア全土が強暴な支配者の統治するところとなれば、テバイの脅威となることは明らか。さらに、ファルサロスとラリサの両国は、独裁の暴虐の悲痛を訴えてきておる。それを無視すれば、同盟国の信義を失うであろう。ここは歯を食いしばってでも遠征軍を送るべきと思われます。それでこそギリシアの覇者」
カロンも聡明な人物。すぐに理解した。
「おっしゃるとおりでした。しかし、気になることがございます」
「何ですか?」
「アテネはもはや敵国。わが国の兵が大挙北進すれば、必ずやその留守を狙いましょう」
それを聞いて、ペロピダスが遮った。
「いや、カロン殿。心配無用だ。五千の兵力をいただければ、この私がフェライを抑えて見せましょう」
「五千!」
カロンの目が大きく開かれた。
「いかに貴殿が勇猛とはいえ、ちと大言に過ぎるのでは?フェライは一万の騎兵、数万の歩兵をもつ大国。また、アレクサンドロスは強暴な人物ながら、用兵の巧みな人物と聞き及んでおります」
ペロピダスは微笑で報いた。
「なんの。我らが火の如き勢いで向かえば、ラリサ、ファルサロスの市民がこぞって立ち上がろう。敵は支配に慣らされた野獣に過ぎませぬ。我らは支配に立ち向かう勇者。勝敗は明らかといえましょう」
情熱家のペロピダス、燃え上がるような言葉でもってカロンを説き伏せた。
こうして、テッサリア遠征が決議された。総司令官はペロピダス。従う将は、ダイファントス、スキピオ、イオライダス、イスメニアスという若い武将たちであった。
紀元前369年晩冬。テバイ軍五千が出陣した。
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第6章はどんな風に展開するか… 楽しみです!!
2008/2/2(土) 午後 8:21
いつもありがとうございます。これからも、よろしくお願いいたします。
2008/2/2(土) 午後 8:49