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シキュオンのアラトス-下(さらに続き)
コリントス解放の成功により、アラトスの名は雷鳴の如く天下に轟いた。
フィリッポス二世、アレクサンドロス大王の登場以降、ギリシア諸国はマケドニアには全く歯が立たなかったのである。それを見事に打ち破ったのだ。
「これは我らも味方に付いたほうが良い」
「そうじゃ。今こそマケドニアから独立するときだ」
独立の機運にわかに高まり、メガラ、トロイゼン、エピダウロスの諸都市がマケドニアとの同盟を絶ち、アカイア同盟に加盟してきた。
さらに、アラトスは、将来のマケドニアとの対決に備え、マケドニアと敵対するエジプト王プトレマイオス三世と同盟し、その資金援助を受け軍備を強化していった。
こうしてアカイア同盟は急速に強大化した。
「この機を逸してはならぬ」
アラトスは、アカイア同盟の軍勢を率いて、メガラ領を通過しアテネに進攻した。アテネは、マケドニアと休戦条約を結び、外港ピレウスにマケドニア軍を駐留させていた。事実上マケドニアの影響下にあったからだ。
アラトス率いる軍は、アテネ領に進撃するや、ピレウスに駐屯するマケドニア守備隊を打ち破った。そして、対岸のサラミス島に上陸し、大いに武力を見せつけた。
その後もアラトスの活躍は続き、アルゴスの独裁者アリスティッポスを攻めて討ち滅ぼし、さらに、メガロポリスの独裁者リュディアダスには説得をもって独裁権力を捨てさせてアカイア同盟に加盟させた。
「ギリシア諸国を団結させなければ、マケドニアに勝ち抜くことはできぬ」
そう考えたアラトス、外交手腕を発揮し、長年対立関係にあったアイトリア同盟と講和し、攻守同盟を締結した。
こうしてギリシア世界の二大勢力が手を結んだのであった。
紀元前235年の頃には、アラトスの威望は絶頂に達した。
「待て、アッティクス」
少年プブリウスは、執事の物語の腰を折った。
「なんでございます御曹司。これからが良いところというのに」
アッティクス、興を妨げられた吟遊詩人の如く、眉を八の字にした。
「そんな顔をするな」
「御曹司が水を差すからにございます」
「それより分からないことがあるぞ。いや、不思議というべきか」
「なんでございます」
「今の話を聞けば、アラトスは一世の巨人ではないか。なにゆえクレオメネス王と対立するのか。全く理解できぬ」
「それはこれからの話で分かります」
「いや、話はもういい」
「え」
「行こう。その舞台に。ペロポネソスへ行こう」
「されど危険が…戦乱の巷に等しき有様。御父上も許しますまい」
「なにをいう」
プブリウスは、聞かん坊の如く口を尖らせた。
「お前は、私の好奇心をこれほどまで掻き立てておいて、その実を見せないというつもりか。多くを語るより、見て聞くに如かず。行こう!そして、クレオメネス王の真実を、アラトスの真実を見聞しに参ろう!」
執事アッティクス、目を丸くして、主人の息子の言うところを聞いていたが、やがて微笑んだ。
「…そうですな。これはまたとない見聞になるやもしれませんな」
「そうとも。さすが我がスキピオ家の執事よ。物分かりがよいわ」
「御曹司、褒めても何も出ませんぞ」
「そんなもの期待していないぞ。あ、道中、今の話の続きを頼む」
「はははは」
こうして、少年プブリウスと執事アッティクスは、ペロポネソスの地に向かった。
そこは、両雄激突する、旋回する歴史の舞台であった。
序章終わり。第一章アカイアの章へ。
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シキュオンのアラトスですか〜奇麗ですね〜傑作ポチ〜
2010/3/8(月) 午前 8:32
戦乱は続きますね〜。飽きさせないところがDragonさんの凄いところ。続きを楽しみにしています。
また、新しい登場人物の解説ありがとうございます。割と日本人には馴染みが無い名前が多いですね。
2010/3/8(月) 午後 0:26
JAPANさん、ありがとうございます
ご無沙汰してすいません。
今なかなかお伺いできませんで申しわけないです
2010/3/9(火) 午前 7:39
ROMAさん、いつもありがとうございます。
ギリシア世界最後の燃焼というべきものが、
このアラトスとクレオメネスの時代です。
あまり知られていないかもしれませんが、
魅力的な二人です。
どうぞご期待ください。
2010/3/9(火) 午前 7:41
マケドニアからの解放で、見事に名をあげて、それからあれよあれよという間に同盟国が増えて、増えれば強大になるからアラトスには、ますます同盟相手が増えるといった感じですね。
とうとうスキピオ君は混乱している場所に足を踏み入れるんですね。
今、話になっているアラトスと善政を蘇らせたクレオメネスがまだ
存在しているので興味を持って当然ですね。
今度は二人の人物の諍いのストーリーになってくんですね。
特に内部の腐敗を治め、安定したと思えたクレオメネス王には
まだ困難が続くんですね。楽しみです。
2010/3/11(木) 午前 11:40
そうです。しばらくは、このアラトスとクレオメネスという
ギリシア世界を代表する二人により話がすすめられます。
そして、それに二人の大国の君主が割って入ってきます。
2010/3/12(金) 午前 7:46