新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 仇敵と結ぶ 
 アラトスは悩んでいた。
 いや、それでは言い足りない。悶えに悶えていた。
(ギリシア第一の人物と謳われ二十余年。我が苦心の成果を、全て、あの小僧に奪われることになるのか…)
 こうした思いに駆られることは、功遂げた人物ならば、恐らく一度はあるであろう。
 が、そこを堪え、はじめて志が若い人々に継承されていくのだろう。そうしたことに耐え得る人こそ、真の英雄として生を終えることができるのだ。
 もっとも、アラトスも決して小人ではない。また、生来のスパルタ嫌いということでもない。現に、かつてアギス四世を厚く遇したことがある彼なのだ。
 が、彼は、なにゆえかクレオメネスとは相容れなかった。
 そのため、後世の人々は様々に彼を評する。
「アギスの折は、あくまでもアラトスが主でありアギスが従であった、そのことが天下の人々に明らかだったからだ」
「アラトスも人の子。第一人者の座に慣れ過ぎたのよ。第一の人物として敬われることでてしか、もう自身を律することができなくなっているのだ」
 しかし、その心中の機微は、単純なものではなかったろう。同時代を生きた人々にも窺い知れないものがあったに違いない。


(クレオメネスとの確執は堪えよう。ストラテゴスの地位から追われるとしても、まだ耐え忍ぼう。…としても、はたしてクレオメネスで天下が治まるか…)
 アラトスは熟考し続けた。
(いや…治まらぬ。覇権を握った途端、内紛渦巻き崩壊するに相違ない)
 アラトスには何が見えていたのか。
 とにもかくにも、アラトスには、クレオメネスと力を合わせて、という道は眼中にはなかった。
(こうなれば、彼の者の力を借りるほかない)
 アラトスは、尋常ならざる決断を下した。
 彼は、煌々灯る火の下で、紙に向かって筆を走らせ始めた。


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少し落ち目になった時こそ、その人物の真価が見える時のような気が
します。第一人者の座でなくなる事が嫌なのは人間として
当然の心情だけど、クレオメネスの事を受け入れにくいのは
嫉妬とかそれだけじゃなく、和解すれば今まで対立していた事が
間違いになり、何年間かの自分を否定される気もするんだろうな
とも思えます。それに、人間関係は最初の印象が足を引っ張って
違うと気付いても訂正しにくいのかもしれないと感じます。

2010/3/17(水) 午前 3:45 sak*ras*ku*00*nen4*atu

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様々な葛藤を経て、
アラトスは決断しました。

彼は、これがギリシア世界秩序を定めるため
もっとも有用であると判断したわけですが、
それがどういう顛末を辿るか。
なかなか興味深い展開を見せていきます。

2010/3/17(水) 午前 6:22 Dragon


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Dragon
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