新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

第2章カルタゴの章

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 ※関係地図は2月7日掲載分を御覧ください


 傭兵の乱13−大決戦(続き)
 ひとときの静寂があたりを包んだ。草の囁く音だけが耳に聴こえてくる。
 マトスはすっと抜刀した。
「進めっ!」
 ほぼ同時に、ハミルカルも叫んだ。
「前進だ!」
 ここに、大陸の命運を賭けた決戦の火蓋が切って落とされた。
 両軍喚声を上げて進んだ。
 まず、突進したのがカルタゴの象軍だ。中央前面に配された象の大群は、象使いの叱咤に、狂ったように鼻を振り回しながら敵兵の群れに迫った。
「む。おかしいぞ」
 象の背に乗る象使いたちは訝しんだ。
 いつもなら、重戦車のように迫る象に怯え、逃げ惑う筈の敵が、整然と隊列を保っていたからだ。
すると、象がある距離まで接近したとき。前面にいた傭兵軍の一隊は、くるりと背を向けた。そして、退却を始めた。いや、一散に逃げ始めた。
 象は彼らをどこまでも追いかけた。が、敵はどこまでも逃げていく。
 何分小回りが利かないから、急停止はできない。従って、敵の後方、遥か遠くまで駆けていくことになり、象軍は戦線から離脱した格好となった。


 マトスはニヤッとした。
(象にまともにぶつかって勝てるわけない。逃げてやり過ごすのが最上なのよ)
 この三年の大戦の間、彼も様々な戦訓を得てきた。一介の傭兵に過ぎなかった彼も、将として大きく成長していた。ために、象軍の前に身軽な軽装歩兵を配し、象が迫ればどこまでも逃げて行けと命じておいたのだ。
 そして、策はこれだけではなかった。彼は、その軽装歩兵の両翼に、全ガリア騎兵一万のうち半数の五千騎を配していた。その騎兵隊が、軽装歩兵のいなくなった隙間に、横に広く隊列をとった。
(作戦の要はここよ)
 マトスの目は前方を睨みつけた。象軍のいないカルタゴ軍中央は、象軍がいなくなったため、明らかに奥行きが薄くなっていた。


 マトスは、剣先をまっすぐ、その前方に向けた。
「今だ!騎兵隊は敵中央に突進せよ!」
 ガリア騎兵は、猛然とカルタゴ軍中央目指し突き進んだ。
 そう。これこそ作戦の秘中の秘。敵の最大の強みである象軍の背後にこそ弱点があると読み、そこを自身の最大の強みであるガリア騎兵に襲わせる。
 案の定、前面にカルタゴ軽装歩兵が慌てて現れて展開し、槍を投げ突撃を阻止しようとしてきた。
 が、ガリア騎兵はそれをものともせず突進すると、彼らを馬蹄で弾き飛ばした。
「わあ!」「ひいっ!」
 カルタゴ兵の悲鳴があちこちで上がった。
 一対一の接近戦となれば、歩兵は騎兵の敵では絶対あり得ない。
 カルタゴ軽装歩兵は、あっという間に打ち破られ、算を乱して潰走した。
「わははは。ざまを見ろ」
 ガリア兵は勝ち誇った。
 彼らガリア兵の特長は、優勢となると、何倍もの勇を発揮する所にある。
「このまま中央を突破し、敵を混乱せしめ、背後よりハミルカルの本陣を衝くのだ!」
 ガリア騎兵は、わあっと叫び、再び飛ぶように駆けていく。

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象に対して歩兵の足で逃げていく作戦を
とるという事は、象は、小回りがきかないだけじゃなく
あまり足が速くない動物なのですね。
逃げるのに、馬じゃなく人間の足で間に合うという事は・・・。

2011/9/26(月) 午前 9:37 sak*ras*ku*00*nen4*atu

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空間さえあれば、
どこまでも逃げていくことが出来たと思います。
象の活用は、だから、
案外限られていたということができます。

2011/9/27(火) 午後 7:21 Dragon


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Dragon
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