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オリッセス族全滅
カルタゴ軍は、ハミルカルの遺体を守って新カルタゴに帰還した。
そして、バルカ家の新たな当主となった娘婿のハシュドゥルバルにより、盛大な葬儀が執り行われた。
葬儀には全市民が参列した。カルタゴ人。イベリア人。リュビア人。新カルタゴの全市民が、英雄の死に、喪に服した。
喪が明けると、ハシュドゥルバルは直ちに行動を起こした。
大軍を率いて北東に進んだのだ。勿論、ハミルカルの仇を討つためだ。
火の如き勢いでオリッセス族の領土に進攻すると、遭遇したオリッセス族の軍を木っ端微塵に撃破した。
それから幾度か交戦したが、いずれもハシュドゥルバル軍の圧勝に終わった。
義父ハミルカルの下で鍛え抜かれた彼。正面から向かってくる敵には、絶対の自信を持っていた。
度重なる敗北に、オリッセス族は戦意を喪失し、ついに白旗を掲げた。部族の代表をカルタゴ軍の本陣に送り、降伏を願い出たのだ。
「閣下。敵から軍使が参り、降伏を申し出ておりまするが…」
「今、何か言ったか」
ハシュドゥルバルは訊き返した。
「は。オリッセス族が降伏を願い出て…」
言いかけた副官は、語尾を呑み込んだ。
振り向いたハシュドゥルバルが、凄まじい怒気を見せていたからだ。
「そうか…降伏を願っているか」
彼は笑った。
副官はぞっとした。ハシュドゥルバルは、配下に笑みを見せることは滅多にない。それを見せるときは、敵に容赦ない鉄槌を下すときだったからだ。
「ならば、オリッセス族を武装解除の上、一ヵ所に集めよ。そして…」
下された命令に副官は青ざめたが、否やは許されない。
「か、かしこまりました。そのように…」
数日後、オリッセス族の人々は、カルタゴ兵に武器を取り上げられ、とある集落に押し込められた。
激戦を経てきたため、男の多くは傷つき、女たちも疲れ果てていた。
「我らをどうする気かのう」
「分からぬ。もはや神に祈るしか手はない」
人々は互いに不安そうな眼差しを交わした。
が、その不安は的中した。
集落の四方から火の手が上がり始めたのだ。
「わあ!焼け死ぬぞ!」
「逃げろ!」
人々は村の唯一の出口に殺到した。
が、そこにはカルタゴ兵がずらりと並んでいた。
「ああっ」「カルタゴ兵だ!」
その軍団の真ん中、馬上に、総大将ハシュドルバルが冷然と人々を睨んでいた。
彼は抜刀した。
「撃て!」
途端、一斉に矢が放たれた。
「わあっ」「ぎゃっ」
オリッセス族の人々はばたばた倒れた。
なのに、人々は火勢に追われ、後から後から押し寄せる。
カルタゴ兵は、哀れな人々に無慈悲に矢を浴びせ続けた。
「ぎゃあ!」「助けてくれ!」
もう武器は奪われている。だから抵抗の術はない。ただ折り重なって倒れるだけだ。
女たちは子を抱いて命乞いした。
「お願いです!この子たちだけでも!」
「後生です!」
母親たちは血を吐くように叫んだ。
ハシュドゥルバルは耳を貸さない。彼は、オリッセス族と名のついた人々を抹殺すると決めていた。だから、全て殺した。男はもちろん、女も子供も一人残らず殺した。
こうして、ハシュドゥルバルは、義父ハミルカルの復讐を果たした。
これが伝わると、イベリア全土は恐怖したという。
オリッセス族は絶滅した。
いや、一人、残っていた。
家族や仲間の体を楯に矢の雨をよけ、火炎から逃れ、懸命に崖をよじ登る小さな姿があった。少年のようであったが、少女かもしれない。
「はあ、はあ」
ようやくのことで、山の頂に辿り着いた。
そこで、その子は振り返った。
「ああ…」
オリッセス族の押し込められた村からは、黒々とした煙がもうもう立ちあがっていた。
もう一人も生き残ってはいまい。
「ゆ、許さない。絶対に許さない…」
ぎりりと歯を食いしばった。そして、嗚咽を漏らし、いずこかへ姿を消した。
復讐は、新たな復讐の種を蒔くこととなった。
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復讐戦だから、通常よりも
容赦ないですね・・・。
一つの民族を絶滅させた感じですね。
一人、たすかった子により波乱の予感ですね。
2012/1/13(金) 午前 9:10
復讐戦は苛烈なものであったと記録されております
ハミルカルの仇ということですから、
当然容赦ないものであったことでしょう。
2012/1/16(月) 午前 8:06