新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 ※地図は5月10日掲載分を参照ください

一騎打ち 
「そうか。ローマ軍がこちらに向かってくるか」
「はい。執政官マルケルスが六百の兵を率いて」
「我らも甘く見られたものよ」
 ブリトマトゥス王は凄まじい光を目に宿した。
 とはいえ、絶好の戦機であることに違いない。敵将の一人が僅かな兵を率いて、のこのこ現れたのだから。
「一気にもみ潰してやれ。ならば、アケラエの包囲も自然と解かれるであろう」
 ガエサティ族の軍勢一万は勇躍して東に進んだ。


 ガエサティ族一万、ローマ軍六百。クラスティディウム東方で両軍は対峙した。
 マルケルスは命じた。
「両翼大きく広がれ」
 固まって布陣すれば兵力の劣勢が目立ち過ぎる。だから、そう命じたのだが、横一列真一文字の隊形は、ローマ軍の薄さを際立たせた。
 ガエサティ族の咆哮の如き喚声が沸き上がり、また、角笛が吹きならされ、彼らが楯を剣でガンガン叩き始めると、ローマ兵の緊張は最高潮に達した。
 いや、人間だけではない。
 マルケルスの騎乗した馬は眼前の光景に恐れおののき、主人の手綱に逆らい、くるりと馬首を巡らせ後方に逃げだそうとした。動物の本能というものであろう。
「どうどう」
 マルケルスは、慌てて手綱を強くひいた。
(ちっ、我が馬が怯えたとなれば、兵の士気に影響してしまう)
 そう考えた彼は、とっさに手綱を操り、馬を輪乗りさせるように、ぐるりと回った。
 そして、彼は太陽に向かって拝礼した。神々に祈願する際、このように輪乗りしてから拝するのが習慣であったから、彼の意思で馬が馬首を巡らせたものと兵に思わせたのだ。
 事実、一瞬、「あっ」という表情になった周囲の兵も、納得した表情に変わった。
 そう。将たる者は、こんなことにも気を配らねばならない。
(時を与えてはならぬ)
 マルケルスは考えた。大軍を前に躊躇すれば、不安が恐怖になり委縮するばかり。包囲されて撃滅されるだけだ。
「全軍突撃だ!」
 マルケルスを先頭にローマ騎兵は突撃した。


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上のローマ兵の数などは、記録に残っている訳ですが、
マルケルスはよほど自分の武勇に自信を持っていたのでしょう。

ですが、部下と馬はそうはいかないですよね。

2012/8/14(火) 午前 7:28 Dragon


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Dragon
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