新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

第4章ローマの章

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 ピュロスとの対決1−帝国創建の野望(続き)
 紀元前281年。ここ、タラス(現ターラント)。
「ローマの増長をなんとかせねばならぬ」
 ここは、イタリアのギリシア人都市国家の中で、最大の富を誇る経済大国だ。
 スパルタ人の入植により建設された国であるが、母市スパルタの国制とは、およそ似つかぬ贅沢にまみれた快楽国家であった。
 入植者の出自には諸説あるが、有力な説はこうである。
 スパルタの男たちが、隣国メッセニアとの戦争で長期にわたり国を空けた時、子孫の絶えることを恐れた政府が、市民女性に勧めて奴隷男性との間に子を生ませた。子どもたちはパルテニアイ(処女の子)と呼ばれ、特別に市民資格を与えられた。
 が、戦後、帰還した市民男性の子が生まれると、パルテニアイは奴隷の子と蔑まれるようになった。当然、パルテニアイ達の不満は高じていく。スパルタ政府は、内乱を避けるため、彼らを植民者としてイタリアへ送り出した、というのである。
 実際は、スパルタの厳しい国制を嫌って移民した者も多かったのではないか。
 とにかく、この頃のタラスは、スパルタを思わせる名残は、神々を祀る儀式だけで、それ以外は富を蕩尽する悦楽の社会に変じていた。
 快楽に溺れた市民が、新興著しいローマの英気凛々たる強兵と対峙するなど思いもよらない。ただ、金ならいくらでもある。ということで、彼らは一人の名将を招いた。
 エピロス王ピュロスである。


 エピロスとは、現在のギリシア北西部一帯の地域にあたる。
 ギリシア世界の一部であるが、ギリシア人からは僻地とみなされていた。とはいえ、ここには古くからゼウスの神託所がドドナの聖域に置かれ、ために参詣者が絶えず、ギリシア人にとって大切な土地柄であった。
 ピュロスは、このエピロスの王であった。
 彼が青年期の頃、ギリシア世界は大乱の渦中にあった。
 時は、アレクサンドロス大王の死後。大王の部下たちが、覇権の継承を賭け、入り乱れて相争ったディアドコイ(後継者)戦争の末期であった。
 ピュロスが頭角を現し始めたのは、まさしくこの時であった。


 紀元前301年、小アジアのど真ん中で一大決戦が勃発した。
 イプソスの戦いである。
 アレクサンドロス帝国の総司令官アンティゴノス(一世)は、自ら王号を称し、帝国再統一の野望を抱いた。他方、それはならじと、シリア王セレウコス、エジプト王プトレマイオス、トラキア王リュシマコスらが連合した。その両者の最終対決である。
 ピュロス、このとき十八歳に過ぎなかったが、アンティゴノスに味方して獅子奮迅の大活躍を見せた。ただ、戦いはアンティゴノスの戦死により敗北に終わった。


 その後、彼は、アンティゴノス派の残党として、エジプトに人質として送られた。が、これが彼に幸いした。エジプト王プトレマイオス一世にその器量を認められ、王の後押しにより、エピロス王に返り咲くことができたからであった。
 王権を確立したピュロスは、東のマケドニアに侵攻し、アンティゴノスの子デメトリオス一世を追放し、自らマケドニア王を名乗った。流亡の将だったピュロスは、一躍大国の主となったのだ。
 が、アレクサンドロス大王の故地マケドニアを巡る争いは激しく、テッサリアに逃れたデメトリオスの反撃、トラキア王リュシマコスの裏切りなどにより、ひとたび得た王位は失われ、また転がり込むといっためまぐるしさであった。
 タラスから援軍要請があったのは、ピュロスが、マケドニア王位を失ってエピロスに戻って来た時である。
 それは紀元前281年の秋。
 ピュロス、この時三十八歳。まさしく脂の乗り切った頃である。


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