新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 アルプス越え−襲撃
 翌朝。敵の拠点を制圧したハンニバルは、登山口の味方に登攀を始めるよう命じた。
 狭隘な渓谷を抜け登っていくと、やがて、断崖絶壁の細道が現れた。
 カルタゴ兵は、断崖に頼りなく貼り付く山道を喘ぎ喘ぎ登っていく。
「踏みしめて登れ!」
 さぞかし足が竦んだことであろう。踏み外せば奈落の底へ真っ逆さま。助かる見込みは万に一つもないのだ。
 身軽な軽装歩兵はまだいい。しかし、重装備の騎兵や重装歩兵にとって、この山道は苦痛そのものであった。槍を抱え重い装備に喘ぎ、しかも現代と違い登山用の装備はないに等しい。ブランクス王が登山用にと贈ってくれた革製のサンダルだけが頼りであった。
 騎兵は怯える馬を宥め手綱をなんとか引いていく。人馬一体が自慢のヌミディア騎兵ですら、馬の機嫌を取るのに苦心している。
 兵糧物資の運搬にも細心の注意が払われた。
「荷駄は、前後四方を固め、押して上がれ!」
「馬の脚元に注意し、手綱をしっかり引け!」
 揺れる台車を四人がかりで必死におさえ、前へ前へと押し上げる。



 その輜重部隊がその難所に差し掛かった時のこと。
 突如、喚声が沸き起こった。
「なんだ?」「どうした!」
 見上げると、崖の上に山岳部族の兵が多数現れた。
 次の瞬間、剣を閃かせ襲いかかって来た。
「わっ!敵だ!」
「こんな所に!」
 そう。山岳部族の兵は、ハンニバルに拠点を制圧されたため、獣道に等しき所を伝って崖上に広がる草むらに張り付くように潜み、頃合いを見計り飛び掛かって来たのだ。
 貧苦に喘ぐ彼らの、略奪の執念であろう。
「崖から突き落とせ!」
「荷駄を全て奪えっ!」
 まるで山猿のように駆け回り、右往左往するカルタゴ兵の頭上から斬り込んだ。
 足場が悪い所に不意を襲われたのである。これはたまらない。
「うあぁ!」「ぎゃあ!」
 哀れ、カルタゴ兵は、断末魔の悲鳴を残し、牛馬もろとも崖の底へ消えていく。



「なにっ!敵が襲って来たと!」
 ハンニバルは一驚した。
 敵の陣営を制圧し、てっきり、登山口における安全は確保されたものと思っていた。
「直ちに救援に向かう」
 馬首を反転させた。
「お待ちを!」
 先導役のマガルスが慌てて止めた。
「あそこは足場が悪く、救援に向かっても戦うことは難しゅうございます。閣下が向かえば、彼奴らの格好の標的となりましょう」
「何を申す」
 ハンニバルは取り合わなかった。
「荷駄を奪われて先に進むことなどできぬ。また、ここで味方を見捨てる男を将兵は信ずるであろうか。マガルス、そなたはここにいよ。マニアケス、ついてこい!」
「はい!」
 ハンニバルは馬に鞭打ち後方へ飛ばした。美貌の密偵マニアケス、直属の精鋭五百の兵が続いた。


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壮絶な登山だったのでしょうね。

2012/6/28(木) 午前 8:53 rom*n*ho*iday4*7

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想像を絶する苦難の連続、
試練に次ぐ試練となります。

2012/6/29(金) 午前 7:33 Dragon


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Dragon
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