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ティキヌスの戦い(さらにさらに続き)
「どこまで受けられるかな。楽しみだ」
マニアケス、氷の微笑を浮かべ、草を踏みしめ近づいてくる。
それは、無数の生死の境を越えて来た、暗殺者の言葉だった。
「うぬ」
ラエリウス、剣を握る手に力を込めた。
が、その時である。
カルタゴ軍の方からラッパの音が響いた。
マニアケスを心配したマゴーネが送ったものだ。
「お…」
マニアケス、苦笑を浮かべた。
「ラエリウスよ。あれは退却の合図だ。勝負はお預けだな」
そういうと、あっさり剣を鞘におさめた。
「逃げるな!勝負しろ!」
「ふふ、負けず嫌いだな」
マニアケス、ようやく女性らしい、透明な笑い声を立てた。
「これから幾らでもその機会はあろう。それまで命を大切にしろ」
剣闘技の試合後に好敵手にかけるような言葉を口にした。
「な…お前」
ラエリウス、とっさに何か言い返そうとしたが、もうその時には、マニアケス、馬を駆って風の如く消えてしまっていた。
ラエリウス、がくと膝をついた。
「恐ろしい敵だった…」
そう。あのまま戦い続ければどうなったか。
(十中八九…俺の負け)
ラエリウスは立ち上がった。
(あのような者がハンニバルの側にいる。気を引き締めねば大変なことになろう)
彼は、主を失った馬を捕まえると、再び馬上の人に戻った。
きっと彼方を睨むと、
「それっ!」と馬を飛ばしていった。
あれこれ思い悩む暇はない。彼の敵は、まだまだあったからだ。
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