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大平原の戦い−我が教師
ローマ軍本陣にあるスキピオは、馬上、静かに戦況を見詰めていた。
「ミルトよ」
「はい」
「どちらが優勢と見る」
「は」
彼女は、その良く利く目を凝らした。
「我が軍の優勢と見ます」
「ほう…中央は押されておるようだが」
そう。ケルト・イベリア兵は、ここで勝たねば生き残れぬという、まさに必死の戦場で、遺憾なく武勇を発揮し、そのため野戦を得意とするローマ兵を押しまくっていた。トリアリィ兵の隊列が中央の戦線を辛うじて支えている情況だ。
通常ならば、ここ本陣は狼狽してもいい筈であったが…。
「ですが、両翼で優位に戦っておるようですので」
ミルトは小柄な体を伸ばし、遠目を利かせた。
その言葉にスキピオは微笑み、こくと頷いた。
「ほう、そうか。ならば、そなたの言う通りだの」
若き総司令官は、再び、静かに戦況を見詰める態勢に戻った。
その後、ミルトの言う通り、スキピオの勇気を必要としなかった。
両翼で激突した両軍騎兵であったが、こちらでは案に相違し、ローマ軍の側が押しまくっていた。まず、マッシュリ騎兵隊は、元来の馬技に加え、カルタゴに対する報復の気概凄まじく、ぶつかった途端カルタゴ騎兵を圧倒していた。
「ええい、引くな!戦え!祖国を支えよ!」
ジスコーネの絶叫が響いたが、どうにもならなかった。
カルタゴ騎兵はたちまち敗走に転じていた。
同じ頃、テュカイオス率いるマサエシュリ騎兵も、ラエリウス率いるローマ騎兵に打ち破られていた。テュカイオスがラエリウスに追いかけ回される有様で、こちらもどっと崩れ立ち、敗走に転じていた。
そして、マシニッサとラエリウス率いる騎兵隊は、敵の騎兵を撃破すると、ケルト・イベリア兵の隊列の後方を衝いた。そう。ケルト・イベリア兵の部隊は、前方のローマ歩兵、後方の騎兵より挟撃される格好となった。
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