新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 クレオンブロトス王率いるスパルタ軍の進路です。

 <これまでのあらすじ>
 10.2掲載の「エパミノンダスの檄−カドメイアの章7」の冒頭をご覧ください。

 進攻スパルタ軍
 テバイ市民の蜂起、それに続くスパルタ軍撤退の報に、スパルタ王アゲシラオス二世は激怒した。
「おのれ!こしゃくなテバイの鼠賊どもめ!直ちに出陣するぞ!」
 が、側近に止められた。彼には足に血管障害の持病があり、ちょうどその頃、それが悪化して歩行すら困難なほどであった。そこで、もう一人の若き王、クレオンブロトスを総大将とする軍が編成された。
 スパルタは二人の王を戴く特殊な王政。が、軍略に秀で人望も厚いアゲシラオスが軍を率いるのが常であった。
「クレオンブロトス殿、頼みますぞ」
 出陣の際に、アゲシラオスが都の外まで出てきて見送った。クレオンブロトスは王位についたばかりの青年王。アゲシラオスはいわば親代わりのように接していた。
「ご心配なさいますな。必ずやテバイの鼠賊を討ち滅ぼし、ラケダイモンの威光を取戻してご覧に入れます」
 青年の王は爽やかに笑った。初めて軍の総指揮官に任じられ、発奮勇躍していた。
 
 スパルタ軍は、ペロポネソスの山間を歩武を鳴らして進み、途中同盟諸国の軍勢を併せ、ボイオティア地方の隣メガラにまで進んだ。総勢一万余の大軍。
 そこで王はテバイの情勢を聞いた。テバイの街は完全にエパミノンダス、ペロピダスらにより制圧されたこと、アテネの援軍が着陣していることを知った。
「よし、すぐに進軍だ」
「お待ちください」
 随行してきた監督官のアンタルキダスが止めた。
「なんだ、アンタルキダス」
「敵はテバイを制圧して意気軒昂。さらに、アテネの援軍まで来ているとのこと。直ちに打ち破るのは難しいと思われます。もうしばらくここで様子を見た方がよろしいかと…」
 一理あったが、初めての采配で功に逸る王にとって、その言葉は大いに癇に触った。
「黙れっ!」
 クレオンブロトスは一喝した。
「わが国はギリシアの覇者。アテネとテバイは、それに真っ向挑戦してきているのだぞ。これを粉砕しなくて何の覇者ぞ。全軍に進撃の命令を伝えよ!」
 アンタルキダスは沈黙した。
 平時において、監督官は王に匹敵する権能を認められていたが、戦時には王に絶対の命令権限が与えられている。服するより他ない。
 
 スパルタ軍は直ちに進撃を開始した。が、アンタルキダスの予想通り、敵は十分に備えていた。
 メガラからテバイに進むには、ボイオティア地方とメガラ地方の境に聳えるキタイロン山麓の南から東に迂回して、平坦な道を進むのが容易である。が、そこに既にアテネの軍勢が陣を敷いて待ち構えていたのだ。
「これしきの敵、蹴散らして進もうぞ」
「お待ちを」
 またしてもアンタルキダスが止めた。
「ここでアテネとの正面衝突は好ましくありませぬ」
「なにゆえか?」
「はい。カブリアス率いるアテネ軍は、どうやら半ば独断で来援した模様です」
 その通りであった。カブリアスは、エパミノンダスとティモテオスの説得により、一挙に大功を立てようとして、軍勢を率いてきたものであった。アテネ民会の正式な決議は経ていなかった。
「ほう」
「ということは、工作次第でアテネの軍勢を退けることが可能です。アテネの民会には我らを支持する者も大勢おります。しかし、ここで一戦を交えれば一気に全面対決に発展してしまいます」
 クレオンブロトス、少し不機嫌になった。竹を割ったような気性から、細かい政略を練ることが苦手なのであろう。
「ならば、どうすればよいのだ」
「は。少し難路となりますが、キタイロン山を越えて、プラタイア、テスピアイの道をとるべきかと。ここにアテネ軍がいるということは、テバイにはそれほどの兵力はないものと思われます」
「よし!ならば直ちにその道を取れ!」
 スパルタ軍は、進路を北に変え、キタイロン山を越える進路をとった。が、そこにも敵がいた。山頂に150人ほどのテバイ人守備隊が布陣していたのだ。
 クレオンブロトスは冷笑した。
「ふん。この程度の兵力で我らを防ごうとはこざかしい。一気に蹴散らせ!」
 スパルタ兵は喚きかかった。激しい戦闘となったが、さすが、スパルタの精強な部隊。たちまち守備隊を打ち破り、テバイの軍勢はほうほうの体で逃げ散った。
 スパルタ軍は、何事もなかったように進軍を続け、キタイロン山の北の麓へ降りた。
 山を下ると、スパルタの大軍は、同盟国プラタイアに入り、ここで補給を済ませると、さらに進軍を続け、とうとうテバイの西方の隣国テスピアイに入った。

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なるほど...
アテネ軍は私設部隊だったんですね。
これは...
ちょい厳しい??

2008/8/19(火) 午後 0:01 らんらん

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 これは史実通りでして。
 ただ、カブリアスが自前の傭兵部隊だけを率いていたかどうかは、判然としません。自前の部隊だけの方が、迅速に行動できたと思いますが。

 そして、カブリアスの傭兵部隊は精強でして。これから彼の活躍を目にすると思います。

2008/8/20(水) 午前 6:27 Dragon


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