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−これまでのあらすじ−
東方でセレウコス朝のアンティオコス大王がアジアを制覇し、さらにギリシア世界に勢力を着々と拡大している時、ローマもマケドニアに勝利。こちらもギリシア世界に大きく飛躍しようとしていた。
そして、紀元前194年、スキピオ・アフリカヌスが再び執政官に当選就任した。
セレウコス朝とローマとの外交交渉が続く中、194年は平穏のうちに推移した。
義弟と(続き)
「アンティオコス大王はどう動くのでしょう」
パウルスが訊いた。
これが昨今のローマ市民の第一の関心。というより、市民の中には怯えている向きもあった。ハンニバルの恐怖の再来となるのではないか、と。
「それは、恐らく、ここの皆々が予想している通りであろうよ」
スキピオがちらと見回して、小さく笑った。
それは、大王が大挙ギリシアに侵攻し、ローマの勢力を根こそぎギリシア世界から追い出し、それが巧くいけばさらにイタリアにまで侵略の手を伸ばして来る、というもの。
「不思議な話ですな」
パウルスは言った。
「何が?」
「だって、大王は、充分な領土と充分な栄誉を得ている訳でしょう。なのに、なぜ我がローマと戦う危険を冒す必要があるのでしょう」
アジア全土の支配者として君臨し、アレクサンドロスと同じ格式、大王(メガス)の称号を自他ともに許されているのだ。充たされていると思うのが普通だ。
「我がローマが大敵であること、そして、眼前にギリシア世界があること、それだけであろう」
アンティオコスの行動は現代人にはピンと来ぬも知れぬ。例えるならば、戦国の武将が天下に号令するため京の都を目指すようなもの、あるいは中国の武将が皇帝たらんと中原に兵を進めるようなもの、中世欧州の君侯が帝位を求め教皇のいる聖都ローマに兵を進めるようなもの、というところか。
とにかく、この時、アンティオコス大王としては、ギリシア世界に覇権を唱えることに最終的な目標を置いていた。
大敵ローマを打倒しギリシア世界を制圧し、世界の覇者たらんとしたのだ。
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