新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 来る海上決戦へ
 エウダモス率いるロードス艦隊は、決して深追いしなかった。
「ハンニバル、恐るべし」
 提督エウダモス、勝利を収めたものの、それは薄氷のものと自覚していた。
(あと一歩味方の到着が遅れれば、私は捕虜となるしかなかったであろう)
 海戦の経験のないハンニバルが、こうも見事に采配すると分かれば、今後用心しなければ足をすくわれる可能性大であった。




「これからどうする」
 今回の戦勝の立役者の一人パンピリダスが訊いた。
「貴公はケリドニアイ群島でハンニバル艦隊の西進を阻止してもらいたい」
 つまり、元々の防御線を維持する作戦に立ち返る訳だ。
 というよりも、ハンニバル艦隊を戦局から除外してしまう、そこに核心があった。




「君はどうするのか」
「サモス島へ向かう」
「サモスへ?」
 サモス島は、イオニア地方に浮かぶ島で、エフェソスからもほど近い。エーゲ海の航路の要衝でもある。制海権の観点から絶対に譲れぬ地点であった。現に、この大戦でも争奪が繰り返されている。




「レギルス殿、エウメネス王の艦隊がサモスに向かっているという。私もそこに向かう」
「ポリュクセニダスと決戦するか」
 大王軍の海の主力はポリュクセニダス率いる大艦隊。皮肉にも、彼もロードス人であったが。つまり、ロードス人がロードス国家の存続を脅かしていた訳だ。
 だから、彼と相対する時、ロードス人には言いようのない感情に衝かれる。




「ポリュクセニダスを討つ」
 エウダモスは全ての感情をその語気に込めた。
 総力を挙げポリュクセニダス艦隊と戦いこれに勝利する、それは、この大戦の帰趨を決するものとなろう。


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