新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 ローマ講和会議−エウダモスの演説
 続いて元老院に招き入れられたのは、ペルガモンと対立するロードス代表エウダモス。
 彼は論旨を明快に述べ始めた。
「今回、わたくしにとって最も不運なことは、公私共に最も親しい王と、反目する立場に立たざるを得ないことです」
 率直に、ロードスの国益がペルガモン王国のそれと反することを認めた。
「つまり、アジアに住むギリシア人が自由独立を獲得することは、我が国にとって、これ以上ない名誉であり、それはローマにとっても何にも優る偉業であります」
 エウダモスは、ロードスとローマが、国家の理念を共有することを強調した。




「が、それは、エウメネスとその王家にとっては不利益以外の何ものでもありませぬ。なぜならば、王制は平等を憎み全ての者を服せしめる国制。全ての王にとって、自由と独立は、まさに憎悪すべき敵に他なりませぬ」
 王制の問題点をあげつらい、ローマが王制を打倒して今日あることを想起させた。やんわりと自説の妥当性を感じさせる戦略だ。
「最終的には、我々が目標を達成するものと思っています。それは、我々の主張が、正義に適い、あらゆる人の利益にも合致しているからにございます」
 ここまで述べると、彼は言葉を切り、議場を見回した。ラテン語の通訳を待たねばならぬこともある。
 何よりも、自分の言説の反応を確認し、注意深く進まねばならない。
(ローマ元老院は、明らかにエウメネスに肩入れしておる。彼をあまりに悪し様に非難する格好となっては、我が国にとっても良くない)
 自分が二番目に招き入れられた意味も、当然分かっていたろう。今、ローマが最も恃みとするのはペルガモンだということを。




「このように利害相反するロードスとペルガモンですが、両者の利益を両立する方途はございます」
 エウダモスは微笑を浮かべた。
「なぜならば、我々の食卓の上には、贅を尽くした宴の如く、充分過ぎるほどの御馳走が用意されているからにございます」
 獲得した領土を彼は料理に例え、分け前はふんだんにあるとした。




「ヘレスポントスやケルソネソス、さらにはトラキア。これらの一つだけでもエウメネスの王国に付け足せば、エウメネスの領土は何倍にもなります。親友に対する報酬としても充分なものでございましょう」
 即ち、自由独立を願うギリシア人諸都市をエウメネスに与えなくとも、充分に彼に報いることは出来る、そう説いているのだ。
 換言すれば、自由独立を願うギリシア人諸都市は全て解放し、独立を認めてやるべきであるとの主張に他ならなかった。それは、その諸都市の盟主に自ら立つという意思を内包している。


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