新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

全体表示

[ リスト ]


[https://novel.blogmura.com/novel_historical/ranking.html にほんブログ村 歴史・時代小説]

ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)


 フィリッポスその後−暴政の嵐(続き)
「まだ静まらんのか」
 フィリッポスは苛々と重臣たちに訊ねた。
「は。移住先のエマティアでも大変な騒ぎになり、近頃は都も騒がしく」
 国民の強制移住は、王国の基盤を強化するどころか、王国の存立すら危うくし出していた。全くの愚策であった。



(このままでは余の身も危うい)
 フィリッポスは自身に迫る危険を察知した。迂闊に都の市中を行幸することも憚れる有様。彼を恨みに持つ者が、いつ凶刃を振りかざして来てもおかしくなかった。
 こういう危機感は本能に属する。次第に、王は安眠すら脅かされ始めていた。
(寝所も危険だ。侍女や召使いとして入り込んでいるやも知れぬ…)
 王は、民衆の呪いの通り、苦悶し出した。まさに自業自得。




(思えば、余に恨みを持つ者は無数にいる…)
 そのことを思い浮かべ、脂汗を額に浮かべた。
 アラトス親子や、先王の重臣たちに、かつての学友たち。この王は、己の専制権力の邪魔になる者は全て抹殺して来た。当然、王に恨みを抱く遺族はその数倍に及ぶ訳だ。




「こうなれば…」
 王の目は血走っていた。
 重臣たちは胸騒ぎがした。こういう王の顔からは、ろくな命令が出て来ない。




「余が命じて処刑した人々の子を探し出し、全て拘束せよ」
「えっ!それは…」
 重臣たちは絶句した。
 何の罪の名目もない。ただ罪人の子どもであったからという理由で逮捕を命じたのだ。
 だが、王の顔は青白く揺らいだ。もう、かつての溌剌な君主の面影は消え失せていた。




 王は心を病んだ病人の如くつぶやいた。
「父を殺し、その子を生かしておくのは愚者のわざ」
 これは、とある詩の一節。
 そんなものを持ち出さねばならぬほど、命令の正当性はなかった。
「何を躊躇するか!すぐさまかかれ!災いの種を刈り取るのだ!」


.
アバター
Dragon
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

Yahoo!からのお知らせ

友だち(3)
  • JAPAN
  • 時間の流れ
  • ダイエット
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事