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フィリッポスその後−暴政の嵐(さらに続き)
王の命令が実行されると、またしても王国全土に悲泣が響き渡った。
遺族の中には、王への恨みを忘れ名士として活躍していた人も多い。その彼らが妻子共々容赦なく拘束されていく。無論、拘束だけでなく、次々と処刑された。その無残な最期の有様に同情し、民衆は泣き崩れた。
追捕から逃れるべく必死に逃走を試みた者たちもいたが、逃れ得た者は僅かであった。多くが投獄され、すぐさま処刑された。
かつて、フィリッポスに父を殺された女性がいた。その彼女にも、容赦なく追っ手の手が迫った。彼女と夫、その子の一家は、断崖絶壁に追い詰められた。
「邪悪なるフィリッポスに伝えるがいい」
女性は静かに言った。
「かかる悪事をなす王朝の永くないことを。いずれ思い知るであろう、とな」
それは不吉な予言。アンティゴノス王朝の滅亡を唱えるものだ。
「おのれ…」
捕吏が前に進み出ると、その途端、彼女たち一家は海に身を投じた。
「ああっ!」
捕吏たちは立ちすくんだ。それは、人間生命の最期の潔さを見せつけられたからだ。
「なに、そんなことをほざきおったか!」
凶暴な王は烈火の如く怒った。
「親類縁者一人も残すな!全員捕えて処刑せよ!」
王は吠えた。
もはやまともではない。王国の土台をなす民の殺戮に手を染めた時点で、王ではなく邪悪なる独裁者。祖国人民の敵だ。
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