|
[https://novel.blogmura.com/novel_historical/ranking.html にほんブログ村 歴史・時代小説]
↑
ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)
清廉なグラックス殿(続き)
「そこで、トリブヌス・プレピス(護民官)殿の出番」
「それがしの…」
「左様。貴殿の職権でコミティア(民会)で弾劾手続を提起して頂きたい」
「コミティアで…」
グラックスは唾を呑み込んだ。
相手は祖国の英雄スキピオ・アフリカヌスなのである。
「確かに相手は巨大。だからといって法をないがしろにしてよい訳ではあるまい。法の前では、何人も同じローマ市民なのである」
カトーは精緻な論理立てで説き始めた。
「貴殿の清廉を見込んでのことなのだ」
言葉に熱がこもり出した。相手の動揺が見て取れたからだ。
(清廉潔白な仁は論理に弱いものぞ)
そのことをカトーは熟知していた。
清廉とは正論貫徹ということ。即ち、論理の通った結論は正義と認識する人だということ。そして、それに従うことを美徳とする。
(ならば、言葉で説かぬ法があろうか)
こういう説得作戦は、まさに雄弁家カトーの独擅場。
「なに…昨今の世情に、農民たちのスキピオ支持も大きく揺らいでおる。時は我らに味方しておるのだ。法を厳正に執行し、風紀を正し、良きローマ国家を再興するのだ」
|