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スキピオ弾劾
グラックスは登壇すると胸を張った。
「トリブヌス・プレピス(護民官)のグラックスより、今回の件を報告する」
アジア遠征のマグネシアの戦いの後、執政官ルキウス・スキピオとアンティオコス大王との間で講和条約の署名が行われた後、500エウボイア・タラントンが即金で支払われたこと、まずは周知のことを述べた。
「いかがです、アフリカヌス閣下」
「その通りだ。間違いないことだ」
「問題はここからです。その500エウボイア・タラントンの使途にございます」
「それならば、我が軍の冬営費用に充てた。また、弟ルキウスが執政官の権限として、兵士に分配した」
「おかしゅうございますな」
「なにがだ」
「講和条約は正式には発効しておらず。冬営の費用に充てるのはともかく、兵士に分配するなどは」
報告に名を借り、なし崩し的にスキピオ弾劾が始まっていた。
「護民官殿、それは…」
スキピオ、色をなし反駁しようとしたが、護民官グラックスは手を上げて遮った。
「お待ちを」
彼は議場を見回した。
「私は、その折の軍の帳簿をここに披露あるよう求めたいと思います。そうすれば、ここで私とアフリカヌス閣下が多くの言葉を交わすよりも事の真相は明白となりましょう」
そう言って視線をスキピオに戻した。
そのグラックスの視線は悲し気に語っていた。
(あれほど、遠征前に御忠告申し上げたではありませぬか)
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