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ハンニバルその後−野心再燃
プルシアスの宮廷が和平の機運に盛り上がる中、これを警戒していた者がいる。
マニアケスである。
「閣下は危機ある所でこそ重宝され平和ある所では危うい」
対ペルガモン戦争終息が近づくにつれ、幾度となくハンニバルに進言した。
「プルシアスは油断ならぬ人物」
マニアケスは繰り返した。
だからこそハンニバルを受け容れてくれた訳だが、対ローマの関係で窮すれば、ハンニバルの身柄を引き渡そうとするに違いない。また、息子のプルシアス王子が常に陰険な光を宿していることも気にかかっていた。
「既に手は打ってある」
ハンニバルは細心の注意を払う男。
密かに地下道を幾筋も掘り、屋敷から遠くに抜け出る脱出路も確保していた。
「風向きが変われば直ちに出国するつもりだ」
ローマの手から逃れるべき宿命を負う彼。滞在する国がローマに靡けば、遅かれ早かれ退散するしかない。
「だが、余には行き先があまりない」
ハンニバルは苦笑した。
ビュテニア周囲全てがローマの同盟国。
「それゆえ、出来る限りここに留まり、それから新たな亡命地を探すことにしようよ」
ハンニバルにしては悠長にも響くが、彼も六十の半ば。この時代では完全に長老の部類に属する。機敏さを多少失っていたとしても、彼の名誉を損なうことにはなるまい。
「は…そういうことでしたら」
マニアケスは退出した。
彼女は胸騒ぎがしてならなかった。
(こうなれば…フラミニヌスの動向に注意を払わねば…)
それから間もなくして。
フラミニヌスを筆頭に、カエキリウス、プルクルスの三人が、ビュテニアに来訪した。三人ともローマ政界の重鎮だ。
用件は、速やかにエウメネス王との戦争を停止し、アパメイアの和約の遵守を求めることであった。
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