|
[https://novel.blogmura.com/novel_historical/ranking.html にほんブログ村 歴史・時代小説]
↑
ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)
ハンニバルその後−閉ざされた途(続き)
「はは。そんな訳はない。余はローマの同盟国の王でござるぞ」
あくまでも白を切る老獪なヘレニズム君主に、
「老君」
フラミニヌスは声にドスを利かせた。
「その者が明らかに宮廷にあって、王家に与力していたのならば、それは明らかにローマへの敵対行為。ペルガモンとの紛争騒ぎどころではありませぬ」
「フラミニヌス殿…」
やんわりと反駁しかけた老王を、フラミニヌスは制した。
「我がローマは裏切りには鉄槌を下すことを信条としており申す。カプアを御覧あれ。シラクサを御覧あれ。裏切った両国がどうなったか、老君もよく御承知かと」
裏切りは絶対許さぬという明白な意思表示であった。
「う…」
地中海世界の覇者ローマの恫喝に、老君プルシアスは狼狽した。
(少しローマを刺激し過ぎたか…)
ハンニバルを、対ローマの駆け引きの材料ぐらいにしか思ってなかったプルシアスは、自身の見当違いを思わざるを得なかった。
もっとも、その程度と考えていた訳だから、王の思考は当然の如く急転回した。
(フラミニヌスは、ハンニバルを捕える栄誉を欲しているな…)
相手の意図を素早く見抜くと、
(ここらが見切り時…)
ローマの有力者に恩を売る好機と結論付けた。
「よろしいでしょう。我が国にローマへの二心はありませぬ。それを証立てるため、直ちに引き渡すよう取り計らいましょう」
君子はまさに豹変した。
その夜、キュジコスからニコメディアに向け、早馬が向かった。
|