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スキピオその後−リテルノ(さらに続き)
「やはり、コルネリアの花嫁姿は見られそうにないな…」
スキピオは寂しそうに微笑んだ。
今養生に努めていたのは、それを望んでいたからだ。
「何を仰せか」
ラエリウスは気色ばんだ。
「東方のマケドニアの動きはなおも警戒を要するもの。シリアとて油断なりませぬ」
この頃、フィリッポスの暴政いよいよ激しく、マロネイア虐殺事件で緊張していた。また、シリアもアンティオコス三世死後、次男のセレウコス四世が王位継承していたが、密かに艦隊建造を進めるなど、和約の一部を骨抜きにしつつあるという。
「はは…」
スキピオは力なく笑った。
「心配要らぬよ。いざとなれば、そなたもまだ働けよう。またグラックス殿あり、また我が義弟ルキウス・パウルスあり」
スキピオは、グラックスと共に妻の弟パウルスを高く買っていた。
「暴君フィリッポスやセレウコス王如きならば、彼らで充分対処出来ようて」
事実、パウルスは、後年、対マケドニアで大活躍することになる。
「時代は我らの手を離れつつある。それを認めねばならぬ」
スキピオは窓の外を見た。
歴史を知るが故に、人が歴史に果たしうる時間も心得ていた。十年でも歴史に何かしら貢献し得たのならば、大活躍と評することができよう。スキピオは二十過ぎから四十過ぎまでの二十年間、縦横無尽に活躍し続けたのだ。満足すべきものであろう。
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