新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 プラタイア陥落
 それから一ヵ月後。未明のプラタイア市は、突然、阿鼻叫喚に包まれた。
「ご主人様!大変です!」
「何事だ!」
 ナウクレイデスが飛び起きた時には、既に城内のあちこちから火の手が上がっていた。
「テバイの大軍が突如城内に突入してまいりました!」
「なに、バカな!どこから現れた!」
 彼が二階の窓から見ると、テバイ兵が喚声をあげて突撃してくる様子が見て取れた。プラタイア兵は、あちこちで抵抗していたが、たちまち蹴散らされている。
「城門はスキピオが守備していたはず。何をしていたのか」
 彼は憤慨した。が、そんな感情は事態を少しも変えない。
 彼の屋敷の前も、家人と激しく言い争う敵兵の叫び声と怒号で騒然となっていた。
「構わぬっ!門を破れっ!」
 テバイの指揮官は、業を煮やして命令した。途端に扉がバリバリと破られ、テバイの兵が乱入してきた。たちまち家人と乱闘になるも、多勢に無勢、たちまち討ち取られたり、捕えられたりしてしまった。
「ぬうう」
 ナウクレイデスは、剣を取って部屋の外に駆け出そうとした。
 が、執事が止めた。
「今出ては殺されに出るようなもの。身を隠して!」
 と、執事は彼を物置部屋に押し込んで隠した。その執事は、二階の窓から飛び降りた。よほど恐ろしかったと見え、奇声を上げて一目散に逃げていった。


「ややっ、誰か逃げたぞ!」
「奴は執事だ。ナウクレイデスを探せ!他の者に構うな!」
 階下では、家具の倒れる音、女子どもの悲鳴の中を、テバイ兵が駆け回っていた。
「二階だ!二階に奴の部屋がある!」
指揮官が矢継ぎ早に指示する。どうも、聞き覚えのある声だ。
「おのれ」
(見つかるのは時間の問題…。こうなれば、一人でも敵兵を斬って道連れにしてくれるわ)
 ナウクレイデスは、部屋を飛び出して、ままよと階段を駆け下りた。
「あっ、いたぞ!」
 階段をあがる兵のその声で、敵の指揮官が振り向いた。
「あ!お前は!」
 ナウクレイデスは剣を振りかぶったまま、呆然と立ち尽くした。
 その将は、にこりと笑った。スキピオであった。
「閣下、こちらにおられましたか」
「おのれ、貴様が裏切ったか!」
「敵を謀ること、これも大事な兵略にございます。それ!閣下を捕らえよ!」
 数十人の兵がわあっと一斉に飛び掛った。ナウクレイデス、なす術もない。たちまち縄でくくられてしまった。


 数時間後、テバイ軍は完全にプラタイアを制圧した。城のあちこちから、煙が幾筋か立ち上っている。建物に籠もって抵抗する兵を掃討するため、燻り出しているのだ。
 そんな空しい抵抗も、圧倒的なテバイ軍の攻撃の前に、悉く鎮圧されていく。
 やがて、エパミノンダスが城内を巡視する姿が見られた。左右には、スキピオと今回の作戦で先陣の大将を努めたメロンがいた・・・・・・
 今回の作戦は、スキピオが偽って投降し内応して城を攻め落とす、いわゆる苦肉の計である。プラタイアがスキピオのことを信用しきった時を見計らって、総勢三千のテバイ軍により、一挙にプラタイアを占領する電撃作戦であった。
 プラタイアの指導者たちは、テバイ軍本営が置かれたアゴラの評議会議事堂に連行され、総大将エパミノンダスの前に引き出された。
「プラタイアは、ボイオティアの同胞を裏切り、スパルタに与し、その暴虐に協力した。その罪は極めて重い。よって、プラタイアは今日よりテバイの支配下に置く」
 エパミノンダスは、プラタイアをテバイの領土に編入することを宣言した。
 その過酷な措置に、指導者たちは顔面蒼白となった。
「おのれ…それが同じボイオティア人に対する振る舞いか!ゼウスの神罰が落ちようぞ!」
 ナウクレイデスが叫んだ。
「黙れ!汝らこそ、スパルタに協力し、わがテバイを亡国の淵に追い込んだではないか!そのような戯言、見苦しいぞ!」
 エパミノンダスは叱りつけた。
 歯軋りしていたナウクレイデスは、スキピオの顔を見つけると、
「よくも図ったな、この人でなしが!」と罵った。
 が、スキピオ、平然としていた。
「図らねば、貴殿らが我らを図ったはず。敵対関係にある以上お互い様。お諦めなされ」
 敵対する者が、互いに相手を滅ぼすため機略を尽くし図ることは悪ではない。もし、手をこまねいていれば自国が滅びるのだ。将として、これほど罪なことはない。


「一体どういうことなのだ、説明しろ!」
 ナウクレイデスはわめいた。
 彼は、今回の事態が、さっぱり腑に落ちなかった。
(死んだはずのメロンがどうして生きているのか…)
「メロン殿のことですかな?簡単なことです。メロン殿の体に血袋を仕込ませておき、私はメロン殿の血袋だけを斬ったということです」
「な、なにっ!」
 驚くのは無理もない、スキピオは簡単に言ってのけているが、並大抵の腕ではそんなことは不可能。よほどの腕がなければ、味方の生命もろとも斬ることになってしまう。
 彼の横で、メロンが胸を撫でながら苦笑していた。
「正直、ひやっとしたぜ。後で体を改めてみたら、少し斬れていたぞ。危ない奴だ」
 ナウクレイデスは、口をぽかんと開けていた。そのような尋常でない策、思いもよらぬこと。呆然とするしかなかったであろう。
 

 テバイ軍は、捕えたプラタイアの指導者全員をテバイに連行して軟禁した。そして、プラタイアの街は徹底的に破壊して、住民は周辺の四つの村に分住させた。
 エパミノンダスにしては珍しく非情な措置であった。が、プラタイアは数万の軍勢をも退けることのできる堅牢な要害。放置してはスパルタの前線基地として用いられる。それは絶対避けなければならない。そのための用心であった。
 こうして、テバイはボイオティア全土を統一した。スパルタとの決戦に向けて、ようやく態勢が整ったといえよう。


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メロンさんのお葬式はデバイ国家を挙げての
演技だったわけですね〜(^o^)

2009/6/2(火) 午後 3:15 らんらん

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そういうことです〜^ ^

2009/6/3(水) 午前 7:38 Dragon


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Dragon
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