新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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自己紹介

 自己紹介
 このブログを始めて1ヶ月近くなりました。遅まきながら、簡単に自己紹介いたします。
 
 大阪に住む、平凡な会社員でございます(正確には「会社」ではないのですが…)。
 北浜あたりをテリトリーにしております。

 大学在学中より、ギリシア・ローマ世界に興味を抱くようになり、何か面白い話にすることはできないかと考えてまいりました。
 2002年夏に、ギリシアを訪れる機会があり、ようやく構想が固まった次第。
 が、その間も、私事忙しく、本格的な執筆の余裕なく、ようやく2005年秋より猛烈に書き始めました。
 おおよそ完成したのが、今年2007年の初頭です。
 
 何らかの発表の機会がないかと考え、はじめ出版社に持ち込むことも考えましたが、かつてある投稿の際に出版社の実態を知るに至り、無名の作家が出版するなど事実上不可能であると悟りました。
 なんらかの賞の選考でもない限り、出版社の社員に、長編作品を丁寧に読みこむことを期待することは無理です。いや、彼らには、そんな暇はありません。

 そこで、考えたのが、ネット上での公開です。
 まず、多くの人に読んでもらうこと、それを第一に考えて、ブログで、一日一話を原則にして、物語を展開していこうと思い立ちました。
 それが、この作品です。
 あまり親しみのない世界かもしれませんが、お付き合いくださり、気楽に読んでいただければ幸いに思います。また、できましたら、感想などいただければと思います(もっとも、現時点では、第一章の終わりに差し掛かった段階に過ぎませんから、感想というのも難しいとは思いますが)。

 よろしくお願いいたします。

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 スキピオとアウラの逃走経路です。

<これまでのあらすじ>
 ローマから、スパルタに学ぶためにやって来た少年スキピオ。
 剣闘技大会に優勝し、王や王女にも認められ、スパルタ貴族への栄進の道が開かれる。
 しかし、彼は、奴隷の少女アウラと出会い、深く愛するようになる。
 葛藤を抱えながら、戦士の訓練は続いていく。
 最後の訓練は、ヘロット(奴隷階級)の首を持参させよとのむごいものであった。
 アウラのことを考え、深く悩むスキピオであったが、祖国から託された使命、王や王女の信頼に応えるため、ラコニアの荒野を駆け回る。
 そして、スパルタへの叛乱を計画していたヘロットたちの集会に遭遇し、一人のヘロットを斬る。
 が、意外な人に出会ってしまう。父の供としてやって来ていたアウラであった。
 スキピオは、アウラを救うため、同僚のテュルタイオスを斬ってしまう。


 逃亡
 スキピオは、スパルタの罪人となった。スパルタ国家の命に反してスパルティアタイを斬ったのだ。国家への反逆。捕まれば命はない。
「アウラ、さあ、逃げよう」
 スキピオは、呆然と立ち尽くしていたアウラに手をさしのべた。
 しかし、その手は厳しく払われた。
 アウラは、激しい目でスキピオを睨みつけた。仇敵を見る眼差しだ。
「どうして父を殺したの!どうして私を助けるの!どうして私も殺さないのっ!」
 アウラは泣き叫んだ。
 目の前で父が殺され、父を殺した一団の仲間に自分の愛する人がいた。彼女は、半狂乱になった。
 スキピオは、なすすべもなく、うつむいて唇を噛んでいた。
 やがて顔を上げたが、自責の念で、真綿で首を絞められるような苦悶の表情を浮かべていた。
「す、すまない。でも、このままじゃ君も殺される…」と搾り出すようにいった。
「あなたは父を見殺しにしたのよ、いえ、あなたが父を殺したも同然よ!」
 スキピオは、顔を歪め、泣きそうになった。
彼は、この世の最も惨めな罪人の如く、地に膝をついた。そして、懇願した。
「す、すまない。どのようにも詫びる。でも、お願いだ。一緒に逃げよう。必ず追っ手が来る。今度こそ君は殺されてしまうよ」
「よくもそんなことを白々しく…。よくも親切げに近づいて…。あなたは悪魔よ!」
 スキピオは頭を垂れた。彼は死を考えた。
(…いや、駄目だ。今、ここで自決してはアウラを見捨てることになる)
 そう。愛する人を死地に見捨てて死ぬことは、責を果たしたことにはならない。
 スキピオは、歯を食いしばり生きようとした。天を見上げて大きく息をついた。肚を据えた。
(僕は死んでもいい。しかし、アウラだけは絶対助けるっ)
 とすれば、感傷に浸っている時間はない。エウディコスから急を聞いた追っ手がたちまち迫ってくることは明らか。街道筋でスパルタ兵に取り囲まれてしまえば、万に一つも助かる見込みはない。
(もう、許されなくともよい)
 スキピオはアウラに近づいた。
「近づかないでっ!」とアウラが叫ぶのも構わず、
「許せ!」
 と、当て身を入れ気絶させると、彼女の体を背負った。

 スキピオは思案した。
(南と西、いずれに逃げようか…)
 南にゆけばギュテイオンの港がある。そこまでいけば、海路から逃亡できる。が、そこまではおよそ50キロメートルあり、また、平坦な道が続くので、途中で追いつかれる公算が大である。追っ手の方も予測しやすい。
 スキピオは西を見た。険峻なタユゲトスの山脈が連なっている。
 タユゲトス山脈は、スパルタの都のあるラコニア地方と西のメッセニア地方の間に南北に伸びている。その険しく聳え立つ山容のため、間道が幾筋かある他は、満足な道は一切ない。その間道も、獣道に等しい難路であった。
(よし、メッセニアに逃げよう!)
 スキピオは、やがて、一散に西に向かって駆け出した。タユゲトス越えを決意したのである。アウラを背負ったスキピオは、夜が白々と明けだした頃、間道を駆け登り始めていた。
 
 一方、エウディコスの報を受けた、スパルタの都は大騒ぎになっていた。
 アゲシラオスは眠っていた。
「大王様!大変でございます!」
 監督官ヘリッピダスが、息せき切って駆け込んでくる。
 武人として、常に油断のない生活を送っていた王は、飛び起きた。
「何事か!」
 ヘリッピダスが口早に事情を説明すると、王の目は、これ以上ないほど見開いた。
「ま、まことか!」
 王は愕然とした。
 が、次の瞬間、燃え上がる火焔の如く激怒した。
「あれほど目をかけて、いずれはスパルティアタイに取り立てようとも、王女の婿にしてやろうとも考えておったのに…許さん!」
 王は、怒りのあまり、持っていた杖を叩き折った。
「重臣を集めよっ!そして、ファビウスとネロも拘束せよっ!」
 そこに、王女が顔面蒼白にしてやってきた。
「ユウポリアか…」
 王は娘を憐れんだ。命を賭けた恋がこの結末。
「父上!本当でございますか!スキピオ様が、テュルタイオス殿を斬って逐電したというのは!」
 王は苦々しげな顔をして、
「あのような忘恩の徒、もう忘れよ。やつは反逆者。ラケダイモンの法により成敗せねばならん」と吐き捨てるように言った。
「そ、そんな。きっと何かの間違いでございます!」
「訓練に同行していた者の証言だ。テュルタイオスの死も確認している。間違いない」
「そ、そんな」
 王女は泣き崩れた。
「王女を下がらせよ」
 と命じたものの、王女は錯乱状態になり泣き始めた。侍女たちは、それを懸命になだめつつ、抱きかかえるようにして、王女を別室に導いていった。
 が、王はもう王女の方を見ていなかった。彼は侍臣に命じた。
「騎兵隊長ムナシッポスを呼べ!」
 追っ手にやろうというのであろう。
 が、控えていた監督官アンタルキダスが進言する。
「王よ。スキピオは剣闘技大会の優勝者。ムナシッポスでは荷が重いか、と」
 アゲシラオスは、じろりとアンタルキダスを見た。小面憎く思ったようである。
「ならば、歩兵部隊軍団長デイノンも呼べ!武装して参れと申せ!」
「はっ!」
 間もなく、二人が重武装して現れた。ムナシッポスの顔は紅く、デイノンは顔を青くしている。
「二人とも事情は聞いているな」
「はっ」「はい」
 デイノンは未だにスキピオの裏切りが信じられない面持ちであった。
「しかし、あのスキピオが…本当でしょうか?」
「言うな。テュルタイオスが討たれたのは事実だ。テュルタイオスもその名を知られた猛者。討てるのはスキピオしかおらぬ」
 デイノンは黙った。その通りだからである。
「仲間を殺し、ヘロットの女と逃げる。まさに、ラケダイモンに対する反逆」
 アゲシラオスは、くわっと目を開いた。
「よいか!スキピオをひっ捕らえ、連行せよ!もし抵抗するならば、その場で殺しても構わん!首を余の前に持って来いっ!」
「ははっ!」
 
 王命を受けた二人は、直ちに騎兵二百を率いてスキピオの追跡を開始した。
 飛ぶように追跡していたが、アミュクライに到着すると、デイノンが言った。
「ムナシッポス殿。そなたは、このままギュテイオン方面を追跡されよ」
「貴公は?」
「私は、タユゲトス方面を追跡しようと思う」
 ムナシッポスは笑った。
「まさか、あの険峻なタユゲトスを越えて逃げるとは思えないが…。女連れの身で」
 デイノンは首を振って、そうじゃないんだ、というようにため息をついた。
 彼にとってこの任務は、悲しいものに違いない。教え子を捕え処刑場に送る、何の誇りにもならない、名誉にもならない。
「作戦を立てるにあたり、敵がどう考えるかをまず考えよと、私はスキピオたちに教えてきた」
「ほう」
「スキピオは聡明な奴。すると、我らがギュテイオン方面を追跡することは当然考えよう。とすれば、スキピオは、その裏をかき、タユゲトスを越えることを考えると思う。タユゲトスさえ越えれば西も平坦な道のり。かえって安全といえる」
「なるほど」
 こうして、ムナシッポスは騎兵百騎を率いて、飛ぶように南に追跡を再開した。他方、デイノンは、選りすぐりの兵百人を率いて、タユゲトスの間道に分け入り始めた。


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スパルタのこと-下

スパルタのこと-下

 スパルタといえば、本編の小説でも描いたように、戦士の国です。
 戦前の日本の軍国主義とは比べ物にならないほどの、軍事中心国家です。
 
 近代の帝国主義・軍国主義は、海外市場・植民地の獲得という、利得目的がありました。軍隊を送って、そこを占領して、住民に物を売りつけ、搾取し、独占的利益を上げるというものですよね。
 しかし、スパルタはそうではありませんでした。その証拠に、スパルタ貴族(スパルティアタイ)は、軍務への専従が要求され、さらには経済の根幹である貨幣の流通も制限されていたほどです。
 本編の物語の時代より少し前のペロポネソス戦争(紀元前431〜404)で、スパルタは、ライバルのアテネに勝利して、アテネを占領しました。が、国を解体することはなく、その領土を奪うということもなかったのです。帝国主義国家であれば、ありえないことですよね。
 要は、スパルタの意思は、ギリシアの最強国家として、ギリシア世界の盟主であり続けたい、それに尽きるように思えます。

 女性も、健康な戦士を生むために、鍛錬が要求されていました。その代わり、スパルタの女性は、他のギリシア世界では考えられないほどの自由を享受していました。
 アテネなどの民主国家でも、女性に社会的発言権が全くないことを考えると、異例なことでした。

 しかし、戦争に勝つという、一つの理想しかないということが、結局スパルタの限界であったように思えます。平和の時代をどう生き抜くか、その理想がありませんでした。
 そのため、ペロポネソス戦争で勝利し、莫大な戦利品が流入すると、スパルタ国家も貨幣経済の波をかぶり、貴族たちも堕落していったそうです。
 ヘリッピダスのような賄賂を受け取った人もいたに違いありません。

 この物語では、スパルタ(ラケダイモン)の、その限界ゆえに、絶頂期から次第に退潮していく過程が映し出されています。今後を、ご期待ください。
 

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