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手前がコリントス市街にあるアポロン神殿。背後に聳える山がアクロコリントスです。
この時代、ここが、ギリシア世界攻防の地となりました。
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シキュオンのアラトス-上(さらに続き)
ストラテゴスとなるや、アラトスは縦横無尽の活躍を始めた。
彼がストラテゴスとなった翌年の紀元前244年、アンティゴノス二世率いるマケドニアの大軍が大挙南下し、コリントスに進駐した。そして、アクロコリントスに要塞を構築した。
アクロコリントスとは、コリントスのアクロポリス(聖域)をいう。アテネやスパルタのアクロポリスが丘の上に築かれているのに対し、ここは標高574メートルの山頂にあった。従って、天下無類の要害であった。
ここは、フィリッポス二世がギリシアに覇権を打ち立てて以来、マケドニアのギリシア統治の最重要拠点となっていた。ここに守備隊を配し、ペロポネソス諸国に睨みを利かせてきた。
「むうう、これを放置すれば、マケドニアは、コリントスを根拠にペロポネソス全域に勢力を拡大していくに違いない」
アラトスがそんな危機感を抱いていた折である。
そのアラトスの許に、コリントスに住む両替商アイギアスから密書が届いた。アイギアスとは、亡命時代のアラトスを何かと世話し、彼の志に共感していた人物である。
書面にはこう記されていた。
『私の客に、アクロコリントス守備隊の兵がおります。その者は王や軍の物資を横領し、店にやってきて金に換えていきます。壁破りは死刑だと脅し、千金を得る道があるぞと唆すと、様々な秘密を語るようになりました。その者から砦の軍の配置、城壁のどこが高く低いか、つぶさに聞き取ることができます』
壁破りとは泥棒のこと。当時の庶民の住居の壁は土で造られ、とても脆いものだったので、泥棒は、玄関や窓からではなく、壁を破って侵入したのである。
とにもかくにも、この知らせにアラトスは喜んだ。
「これはよい。奇兵をもってアクロコリントスを奪うことができるぞ」
アラトスは、シキュオン兵四百を率い、コリントスとの国境に向かった。
コリントスの町近くの女神ヘラの神殿(へーライオン)でアイギアスたちと合流すると、三百人の兵はそこに残し、百人の兵を率いてコリントスの城に向かった。
天下無敵のマケドニア軍が進駐しているとあって、城兵の警戒は薄く、アラトス達は梯子をかけて登り、なんなく城内に潜入を果たした。
彼らは、市街を風の如く走り抜けると、内通したマケドニア兵の手引きに従い、アクロコリントスに登り始めた。
「アラトス様、あれが砦への近道にございます」
そういって、兵は、絶壁に一筋走る、亀裂の如き細道を指した。その道はずっと上のほうに続いていた。
「ほう。どこに通じるのか」
「は。砦の城壁の一番低い個所に通じております。そこからならば容易に砦の内に攻め込むことができましょう」
「よし!登っていくぞ!」
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