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シキュオンのアラトス-下(続き)
戦いの様子はコリントス城外に待機するシキュオン兵からも見えた。
「おお!アクロコリントスから火の手が上がったぞ!」
「直ちに加勢に行くのだ!」
シキュオン兵三百は城内に突入した。
途中、遭遇したマケドニア軍の一隊を不意に襲って打ち破ると、そのままアクロコリントスに登っていった。
彼らがアクロコリントス頂上の砦に攻め上がると、守備隊の兵士は大きく動揺した。
というのも、彼らがひらめかせる剣と槍の穂先が満月の光に反射し、あたかも大軍が押し寄せてくるものと見えたからだ。
「ここにこんな大軍が攻め寄せて来るとは…」
「街は全て敵に押さえられているに違いない」
「もう駄目だ」
「逃げよう!」
守備隊は途端に戦意を失うと、砦を捨てて、街に向かって逃げ出した。
シキュオン兵は、それを存分に追い討ちし、コリントスの街からマケドニア軍をついに全て追い払った。
その頃、ようやく夜が白々明け始めていた。そして、事態が明らかとなるや、コリントスの人々が家々から飛び出してきた。
「あのマケドニア軍がいなくなったと!」
「長らく我らを圧迫していた夷狄の軍隊が消えたか!」
そう。マケドニアは、フィリッポス二世以来、コリントスに兵を置き、また占領していない時にも影響力を及ぼし、事実上属国の如くに扱ってきた。
支配は百年余りに及んだ。それから解き放たれたのだ。
驚きは狂喜に変じ、その喧騒はアゴラに集まり始めた。
アラトスたちシキュオンの兵もアゴラに集まってきた。
人々は、彼らを揉みくちゃにした。
夜を徹しての激戦に、さしものアラトスも疲労の色を隠せなかったが、民衆の前に立つと、英気凛々たる気風を見せて演説を始めた。
「コリントス市民諸君!」
アラトスは、大きな鍵を高々と掲げた。
「これは城門の鍵である。マケドニア守備隊の手にあったものである。諸君は、あのフィリッポス以来百年、ずっとマケドニアの支配下に置かれてきた。諸君は、今こそ独立を回復したのだ!古のコリントスびとの誇りを取り戻したのだ!」
アラトスが市民の代表に鍵を手渡すと、大歓声が巻き起こった。
アラトスは、一夜にて、難攻不落の要害アクロコリントスを攻め落とし、コリントスをマケドニア百年の支配から解放したのだった。
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